とんこつQ&A

著者 :
  • 講談社
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感想 : 371
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065283967

作品紹介・あらすじ

真っ直ぐだから怖い、純粋だから切ない。あの人のこと、笑えますか。
“普通”の可笑しみから、私たちの真の姿と世界の深淵が顔を出す。

大将とぼっちゃんが切り盛りする中華料理店とんこつで働き始めた「わたし」。「いらっしゃいませ」を言えるようになり、居場所を見つけたはずだった。あの女が新たに雇われるまでは――(「とんこつQ&A」)

姉の同級生には、とんでもない嘘つき少年がいた。父いわく、そういう奴はそのうち消えていなくなってしまうらしいが……(「嘘の道」)

人間の取り返しのつかない刹那を描いた4篇を収録、待望の最新作品集!

感想・レビュー・書評

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  • ふとした嘘をきっかけに二十年間引きこもりになってしまう姉弟を書いた嘘の道と、嘘をつき続けながら淡々と生活を送る夫婦を書いた良夫婦、など。
    (わざと並んで書かれてるのでしょうか

    何か起きそうで起きないが全体を通じて不気味な雰囲気を醸し出すこの人の作風?は短編の方が楽しめる気がして、むらさきのスカートの女より好みだった。
    本の中の人物が本当に存在しているんじゃないかというリアルさと、思わず笑ってしまうような奇妙さとが絶妙に混ざっている世界観が大好き。

  • 読みやすさがさすがの今村夏子さん。
    むらさきのスカートの女や、木になった亜沙と同じくするする読める。
    情景も想像しやすくてよかった。

    短編が4篇あり、ピックアップでとんこつの題名が使われているがほか3篇も劣らない良さ。

    独特の、たった少しの気味の悪さはいつもどうりあり。

    カバーーハード
    紙質ー分厚め、裏が透けない
    改行ー多めで読みやすい。

  • ふんわりとした空気感のヒトコワ。短編集。どの話も面白かった。
    一番気に入ったのは『とんこつQ &A』
    話すことが苦手な飲食店店員が、メモを見ながら毎回「いらっしゃいませ」と言う。シュール。
    その後の展開に胸がざわついた。狂気が普通みたいになっていて、怖かった。

  • とにかく怖い怖い怖い
    ホラーじゃなくて精神的に参ってしまう感じ
    なんでこんなにも変な人達ばかりなんだろう

    とんこつQ&Aはどんな物語か想像もつかなかったけど、読んでみてとんでもなく変な人達の変なお話だった

    一番怖かったのは「嘘の道」
    誰もああはならないけど、でもならないとも言い切れない
    人が消えていく意味、、、分からなくもない


  • かわいい表紙ですが
    どの話もゾワッとする話ばかり。

    個人的に 嘘の道 が1番ゾワッとした。

    けど また他の話も読みたくなるのが
    今村夏子さんの魅力だなーと思います笑

  • 友人の勧めで初めて今村夏子さんの作品読みました。はじめの『とんこつQ&A』を読み進めるたびにじめじめと感じる違和感と気持ち悪さ、真面目で優しくて大らかな人たちのはずなのに狂っている。この狭い世界ではこれが幸せの形なのか。今村夏子さんの世界がクセになる理由がわかったような気がしました。
    個人的に刺さった『良夫婦』
    誰かのことを本当に心配して自分のできることならなんでもやってあげたい、でも予想外の大きな出来事には対応できず逃げて全て他人(夫)任せ。(自分は本当にだめな人間だ)と落ち込みながらも、時間が経てば忘れて同じことを繰り返してしまう。この夫婦は2人の世界から見たら良夫婦なんだろうけど、ターゲットにされた人たちの人生はどうなってしまうんだろう。きっとあの夫婦は時間と共に思い返すことをしなくなる気がしました。

  • 三作とも○。

    主人公は、周りから見ると癖があるような人とかかわりがあることが共通していた。どの主人公も優しさを持ち合わせていた。主人公が関わって来た人のその後がとても気になる。(嘘の道、良夫婦、つめたい大根の〜の)

  • 終始不穏な感じが続き、ソワソワしながら読んだ。『むらさきのスカートの女』といい、今村夏子さんは不気味だけれどクセになる物語を描くのが本当に上手。

    収録されている4作品中、私は特に『冷たい大根の煮物』が好き。相手にいい人だと思わせ、油断させ、その隙に悪事を働く。世の中で1番怖いのは人間かもなと思わせてくれた一冊。

  • 今村夏子節が今回も良かった。

    とんこつQ&Aの親子が、母親の分身を探す為にバイト応募者を品定めしてたのが分かった時点でドキッとした、、、
    そして、最初は親子がバイトたちをコントロールしてたはずなのに、いつからか今川さんが親子共々コントロールするようになるのがコワイ。

    嘘の道は先入観の怖さと嘘をついた報い。

    良夫婦は妻の失敗を旦那が隠す。この旦那と一緒にいたら妻も変わることはないだろうなと。

    冷たい大根の煮物はやっぱりねって思った終わり方。
    主人公が被害者であることに変わりはないけど、役に立っていた部分もあるからか可哀想な素振りが見られなかった印象。

  • うわぁーん♪すごいですね、これ!
    読み終わったあと、全部ぞわーーーっとする。
    こわい、こわい、こわい、こわぁぁーい!
    ホラーみたいに怖いです!そして心がモヤモヤして
    ヤバめです!大好き❤︎
    とんこつQ&Aなんて、最後の方カオスですよね⁈
    やばぁ。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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