太平洋戦争の真実 そのとき、そこにいた人々は何を語ったか

著者 :
  • 講談社ビーシー
3.67
  • (1)
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 37
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065304051

作品紹介・あらすじ

「戦争は壮大なゲームだと思わないかね」――終戦の直前、そううそぶいた高級参謀の言葉に、歴戦の飛行隊長は思わず拳銃を握りしめて激怒した。
「私はね、前の晩寝るまで『引き返せ』の命令があると思っていました」ーー艦上攻撃機搭乗員だった大淵大尉が真珠湾攻撃を振り返って。
「『思ヒ付キ』作戦ハ精鋭部隊ヲモミスミス徒死セシメルニ過ギズ」ーー戦艦大和水上特攻の数少ない生存者・清水芳人少佐が、戦艦大和戦闘詳報に記した言葉。
「美談のある戦争はいけない。非常に勇ましい挿話がたくさんあるようなのはけっして戦いがうまくいっていないことを証明しているようなものなのである」――「特攻の父」といわれた大西瀧治郎中将の、昭和19年、朝日講堂での講演。
「俺は死ぬ係じゃないから」――特攻作戦を主導した中澤佑中将が、大西中将が終戦直後に自決したことを聞いて発した言葉。
「安全地帯にいる人の言うことは聞くな、が大東亜戦争の大教訓」――大西中将の副官だった門司親徳主計少佐の言葉。
「軍隊や戦争のことでいい思い出なんて一つもありません。ほんとうは思い出すのもいやだけど、自分たちが体験したことを次の世代に語り伝えることが、われわれの世代に課せられた使命だと思います」――真珠湾攻撃から終戦まで戦闘機搭乗員として戦った原田要中尉の言葉。
(夫の出征中は)「戦死なんかされてたまるもんですか、と、ずっと思っていました」――原田要夫人・精さん。
「私は『決戦』と『手柄を立てる』という言葉が大嫌いでした。決戦というのはこの一戦で雌雄を決するということなのに、決戦だ、決戦だとなんべんも。そんな掛け声で部下をどれほど失ったかわかりません」ーー零戦初空戦を飛行隊長として率い、終戦まで前線で戦い続けた進藤三郎少佐。
「マリアナ戦でヤップ島に出撃したとき、指揮所に『南無八幡大菩薩』の幟旗が翻っているのを見て、これじゃ勝てないと思った。司令部が神頼みになったら作戦はいらないですから」――終戦間際まで勝ち戦を続けた歴戦の飛行隊長・鈴木實中佐。
「戦後、GHQの占領政策を聞いたときにガッカリしました。なんだ、二・二六の青年将校がやろうとしていたことと同じじゃないかと」ーー日米開戦前に中国戦線からのベテラン搭乗員。二・二六事件の折は、予科練の生徒で鎮圧軍として出動した。角田和男中尉。
「日露戦争でロシア軍の捕虜になった人が、日本に帰れずにアメリカに渡って浄土真宗の僧侶になっていて、マッコイに会いに来たことがありました。立派な人でしたが、我々も日本がもし勝っていたら帰れなかったでしょうな。負けて、日本に軍隊がなくなったから帰ってこれたようなもんですよ」――戦中、捕虜となって米本土の収容所にいた中島三教飛曹長。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 25篇の戦争とその人生の記録。

    これだけの深い内容を語られること、記憶からお辛くなったりされて話して頂くのが難しいものもあったでしょう。
    それぞれ戦争への関わりは違えど、どんな戦闘に参加してどのような終戦迎え、その後どう生きたか大変よくまとめられています。
    それぞれは短く読みやすいですから、気になる方のものはじっくりと読まれると良いでしょう。

    3隻の船に乗員された方のお話があり、そうして散っていく船に乗り合わせた縁もこの方の人生を後押ししてくださっていたらいいなと思いました。

    大きな出来事や歴史書だけでなく、こうした本から若い人たちが何かを感じ考え日本を良い国にしてくれたらと願います。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

ノンフィクション作家・写真家。1963年、大阪府生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、1986年より講談社「FRIDAY」専属カメラマンを務め、主に事件、政治、経済、スポーツ等の取材報道に従事。1995年、元零戦搭乗員の取材を開始、以後25年の間にインタビューした旧軍人、遺族は500名を超える。1997年からフリー。著書に『零戦の20世紀』(スコラ)、『零戦最後の証言1/2』『零戦隊長宮野善治郎生涯』『零戦隊、発進! 』『撮るライカI/II』(いずれも潮書房光人新社)、『祖父たちの零戦』『証言・零戦』シリーズ全4巻、『零戦~搭乗員たちが見つめた太平洋戦争(NHK取材班と共著)』『図解・カメラの歴史』(いずれも講談社)、『戦士の肖像』『特攻の真意(旧版)』(いずれも文春文庫)、『一生懸命フォトグラファー列伝』(日本写真企画)など。映画やテレビのドキュメンタリー番組の監修も手がける。

「2020年 『特攻の真意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

神立尚紀の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×