- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065307311
作品紹介・あらすじ
野間児童文芸賞受賞作家の最新作は「新しい家族」をつくるドラマチックでうっとりする物語。幸福な予感が幻想的な世界で描かれます。
丘の上の青い屋根のお屋敷に、彼女たちは住んでいました。ご主人のそらさんと、十歳の星(セイ)。そしてハウスキーパーのシド、白猫のダリア。そらさんの旦那さんは、十数年前に亡くなった、天文学者の桐丘博士です。専属の庭師と、そらさんの主治医が出入りするほかは、現実から切り離されたように静かなところでした。
ある日、「住みこみの家庭教師」という募集を知って、お屋敷にひとりの男性がやってきます。それが岬くん。この物語の主人公です。
岬くんは元美容師で、手品や楽器という特技も持ち合わせています。そらさんは岬くんを家族の一員として迎え入れ、星は紳士的でユーモラスな岬くんにすぐに懐きました。けれど無愛想なハウスキーパーのシドだけは、なかなか心を開きません。不器用だけど本当はやさしく思いやり深いシドに、岬くんは惹かれていきます。
その家族にはいくつか不自然な点がありました。「本当の家族」を求め続ける岬くんが、奇跡的な巡り合わせで「運命の人」にであう物語。
●金原瑞人さん、推薦!
『ロマンチックで、ちょっと切ない。
忘れられない荷物をひとつ心に残してくれます』
●書店員さんから、反響続々!!
背負わざるを得なかった「闇」があるから、
光かがやく主人公たちに、心打たれない読者はいないでしょう。
──紀伊國屋書店横浜店花田優子
不器用にしか生きられない。そんな、愛すべきキャラクターたちが、
すこしずつ「家族」になっていく姿から目が離せませんでした。
──クレヨンハウス 鏡鉄平
人は「母」に出会い、世界は宇宙のように広がっていく。
──ブックスページワンIY赤羽店 風穴真由芽
ここには、家族を愛する不器用な人たちの姿があります。
新たな変化を受け入れた登場人物たちに、安堵の気持ちでいっぱいになりました。
──丸善丸の内本店 兼森理恵
感想・レビュー・書評
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やさしい童話のような語り口だけれど、なかなかに重く辛い内容を孕んだ物語。
そらさんと、息子の星くん、お手伝いのシドさんが暮らす邸宅。
住みこみの家庭教師の岬くんが現れたことで、バラバラでよそよそしかった家の中が少しずつ、
ふんわりとやわらかくまとまっていく。
その過程を一緒にゆっくり味わうことができた。
絵の雰囲気と戸森しるこさんということで、児童書なのかなと思って読んでいたが、内容的には小学生には重めで難しいのではないだろうか(戸森さんの作品は読み手を子ども扱いしないところが魅力でもあるのだが)。
そういうものを求めている生徒もいるかもしれないが、個人的にはあまり小学生には薦めたくないと感じてしまった。
2023.6詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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クリーンヒット『ぼくらは星を見つけた』 | 教文館ナルニア国
https://onl.bz/GwhYf8Jクリーンヒット『ぼくらは星を見つけた』 | 教文館ナルニア国
https://onl.bz/GwhYf8J2023/11/09
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挿絵がたくさん。
エミ・ウェバーさんのイラストが素敵。
洋館のご主人、桐丘そら。40代だけど完全な白髪。
桐丘星(せい)10歳。5年生。養子。
主人公は、岬 峻(たかし)住み込みの家庭教師?
庭師の田代さんはターシャ。ターシャ・テューダーは、田代さんの神。
ハウスキーパーの宍戸さんはシド。
ソラシド!
児童書なのに、登場人物の事情が複雑で深い。
妾とか、叔父との子供とか。え!と思いながら読んだ。
この家族の秘密とは?
全員事実を知っているのに、わざとお互いに向き合わずに、それでも一緒に暮らしている。不自然。
親子らしくない。
でも、クリスマスには奇跡が起きる。
優しいラストで、素晴らしい。
児童書だけど大人も楽しめる素敵なストーリー。
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優しい物語のような、薄暗い物語のような。
でも最後はあたたかい。
みんながみんなそれぞれに事情があって
少しずつ近づいて心のわだかまりが解けていく。
まだ続きを読んでいたかった。 -
手に取ったとき、読み始めたときはワクワクしましたが、ちょっと期待外れに終わりました。
児童書だけど、子どもには勧めないかな。 -
岬くんの帽子のエピソードが切ない…。
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まず表紙が素敵で、目が惹かれた。
優しい語り口で、どこかファンタジーのような雰囲気の中、明らかになる複雑な家庭環境。
星くんやそらさんの思惑を知らずに、家庭教師としてお屋敷に住み込むことになった岬くん。彼もまた、一筋縄ではいかない人生を歩んできた。
そして、素っ気ない態度の家政婦シドさん。彼女の過去にも何か事情がありそうで…。
だんだんと明かされてくる真実に驚かされ、けれど不快な感じはしない。それは、物語全体に流れている優しさのおかげかも。バラバラに集まってきた人たちが、一つのコミュニティを築くお話。 -
小学生中学年対象ぐらい?と、思いきや、大人が読んでもその世界の中に引き込まれてしまう、上質な物語でした。
金原瑞人さんが書かれていた、
「ロマンチックでせつない」という言葉がぴったりのお話でした。
丁寧な語り口調が、心地よく感じられますが、描かれている決して多くはない登場人物達の人生は長くも短くも複雑です。
けれども、重すぎず暗すぎず、月明かりに照らされた中を進んでいくように、物語はわずかな光を頼りに少しずつ進んでいきます。
親子で読んでみるのもいいかと思います。 -
家族がテーマの小説。最初はいびつだったつながりが、暖かくなるまでのお話。