- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065307700
作品紹介・あらすじ
昭和・平成のミステリの技法をフル装備し、
乱歩デビュー前の大正時代半ばに転生して本格探偵小説を書いたら……。
そんな夢想が現実のものになったかのような極上の逸品。
この作者は、令和のミステリを支える
太い柱の一つになるだろう。
有栖川有栖
大正の東京。
秘密結社「絞首商會」との関わりが囁かれる
血液学研究の大家・村上博士が刺殺された。
不可解な点は3つ。遺体が移動させられていたこと、
鞄の内側がべっとり血に濡れていたこと、そして、
遺族が解決を依頼したのが以前村上邸に盗みに入った元泥棒だったこと――。
頭脳明晰にして見目麗しく、厭世家の元泥棒・蓮野が見つけた
四人の容疑者の共通点は、“事件解決に熱心過ぎる”ことだった――。
感想・レビュー・書評
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時代は、大正。秘密結社「絞首商会」に関わっていたと思われる博士が殺された。犯人らしき四人の人物。何故か、犯人を見つけたくて仕方がない様子。
“解決”での、真犯人の特定や発想にはとても驚きました。
なのだけど、何故なのか、読みにくいんです。物語の繋ぎが良くないのか、地の文がしっくりこないのか?
時代設定が、大正に期待していたのですが、特にその時代を感じません。
秘密結社「絞首商会」の設定に期待していたのですが、特に主要な事でなく。
探偵役の元泥棒の美青年の設定に期待していたのですが、特に活動的でなく。
だから、ちょっと長いのよ。読みたかった事が書かれてない割に長いのよ。
でも、デビュー作で、この熱量とトリックだけでなく、心情絡めた解決は、頑張ったなあって思います。 -
なぜ?が面白い一冊。
元泥棒の蓮野と画家の井口が駆け回る大正時代推理劇。
分厚さも何のその。
殺人事件解決の探偵役にご指名された元泥棒という、そんなスタートから面白い。
しかも時系列として「時計泥棒…」の後だとわかり順番的にも良かった。
犯人は一体誰?
ゆっくり真相を追い求める過程は静と動の緩急が有り飽きない。
そして細かな笑いが仕込んであるのがたまらない。
この二人、本当にナイスコンビ。
今回は女性陣も良かった。
真相という頂点へ向けての小さななぜ?の集合体は大正時代を程よく効かせ、大きな納得を運ぶ気持ちよさで面白かった。 -
大正時代、海外の古典ミステリーを読んでいるようで小気味よい。
謎解きも、この時代だとなんだか新鮮である。
このシリーズ、次作長編を読むのが楽しみだ。 -
「方舟」がよかったから、読んでみたが。
これはなんだかだらだらと話が長くて、疲れました。
大正ロマンで、舞台はばっちりなのにな~ -
Amazonの紹介より
大正の東京。
秘密結社「絞首商會」との関わりが囁かれる
血液学研究の大家・村山博士が刺殺された。
不可解な点は3つ。遺体が移動させられていたこと、
鞄の内側がべっとり血に濡れていたこと、そして、
遺族が解決を依頼したのが以前村山邸に盗みに入った元泥棒だったこと――。頭脳明晰にして見目麗しく、厭世家の元泥棒・蓮野が見つけた四人の容疑者の共通点は、“事件解決に熱心過ぎる”ことだった――。
『方舟』が各界から激賞されたミステリー作家、衝撃のデビュー作!
なんといっても目を引くのが、本の分厚さです。570ページ以上あって、読了後はなかなか疲労感がありました。
夕木さんというと、「方舟」が印象的で、練られた構想、伏線回収へと導く展開、衝撃的なラストが面白かったのですが、この作品はデビュー作ということで、とても凄い衝撃とまではいきませんが、練られた構想、伏線回収が素晴らしかったです。
ただ、退屈感がありました。登場人物の動きがスピード感・躍動感があるわけでなく、どちらかというと淡々とした対話が目立ち、静かな動きが多いため、長い量だった分、ちょっと眠くなりそうなことが多々ありました。
時折、殺人事件や襲撃事件などメリハリのある展開があると、世界観に引き込まれるのですが、「静」な行動になると、読むのが大変になるかなと個人的に思いました。
内容としては、元泥棒が探偵⁉︎や怪しい登場人物たちなど魅力ある展開で、面白かったです。
なぜ、そのような行動に⁉︎といった部分も、後になるほどそういうことかといったものに変化するので、こういった要素は今の「方舟」に通じるものがあるかなと思いました。
謎解きの過程も、しっかりと組み立てられていて、真相が解った時は、カチッとハマったように頭の中で納得がいきました。ただ、後味としては悪かったです。登場人物同士の関係、衝撃的な事実にドロドロ感があって、なんとも複雑な心境でした。
デビュー作から「方舟」へ。色々変化されているので、今後どう化けていくのか楽しみです。 -
登場人物や時代など、全部がバラバラだったはずなのに、最後には絡み合ってて、真実は重いし苦しいけど、そこに蓮見さんの、嘘のない姿がアクセントになって、背筋が伸びる感じもする。
なかなか最初は読み進めるのに時間がかかったけど、最後の探偵が真実を明かしていくところは、なるほど!となりつつも、やっぱり哀しみをまとっていく‥目に見えないけど、実在するらしい存在に囚われて判断を誤っていくことって現代でもあるよなぁと。 -
四人の容疑者から犯人を捜し出す、典型的なフーダニットと思いきや、そもそも何が起こっているのかが分からないホワットダニットだろうなあ、これは。何故、元泥棒が探偵役に駆り出されたのか? 何故、容疑者たちは犯人捜しに熱心すぎるのか? 何故、警察が捜査した後の部屋が荒らされて、証言をした後の証人が襲われるのか? これらの謎にそれまでの風景が一転する感じで、明快な答えが返ってくる、ドミノ的な終盤のロジックは圧巻。うひょひょひょひょとか歓声を上げてしまった。実に愉しい。
あと、文体がかなり特異。新青年傑作集の類いに目を通しているミステリ好きには言うまでもないだろうが、これは大正期から昭和初期にかけてのミステリによくあるタイプの文体で、おそらくそれらを模したものと見て間違いなさそう。いやあ凝りますね。 -
05月-02。3.0点。
大正時代、ある教授がどこかで殺害され、自宅の庭に遺棄される。この教授、無政府集団「絞首商檜」関連があると情報が。被害者の親類が、元泥棒の男に捜査を依頼して。。。
まあまあだったかな。ちょっと複雑な感じがした。次作に期待。
弥生美術館でその時代の着物の企画展見に行った事あるけど、派手で自由な感じだった。
弥生美術館でその時代の着物の企画展見に行った事あるけど、派手で自由な感じだった。
大正のイメージの一つが、自由なお洒落って感じなの。
大正のイメージの一つが、自由なお洒落って感じなの。