- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065312414
作品紹介・あらすじ
実業家・加右衛門氏へ贋物の置時計を打ってしまった事実を知った伊口。
泥棒に転職をした蓮野とともに、その置時計は加右衛門氏へ所有する美術館にあるという情報を得、盗むことを計画するがーー?
(第1章 加右衛門氏の置時計)
激動の大正時代を泥棒たちが大暴れ! 『絞首商會』『サーカスから来た執達吏』にも繋がる連作短編集。
『方舟』で「週刊文春ミステリーベスト10」「MRC2022」をダブル受賞し話題沸騰の夕木春央、待望の新作!
感想・レビュー・書評
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画家の井口が相談事を持ちかけたのは、元泥棒で今は論文の翻訳をしている友人の蓮野である。
元泥棒相手に物騒な相談というのも問題ありだが…。
井口の父が美術収集家に売った置時計が贋物で、近々、その収集家である加右衛門氏が美術館を造設するという。展示して贋物とわかり大恥をかく前になんとかしてほしいと病床で譫言をいう。
さて、どうするか…どうなるか。
この加右衛門氏の美術館を始め全6作。
ちょっと風変わりで違う目線で人を見る蓮野が、警察抜きに次々と解決していく。
少しワクワクとしてくるのも否めない。
【加右衛門氏の美術館】
【悪人一家の密室】
【誘拐と大雪 誘拐の章】
【誘拐と大雪 大雪の章】
【晴海氏の外国手紙】
【光川丸の妖しい晩餐】
【宝石泥棒と置時計】
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やみつきになる一冊。
銀行員から泥棒に転職した異色の経歴を持つ蓮野と画家の井口コンビが織りなす大正時代泥棒推理劇。
自分でもよくわからない箇所をくすぐられるようで、読むほどにやみつきになるようなそんな感覚。
たぶん、この二人の醸し出すなんとも言えない雰囲気が笑いをもたらすからかもしれない。
飄々とした蓮野がサラッと推理を口にする時、それまで見ていた世界が鮮やかに裏返る、この反転が面白い。
七話それぞれ異なる事件の短編なのに最後は壮大な長編を読んだ気分にさせるのも良かった。
「光川丸の妖しい晩餐」は最後インパクト大。 -
『方舟』が2023本屋大賞にノミネートされたほか、様々なミステリーランキングにランクインする著者の最新作。
画家の井口と翻訳家で元泥棒の蓮野のコンビが主役のミステリー短編集。
結構なボリュームがあり、さくさく行けるのと、なかなか進まないものと分かれた。
時代はロシア革命から3年後というから、1920年大正時代だろう。
なんとなくきな臭い空気が漂い、色々な物事にうさん臭さが感じられる。
一話目は、画家の井口自身が、自分の父親の窮地のために蓮野を頼って泥棒をはたらこうとするもの。
そういう解決方法しか浮かばないんかい!と言いたくなるが、今とは違った階級社会、勝手も色々と違ったのだろう...。
殆どの話が井口目線なのだが、二つだけ華族の家政婦、金持ちの女中目線となっているものがある。
事件の筋からしてそうなったのだろうが、なぜ二話分だけそうしたのだろうか?とちょっと気になった。
2023.5 -
大正浪漫漂う雰囲気と、悪人たちの大胆な発想。
難解なトリックと想像もできない動機に驚かされるのを心待ちに読み終えて、今はとにかく、人間の考えることは突拍子もないと感じています。 -
画家の井口と元泥棒の蓮野という不思議な組み合わせのコンビがいい。
大正時代という設定や、事件を解決していく過程は面白かっただけに、最後の終わり方にもう一工夫欲しかった気がする。
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面白かった。短編集。
事件が予想外なところに展開していくところが面白い。たくさんの人物がでてきてどうなることかと思うがすんなり解決していく。 -
お馴染みの蓮野・井口シリーズ。
時計を巡る(前後が繋がる)連作短編集。
結構、卑猥でグロテスクな内容もあるにも関わらず、大正という背景からかあまり気にならない?から不思議。
謎解きを単純に楽しみたい人向けのミステリー。