海神の娘 (講談社タイガ)

著者 : 白川紺子

• 講談社 (2023年7月14日発売)

作品紹介・あらすじ

世界の南の端にある「花勒」「花陀」「雨果」「沙文」の四つの島は海神のものだという。
島々は、海神たる蛇神の抜け殻からできた、という。
各島はそれぞれの領主によって治められていたが、
領主を決めるのは海神に仕える巫女王の託宣だった。

巫女王のもとには「海神の娘」が集う。
娘らは託宣によって領主のもとへ嫁いでいく。
彼女たちを娶ることで、島は海神の加護を得て、繁栄するのだという。

今宵もまた、ひとりの巫女が舟に乗せられ、月明かりの下、島影へ近づいてゆく。

感想・レビュー・書評

[ロカさんの感想 · 2023年7月19日]

短編集でしたね。

神に選ばれることが幸いに繋がっていく者、不幸せを自ら選んでいる者。

それぞれの生き様が愛おしい作品集でした。

[hisakareiさんの感想 · 2023年8月27日]

2023年7月講談社タイガ刊。書き下ろし。鯨面の妃、丹の島の死人姫、黄金の窟、琳と蕙、の4つの連作短編。後宮の烏と同じ世界に属するが片や大陸でこちらは島国世界で、神さまが異なり、理りが異なる。連作とは思わず、1作目より2作目と、読み進むほどに物語世界へ引き込まれます。4話目はラストにふさわしい展開ですが、これ一冊で終わるのは惜しい。続きはあるんだろうか…。

[mauさんの感想 · 2024年1月16日]

中華風の各島国からある日突然、海神の娘が選ばれて領主の元に嫁ぐ託宣がされるまで海神の島で暮らすことになる神話のような物語。 嫁ぐ娘たちは大人しめだったけど、黄金の窟の嘽だけは武芸ができ暴君になっていた沙文の君に神罰を自ら下す登場の仕方がかっこよくて痺れました。 物語の続きがあるなら霊子と海神の関係のもっと深い部分を読んで知りたいと思った。

[chokokupoさんの感想 · 2023年7月15日]

後宮の烏外伝
面白かった。
白川紺子さんの美しくも切ない世界だ。
海神の娘　に選ばれて島の領主に嫁いだ娘たちがそれぞれ幸せに生を全うできてよかった。

[らんちゅさんの感想 · 2023年12月4日]

『後宮の烏』と同じ世界の物語。
託宣を受けて海神の娘となり、また託宣を受けて各島々の領主の元に嫁ぐ娘たちの婚姻譚。
どの短編も面白かった。
漢字が難読で、2回目以降ルビがなかったので大変だった(笑)

[蒼さんの感想 · 2023年11月3日]

海神の神託を受けた娘達は、島々の領主の元へ嫁ぐ。彼女らを娶った島は海神の加護を受け繁栄すると言う…

短編集ではなく、長編で読みたい話しばかりでした。

お気に入りは「鯨面の妃」
無実の罪に堕とされた一家の娘が罪人の証である鯨面を顔に彫られ、海神の娘として花勒の領主へ嫁いでくる。父を殺した領主の息子、そして殺された一家の娘。お互いとてもぎこちない二人が少しずつ距離を縮めていくのが微笑ましくもあり、少し痛々しくもありました。
それでも、ラストは幸せに暮らしたと言う描写が救いでした。

[あおりんごさんの感想 · 2023年8月19日]

海神の託宣によりそれぞれの王宮の妃になるという宿命に翻弄されながらも逞しく生き抜いて行く娘たちを短編で描いています。それぞれの物語の主人公に個性があって単に運命に流されるわけではなく、楽しんで読めました。後宮の烏と舞台設定を同じにしているので、不思議な力や幽鬼なども登場し、ちょっとしたスパイスになってましたね(^_^)

[yunatakuさんの感想 · 2023年7月8日]

『後宮の烏』と同じ世界～　と宣伝文句にあるけど、前作の最終巻の失速感を思えば、宣伝文句として正しいのかどうなのか…前作も6巻まではすきだったので、この作品も読んでみようとは思うけど。

[marin2011さんの感想 · 2023年7月26日]

『後宮の烏』と同じ世界での、違う地方の物語ときたら読まないわけにはいかない。本作では見知った登場人物の出演はないけれど、物語として十分面白かった。なんでこんなにも白川さんの文章は素敵なんだろうか。
海神の娘として国の王に嫁ぐ少女たちの物語。どの娘も魅力的で、そして過去がある。つらい過去を乗り越え、王との深い愛に胸を打たれるとともに、運命に翻弄される様は胸を締め付けられる。『後宮の烏』の面々より、さらに神仏への信仰深い人々の織り成す、大切な物語。続きをぜひ紡いでほしい。

[結崎さんの感想 · 2023年7月18日]

■鯨面
・啓の父親が蘭の父親を殺したのか
御三家当主を斬首とは……蘭との関係が複雑だなぁ
・蘭の一族は呪術者を束ねる長なのか
あれ？これは白雷の血筋？
・蘭の生い立ちがなかなか辛い、兄は自害で母は自殺とは……
・蘭というか海神の娘にも使い部がいるんだね、蘭の使い部は磯鵯か
・蘭、特殊能力使えるんだね
霧？を出して、目くらましが出来るのか
これは海神の娘だから出来るの？
・啓は兄が二人いるけど性格が真逆、短気な次兄の旅、聡明で冷静な藜
・海商、後宮の烏でも出てきた…？というか、白雷だったりする？
・啓に呪詛をするとは……罷かな？と思ってたら、部下が呪詛返しにあって死んでたから確定か？
・呪詛を跳ね返すことができるとは、蘭すごい
・ようやく初夜！良かった！啓は蘭に一生手を出さないのかと思ったよ（苦笑）
・藜が急に待人の無終を啓につけたのはなんで？
急に啓と昔の思い出がある場所に行ったのはなんで？
・罷はあの呪詛の一件から職から降ろされ、桑弧家は落ち目に
ここぞとばかりに綴衣家が力をつけてきたけど、朝廷のバランスが崩れそう
・蘭の侍女、淑が罷の嫁になって「なんで…？」と困惑してたら、罷を毒殺しちゃった……
・綴衣家が鳥冠家に討ち入りしちゃった………荒れてきた
これはお咎めあるだろうと思ったら、啓はちゃんと綴衣乙を朝堂に呼び出したけど、向かう馬車を誰かが襲撃して乙が死んだ
何が起こってるの…？
・旅も死んだ！？で、藜が出奔！？
全部、藜が啓のためにやったことだったの
罷が呪詛をしたときから…
・藜、色々啓について疑ってごめん…！
藜は啓が王の器に相応しいと思っていて、それには御三家と旅が邪魔になると思ったんだね
啓のために排除したのか、てっきり啓を排除したかったのかと思ってしまったよ
で、淑は藜のことが好きだから手伝ったのか
・おお！蘭は男児二人産んで話が続くと思っていたら、啓と蘭の話が終わった…！？
・巫女王、霊子は姿形が変わらないのか14、5くらいから
・海神と霊子は本当に意思疎通ができるのね、海神は海若っていう名前なんだ

■丹の
・次のヒロイン瑤は銀髪か、もしかして寿雪と血が近い？
ただ、銀髪の扱いについては嫌な予感がしたけど、やっぱり偉い人達の愛玩的なものになるよね、そりゃ
銀髪の者が生きてるってことは、後宮の烏よりも前かすごく後の時代だね？
・海神の島に行けて良かったね、瑤
託宣がなかったらと思うと悍ましいね……銀髪同士で番にさせて子供を産ませるとか
・然はガチムチマッチョな感じだね、瑤とお似合い！
・先代の海神の娘が存命なのか
しかも、然の弟と暮らしてる…？違和感あるけども
・瑤の使い部は鷲か
使い部は娘ごとに違うんだね
・海神の娘は能力が違うのかな？
雨果の海神の娘は予知夢を見るんだね
然の母親、垂も見てたみたいだし
ただ、翳のある顔してたからなんかあったんだろうなぁ
・垂の夫は妾を囲ってたんだね……
夢が当たらなくなったり、見なくなったのかぁ
夢が当たれば人から喜ばれるけど、そうじゃなかったら罵られるのは重荷だよねぇ
・だからって、瑤が来る日に呪詛をしなくても…
そして、然が出航するときにも
・あー、海神の天罰で垂は雷に打たれたね
・良かった！然、無事だった！

■黄金
・そろそろ武に秀でたヒロインが来るのではと思っていたら、つよつよな子きた（笑）
嬋つよいなー
最低な厲君の腕を逆に切り落としてしまうとは
そして、巫女王の言ったとおり厲君は鱶達に食べられて天罰が下ったね
・嬋の使い部は鱶になれるのか、普段は虎鶫で
・嬋の顔の左の火傷は鉱山と何か関係が？
と思ったら、嬋は坑道で盗賊達と暮らしてたの！？
攫われた女や盗賊達の身内の女達とともに
崩落があって逃げ出せたんだね
・瑕が優しく寄り添ってくれるタイプだったから嬋は勇気を出して、坑道に出る盗賊達の幽鬼を祓えたね
・巫女王は300年かそれより前からずっと同じ少女なのか

■琳と蕙
・琳と蕙は同時に海神の島に？珍しいよね
琳は花陀、蕙は花勒の生まれね
・琳も蕙も若君の幼馴染か、似た境遇で性格は真反対で面白い
・海神の島を守る海人がいるのか
蛇口族の弥那利、年も近い男の子か、琳と蕙にいい友達ができて良かった
・海神の島に密漁に来るとは…
しかも、雨を降らせるためにわざと毒流しをして海神を怒らせるなんて
・琳と蕙、それぞれ逆じゃん嫁ぐ先……海神、なんで？？
・琳も蕙もそれぞれ索と職と幸せに過ごせてる良かった、お互い子ども二人出来たとは
・花陀、蕙達のとこで旱魃…、嫌な予感がする
・あー、毒流しした馬鹿な者が…
海神が怒って蕙を贄にってまじか
・琳、霊子様に直談判！？
弥那利、蕙のことが好きだったのか
琳を手助けしたくなるよね、それは
・海若って大蛇で、声は若い青年の声なんだ
霊子様は白蛇か
・え、あの海神の娘の魂が死後に使い部とともに霊子様の元に帰って、幸せだったものは大輪の白い花を咲かせてあの泉から白い魚になってたけど、海若の鱗はその娘達のからできてるの！？
・海若は霊子様に弱いのか（笑）
霊子様を巫女王にするとき、 領を一つ潰したの！？
海若は霊子様に許してほしいと思ってるようだけど、霊子様の態度からもう許してるように見えるけど？
・良かった、霊子様の援護射撃もあって海若が考え直してくれた
・同じ日に老衰で琳と蕙が幸せに亡くなったのもすごいな

■備考
領ごとの話だと知らなくて、最初の啓と蘭の話が続くと思ってたからびっくりした（笑）

著者プロフィール

三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌「Cobalt」短編新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞受賞。主な著書に『下鴨アンティーク』『契約結婚始めました』「後宮の烏」シリーズ（集英社オレンジ文庫）『三日月邸花図鑑』『九重家献立暦』（講談社タイガ）などがある。

「2023年 『海神の娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」