- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065324585
作品紹介・あらすじ
奈良県生駒市の生駒山上遊園地の遊具「飛行塔」が話す歴史ファンタジー!標高642メートルの生駒山から見続けた昭和4年から戦時中、令和までの、歴史童話。飛行塔は、子どもたちを空の世界へと誘う楽しい遊具として、昭和4年に生まれました。戦争中は、飛行塔部分をもぎとられ「金属回収」されてしまいます。明石空襲、大阪空襲を目の前で見て「戦争とは何か」を考え、その後、高度経済成長期の変わる日本を見届け、令和の子どもたちにあたたかい声をかけます。長い年月の間、高い山のてっぺんから、いろんなものを見てきた、現存する最古の遊具である飛行塔のお話。●巻末に、年表や語句説明もあり、「戦争を伝える」ためにもぜひご覧頂きたいです。●発売前から書店員さん、司書さんから評判です!「被害者」「加害者」ではなく、「第三者視点」で描かれる戦争童話は、子どもたちに客観的に戦争について考える力を与えてくれます。──紀伊國屋書店横浜店 花田優子「平和がいかに大切か。争いのない世の中がどれだけ尊いものか。稼働する最古の大型遊具が見つめた、戦前、戦中、戦後。その歩みをユニークな手法で伝えるやさしくてせつない物語。幅広い世代に手に取って欲しいです!」──NetGalley先読み読者
感想・レビュー・書評
-
生駒山上遊園地(奈良県)にある飛行塔は現存する日本最古の大型遊具。その飛行塔が主人公の語り部となり、世代を超えて人々の営みを見守る。1929年からの歴史なので、近代化や戦争を体験していく。
語り部が飛行塔なのに、すんなり言葉が染みていくのがさすがの構成力だとおもった。また、戦争が物の目線から語られるので客観的にスムーズに読めた。戦争のお話としても、時代の移り変わりを読める児童書としても良かった。
4年生くらいから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
わたしは「飛行塔」
いまから100年近く前、高さ642メートルの生駒山のてっぺんにつくられた遊園地の乗り物です
遊びに来てくれる子どもたちを飛行機に乗せて楽しませたり
ケーブルカーさんや航空灯台さん、カラスやネコたちとおはなししながら
仕事をしていました
けれど、11回目の“たんじょう日”をすぎたころからようすがかわってきました
やってくるお客さんがへり、軍人がふえ、ある日とうとう……
・
・
・
1929年、奈良県の生駒山上遊園地にできた「飛行塔」という現存する日本最古の大型遊具を語り手に、現在につながる100年間のできごとを、戦争と子どもを、吉野万理子が想像を広げて物語る
《飛行塔が話す歴史ファンタジー》──帯のコピー
金属回収、建物疎開、空襲、焼夷弾などがわかりやすく説明されていて、平和教育の入り口として中・高学年に手にとってほしい一冊
「わくわくライブラリー」から、2023年11月刊 -
読んでいる途中で、主人公の飛行塔が実物をモデルにしたものなのかが気になり、本当にあったのだとしたら今はどうなっているのかが気になり、調べてしまった。ぶら下げていた飛行機がなくなった飛行塔、複線が単線になりお客が軍人ばかりになってしまったケーブルカー。同じ場所から周りを眺め、流れる時間を見つめてきた。話すことができたなら何を話そう。
飛行塔と話ができる子どもたちをうらやましく思う。
私が読んだのは挿絵が彩色されていない下書きのゲラだが、それでも挿絵の魅力は充分伝わってきた。吉野さんのテキストからは、飛行塔をはじめ登場するものや人からやさしさが伝わってくる。物柄が良いんだ。