invert 城塚翡翠倒叙集 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1462
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065337899

作品紹介・あらすじ

★★★★★★第20回本格ミステリ大賞受賞★このミステリーがすごい! 1位★本格ミステリ・ベスト10 1位★SRの会ミステリーベスト10 1位 ★2019年ベストブックさらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補あまりの衝撃的結末に続編執筆不可能と言われた、5冠獲得ミステリ『medium 霊媒探偵城塚翡翠』待望の続編!すべてが、反転。あなたは探偵の推理を推理することができますか?綿密な犯罪計画により実行された殺人事件。アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが……。ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れることができるのか?ミステリランキング五冠を獲得した『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、待望の続編は犯人たちの視点で描かれる、傑作倒叙ミステリ中編集!invertin・vert【他】…を逆さにする,ひっくり返す,…を裏返しにする;〈位置・順序・関係を〉反対にする;〈性質・効果などを〉逆転させる;inverted detective story:倒叙推理小説

感想・レビュー・書評

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  • 相沢沙呼『invert 城塚翡翠倒叙集』講談社文庫。

    ミステリランキング5冠を獲得した『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』に次ぐ、シリーズ第2弾。

    倒叙物と呼ばれる『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』に代表されるような事前に犯人による殺人計画に基づく犯行の様子が描かれ、その犯行を探偵が暴くという形式の作品集。

    『雲上の晴れ間』『泡沫の審判』『信用ならない目撃者』の3作を収録。いずれの作品もレベルが高く、特に最後の『信用ならない目撃者』の急展開には度肝を抜かれた。


    完璧な殺人計画に基づく犯行。まるで少女マンガの主人公のような美人で少しドジな探偵、城塚翡翠が巧みに犯人に近付き、僅かな綻びからその鉄壁な殺人の全てを暴いてみせる。

    定価1,089円
    ★★★★★

  • 倒叙ミステリー。
    前作のmediumとはまた違った趣きで面白かったです!
    自分は古畑任三郎シリーズが大好きなので
    古畑が好きな人にはぜひオススメしたいです。

    続編も早く文庫化されないかなー笑

  • medhiumシリーズ第2弾。
    タイトルにもあるとおり倒叙形式で進むミステリー作品。
    殺人を犯してしまった犯人達が翡翠と対峙しどんどんと追い詰められていくという所が古畑任三郎を彷彿とさせられてとても面白かった!(事件編から解決編への橋渡しをするときのアレは古畑そのもので笑いました。)
    3編ともとても面白かったけど、一番はやっぱり最後の「信用ならない目撃者」かなと翡翠が珍しく苦戦しているなと思っていたら...まさかのひっくり返されてしまいびっくりしました!!
    城塚翡翠の頭の良さと底の分からなさが今回も遺憾なく発揮されており、それに振り回される千和﨑がとてもコミカルでとても面白かったです。次回作も楽しみです!!

    最後に、この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    城塚翡翠:沢城みゆき
    千和崎真:倉知玲鳳
    狛木繁人:榎木淳弥
    吉田直政:諏訪部順一
    末崎絵里:雨宮天
    田草明夫:三宅健太
    雲野泰典:山寺宏一
    曾根本:江口拓也
    涼見梓:悠木碧

  • 城塚翡翠シリーズ第2巻がようやく文庫化。待ってました!早速購入して読んだ。内容は、短め2編と長め1編のそれぞれ独立した3作品。どれも面白くて満足しました。

    なるほど。
    こういう形式を『倒叙』というのか。私個人では勝手に『刑事コロンボ型』と呼んでた(笑)それ以前に私が知っていた推理物は、ほぼ『犯人探し』だったので、刑事コロンボには大いにハマった。画期的だと感じた。
    そして本作は『倒叙推理物』としてよく考えられていると思う。…と褒めておきながら、「刑事コロンボほどの感動(感心?)が無い。何故だろう…。

    それは、"犯人への同調性の有無"にあると思う。刑事コロンボの犯人は、大多数がロサンゼルスに住むセレブたちだ。スキャンダルを揉み消したい政治家•自分だけ利益を独占したい経営者•浮気がばれて夫婦関係が破綻した芸能人など、基本的に"犯人の動機には同情する気持ちになれない人"がほとんどだった。その人達が物語冒頭に出て来て、一見完璧な殺人を犯す。その後で風采の上がらない刑事が完璧と思われた犯行の失点を見つけ突き崩す。
    この違いは大きい。
    特に本書では第1編と第2編では、倒叙で描かれるが故に"犯人の動機に同調したい気持ち"が芽生えてしまうこと甚だしい。さらに、本書の主人公はその美貌も含めて、"全てを持っている感"がハンパない。ヨレヨレのコートを着た冴えない風貌のコロンボと、ギャップという点では相通じるのかもしれないけど…。コロンボは"ハニートラップ"的な捜査はしないし。あ、出来んか(笑)
    いずれにしても、"後味が悪い"感じになってしまうのが残念なんですよね。以前見た映画の「容疑者Xの献身」でも感じたこと。「これだけの能力があるなら、もっと巨悪と闘ってよ!」という気持ちになってしまう。もちろん一民間人殺しも"巨悪"なんだけど、ちょっと違うのではないかと。

    …以下蛇足
    第2話の舞台は小学校。非常によく取材して書かれていると思います。現代の『小学校教諭ブラック勤務の描写』は、100点満点で…まぁ80点以上あげてもいい。それくらい正確。合格です。でもね、これを物語の中の出来事としてそのままにしておいたら、この国の未来はないと思いますよ、マジで。

  • 完璧な計画による殺人。鉄壁のアリバイ。事件は事故として、他殺は自殺として処理されるはずだった。そこに霊感によって視えないものを視る城塚翡翠が現れるまでは──。犯人視点のミステリ作品集。

    第一作『medium 霊媒探偵城塚翡翠』を読んでから、この第二作を手に取ることを強くお勧めします。あと、ぼくとしては前作までで読むのを止めておけばと後悔した作品だった。前作では怒涛の大逆転にただただ驚愕。死闘を繰り広げた犯人との関係性にも、単なる敵以上の感情めいたものを読み取り、余韻深かったところに魅力を感じていた。それが全部「反転」してしまう。結局は「人間の心を持たない変態殺人シスコン野郎」としか認知されていなかったんだなあ。この言葉で前作の哀愁感が吹き飛んでしまい、一気に色褪せてしまった。

    城塚翡翠というキャラに仕組まれた「反転」はもう使えない。そこで倒叙ミステリとして犯人視点から翡翠を描くことで、読者がすでに知っている「反転」を再び活かすというアイデアは面白い。でもね、こんなキャラだった?!あざといをデカ盛りし過ぎていて胃もたれ。胃はムカムカ、心はイライラしながら読むことに。「納得さんです」「てへぺろこっつんこさんです」とか、コナンでも「あれれ~おかしいぞ~」ってなるだろ(笑)

    倒叙は犯人の動機に同情の余地があると犯人サイドを応援しがちなのだが、ウザがらみしてくる翡翠がまったく面白くない。翡翠は論理をすぐ構築できるが、物証がなくて証明できない。そこで容疑者に近寄って、物証や失言を引き出すというのはわかる。その近づき方が男は色仕掛け、女は天然煽りというのが好きになれなかった。三話目も苦戦していると思いきや、いきなりイキってくるのが…。そして、翡翠の本心はどこにあるのかがつかめず、感情移入ができないのもしんどい。事件に横入りしてきて解明していくすっごくめんどくさい人(まあその通りなのかもしれないが)でしかなくて、どう読めばいいのかわからなかった。古畑パロディもメタ的なネタで醒めてしまう。このシリーズはお腹いっぱいさんかな…。不満点ばかりあげて申し訳ない。

  • 前作mediumの展開が素晴らしかっただけに、本作は物足りなさを感じてしまった。3つの短編で構成されているが、最後の「信用ならない目撃者」は予想外の展開で、読み応えがあった。犯人達の視点で描かれている点は、新鮮だったが、やっぱり読者の立場としては、犯人探しをしたいのが本音。前作も含め、久々に読み疲れた。

  • 城塚翡翠シリーズ2作目。倒叙ミステリ。前作の衝撃と比べてどうかな?とか感じていたが面白かった。
    古畑任三郎とは違って、容疑者を特定した根拠もしっかりしているし、推理を読んで納得できる。でもこの推理は推理できそうにない。
    殺人鬼と恋愛ごっこすることでスリルと快感を得る変態ドS探偵の活躍は次も読みたくなる。

  • 『あなたは、探偵の推理を推理することができますか?』

    前作『medium 霊媒探偵城塚翡翠』から一転、倒叙ミステリで語られる作品となった本作は、主要メンバーはテレビドラマのキャストで脳内転換されて、読み進みました❗

    全三編中、『雲上の晴れ間』と『泡沫の審判』は余り刺さる作品ではありませんでしたが、最後の『信用ならない目撃者』で、この作品の印象がガラッと変わりました❗カバー装画の意味も納得の1冊でした✨

    城塚翡翠恐るべし❗

  • ぐっ、、またもや推理できなかった。
    medium以上の驚きはないだろと読み進めていたが、最後やられました。
    新米探偵もっと勉強します。。
    読みやすくて面白い本なのでおすすめです!

  • テレビドラマの後に読んだので、映像がドラマの俳優さんで脳内変換。一度見ていても、十分面白い。
    最後の章は、小説ならではのトリック。ドラマではそのままできないトリックだったことがよくわかり楽しい。
    叙述トリックとは、文書というコミュニケーションフォーマットで生じるの罠(前提の違いなどの情報の欠落と、読み手の歪曲、一般化)を利用したものという気がした。

    前編、楽しくよめたが、いつ銃が空砲に変えられたのかとか、途中の苦戦の説明やら、そもそも犯人と確信した理由とか、靴下のくだりなどは、個人的には、もうちょっとスカッとやられた!と思いたかった。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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