サブリエル―冥界の扉 (古王国記)

  • 主婦の友社
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  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784072331125

作品紹介・あらすじ

古王国-アンセルスティエールの人間にとっては、その名を聞くだけで恐ろしいところ。そこでは、魔術がさかえ、死霊が徘徊し、冥界への扉が常に開かれている。古王国との『壁』に好んで近づく者はいない。古王国出身のサブリエルは、アンセルスティエール側の『壁』近くにあるワイヴァリー学院の寮に五歳のときから入れられ、十三年間、親と離れて暮らしていた。母は、彼女を産み落としたときに亡くなった。父のアブホーセンは古王国きっての魔術師で、蘇ろうとする死霊たちに永遠の死を与える務めを果たしている。その父が、サブリエルの卒業が間近にせまった今、失踪した。サブリエルのもとには、彼の剣と魔術の道具が、不吉な化け物の手によって届けられた。聞けば、ここ数年、『壁』の付近に出没する死霊の数が激増し、『壁』のむこう側で暮らす人々の姿がぷっつり見えなくなったという。古王国でなにかが起こっている-サブリエルは父を捜しに、単身、『壁』のむこう側に旅立った。1995年オーストラリア・ファンタジー大賞受賞、1997年度米国図書館協会ベストブック選定。

感想・レビュー・書評

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    異世界ファンタジーはやや苦手で、こわいのも苦手だけど、これはもう途中から止まらなくなってぐいぐい読んだ。

    吸引力のあるなしは、何が分けるんだろうな。

    サブリエルは、強いんだけど知らないこともたくさんあり、迷いながら必死に戦う。そのけなげさがいい。謎の猫モゲットも気になるし、タッチストーンも強さ弱さ含めて魅力的。やはり主要人物のキャラは必須かな。それだけではないと思うけれども。とにかく、ドキドキしながら一気に読みました。

  • ハンドベルの音を操るサブリエル。
    父であるアブホーセンの名前を継いでケリゴールと戦う。
    壁を挟んで、失われた古王国と、普通の世界に分かれている、という設定もおもしろかった。
    タッチストーンとの恋も胸キュンでよかった。
    続きも期待。

  • 202003
    古王国出身のサブリエルはチャーター魔術の使い手であり、ネクロマンシーであり、女学生でもある。父アブホーセンを救うため、魔術や魔物の溢れる古王国へ向かう。
    設定は読んでいるうちに分かってくるが、冒頭はおいていかれ気味。オーストラリアの作家の作品なのだが、チャーター魔術とはオーストラリアではメジャーな設定なのだろうか。主人公に優しくないファンタジーだが、サブリエルの成長と決断にはしびれる。
    一番辛かったのは、最後の力を託してくれた女学生の死と大佐の死であった。タッチストーン、もっと頑張れよ…

  • 正統なるチャーター魔術の庇護のもとにネクロマンシーの術を使い、不当に眠りから覚めた死者たちを黄泉へ送り返す孤高の存在、アブホーセン。死人を操るベルとチャーターの剣を持ち、8段階の死の世界と生の世界を行き来する。ネクロマンサーが主人公なんていう設定はあるようでなかなかない。ファンタジーと言えば剣士と魔法使いの独壇場でその他のものたちは悪役というのが定石。

    サブリエルは、魔術のはびこる古王国からは遠く離れた近代国家アンセルスティエールで、魔術の勉強をしながらも一般的な女学生として寮生活を送っている。
    ある日、とつぜん消息を絶った父親から、黄泉の国を通じてネクロマンサーの職務と武器が送りつけられる。死の入り口から、命を護る武器であるベルと剣を渡してくるなんて、父は死者になったのか?あるいは黄泉の国でなにものかに囚われているのか?
    サブリエルはすぐに古王国へ経ち、その未知で呪われた土地に足を踏み入れる。

    正統普遍なる「チャーター」の魔術、その道を外れた邪悪なフリーマジック、フリーマジックのひとつであるネクロマンシーと、それに対抗する唯一の存在アブホーセン。死の世界の奥底に潜む7人の大死霊、魔術で作り出される召使、フリーマジックでできた猫のモゲット。
    この猫はチャーターとは相容れない存在にも関わらず、自らアブホーセンの僕と名乗り、サブリエルを導き助けてくれる。数千年生きていて、知恵と、封印された途方も無い力がありそれを端々に感じさせるのだけど、同時にとても長い間猫の姿でいたせいで染み付いた猫らしさがとっても可愛い。水が嫌いだったり、大事な話をしながらもごはんの魚から目が離せなかったり、キャットニップで酩酊したり。

    独自の設定が次々と差し出されるのだけど、それがとても滑らかに受け止められてしまうのはやはり太い骨組みができているからでは。説明も描写もとても抑制されているけれど、それが却って創造力をかきたて、読んでいる側のなかで登場人物はしっかりと動き出し、世界は困難を持ってその前に立ちはだかる。

    この主人公が自分の運命に果敢に向かっていくところ、複雑な素性を持つ猫のモゲット、退廃したかつての王国とか、宮崎駿監督がアニメ化してくれないかなぁと思います。なんとなくジブリのもつ雰囲気に通ずるところがあると思う。

  • 面白いファンタジーで検索して、出てきたオーストラリアの作家ガース・ニクスのダークファンタジーの3部作の1作目。
    とにかく厚い。表紙だけ見て図書館で借りたら、久々に驚いたほどの厚さでした。
    最初に世界観の設定が長いことあってからだんだん展開していきます。厚い本にありがちで、半分くらいまではあまり盛り上がらず。残り1/3くらいになってから加速していって最後までスピードアップしていく感じでした。
    勝か負けるかの結末はわかっていてもどうやってそこに行くかを空想しながら読むのがファンタジーの楽しみだと思いますが、今回の決着のつけ方はなるほど、の結末でした。
    厚かったけど、2作目読んでみようかなという気分にさせてくれたという意味ではやっぱり、人気のあるシリーズなんですね。

  • 近現代(自動車や飛行機があるくらい)の西洋社会と、魔法が支配する古王国が、「壁」を隔てて隣り合っている、という世界。アニメなどの映像にしたら、ずいぶん見栄えがするのではないか。
    古王国で生まれた女の子の主人公が、西洋社会の学校で育ち、あることをきっかけに古王国に戻って活躍する話。主人公は7つのベルを手に、冥界に出入りしながら、死者と戦う。読み始めると止まらないストーリーと語り口と、他にはない独自の世界観がとても面白い。また、自分探しの物語という面も持っているからか、読んでいて清々しい。
    どうしてもっと有名じゃないのか良くわからない。読んだ感じでは指輪物語より面白い(偉大さとかは除く)。説明されない独自の用語などが多いので、そういうところだろうか。
    全3巻で完結、と思っていたら、原著では続編が発売されている!翻訳してください!

  • 挫折

  • 再読。
    モゲットが好き。

  • 同じ世界にありながら壁に隔てられ、まるで別世界のような“アンセルティール”と“古王国”。
    死霊を蘇らせる“ネクロマンサー”と死霊を冥界に縛りつける“アブホーセン”。
    等の設定が良かった。

    サブリエルの母親が死んだのはケリゴールのせい?
    モゲットは一体何者?大佐は死んでしまったの?
    タッチストーンの正体は割と早くわかったけど、クレア一族が人だということに吃驚。比喩かと思ってた。
    サブリエルとタッチストーンはどうなるんだろう。
    モゲットとケリゴールだったモノは?

  • 展開は予想のつく範囲なので、そういう部分を求めて読むと少し物足りないかもしれない。が、世界観がとてもしっかりしていて読んでいて浮ついた感じや無理がない。読みごたえのある正統派ファンタジーでした。

    人もたくさん亡くなるしヒロインは壮絶な目に遭うし、物語全編通して重く暗い内容なのだけど、読後感は決して重くなく、どちらかと言えば爽やか。
    チャーターという魔法が独特で、チャーター文字で出来た召使いなど作り込み方が面白い。
    敵なのか味方なのかわからない、猫(?)のモゲットが魅力的でした。

    がっつりファンタジーが読みたい!という気分の時にオススメ。
    残り2冊も読んでみよっと。
    絶版なのは確かにちょっともったいないな。

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