ART GALLERY テーマで見る世界の名画 5 ヌード かぐわしき夢

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (100ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784081570751

作品紹介・あらすじ

『ART GALLERY テーマで見る世界の名画 (全10巻)』
名画を「テーマ別」に、観て、読む、まったく新しい美術全集誕生!

『ヌード かぐわしき夢』
人体の理想の美や躍動感、また悲劇性の象徴として追求されてきた裸体像。女性のみならず、男性ヌードの名作の数々も収載する。


第1章 美の追求
第2章 主張するヌード
第3章 肉体のドラマ

責任編集 中野京子(ドイツ文学者 美術評論家)
エッセイ 平野啓一郎(作家)「肉体と油彩」
ある視点 横尾忠則(美術家)「絵画の肉体性の発見」

『ART GALLERY』監修者
青柳正規(前文化庁長官、東京大学名誉教授)
木島俊介(ポーラ美術館館長 Bunkamura ザ・ミュージアム プロデューサー)
中野京子(ドイツ文学者 美術評論家)

感想・レビュー・書評

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  • 中野京子さんの新刊が出ると連絡がくるように設定しているので、いつも通り早々と読むことができました。
    そしたら「集英社創業90周年企画ART GALLERY 全10巻」の一つであることがわかりました。
    他の中野京子さんの本に比べて面積が広いので、
    絵をよりいっそう楽しめるようになっています。
    もちろん中野さんやそのほかのかたの解説も面白い。
    他の巻も読んでみたいです。

    それで、このシリーズ「ヌード」担当は中野さん。
    ええ、それは妥当な選択でしょう。
    男のかただと嫌らしく受け取ってしまう読者もいるかも。
    平野啓一郎さんのエッセイにもそんなようなことが書かれています。

    でも、ヌードの歴史を見ると、なんと、始まりは古代ギリシャの男性裸像で、女性裸像が美術の主題として現れるのは男性より三世紀近くも後。
    なので、この本ではできる限り男性裸像を掲載。
    「ヌードがたんに異性愛者の目に心地よさを与え、官能を刺激するためのものではないことを知っていただければと思った」と中野さん。

    そして彼女はこうも言われます。

    「「ヌード」の歴史を顧みると、古代ギリシャ・ローマの盛時が千年続き、その後、同じく千年間、中世キリスト教によって鑑賞のための裸婦はほぼ姿を消した。ルネサンスから復興し、今は700年目に入ったところだが、時代の変化はめまぐるしい。芸術としての裸体はこれからも描かれつづけるのだろうか。」

    私はネットでヌード絵画を検索してみましたが、芸術と非芸術の区別がつかないのです。
    どう見てもエロいのがたくさん出てきます。

    でも「世界の名画と言われる絵画」はなぜ芸術なのか?(とくにクールベが疑問)
    それとも当時はじつは今のAVのような扱いだったのか?
    あるいは表にでてこないだけで芸術でないヌードは別に存在していたか?
    読みながらそんなことを考えていました。

    中野京子さんが言われました。
    「なによりヌードは生き延びられるのだろうか。
    現代は自由という困難を抱えてしまった。誰が何をどう描いてもよく、リアルな性器画(これはヌードと呼びたくない)さえ美術館に飾られるタブーなき時代、しかも写真や映像がつぎつぎ新たなポルノを大量に切れ目なく供給している時代に、絵画芸術における裸体はどこへ行こうとするのか。そもそもヌードを主題にする意味がまだあるのか。
    近代以前の裸体像が今なおわれわれに感動を与えるのは、人体美への素朴な崇敬に始まり、あらゆるエクスキューズを駆使してもどうしても人体を表現したいという、やむにやまれぬ強い意志が凄みとなって迫ってくるからではないか。だとしたら、もはやヌードが特別なものではなくなってしまった飽和状態の現代が求めるべきは、新たなピカソかもしれない」

  • 裸のマハ、着衣のマハの2点が京都市美術館に来たことがあった。
    その時に2点とも見ることができた。

    59ページのクラーナハのヴィーナスは、国立国際美術館で観た。

    ヴィーナスだけど、本シリーズの1には掲載されてなかった。

    アングルの泉を掲載して欲しかった。
    引越しする前の万博記念公園にあった国立国際美術館で観たことがある。

  • 古来、日本人は裸体そのものを賛美し鑑賞することも、裸体を通して魂に触れ合うことの発想もなかった。現代の日本人がヌードを観て感動するのは、西洋絵画に触れ画家たちがヌードでなければ描けなかった心情がわかるようになったからであろう。この本に納められたヌードの数々はそのエネルギーが十分に分かる名画揃いだ。

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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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