ホットロード 1 (集英社文庫(コミック版))

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 467
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086172011

感想・レビュー・書評

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  • ものすごくヒリヒリしたし読み進めるのが怖かった。不良もののシリアスな作品を読むのはたぶんこれが初めてだけど、「危うい」って言葉の意味が初めて感覚でわかった気がする。

    思春期の痛みと危うさ、一生のうち一瞬しかない瞬きの眩しさだけじゃなく、最後に愛を知る事で大人になっていくところが描かれていたのが良かった。
    子どもに弱さ故の美しさ・愛しさのようなものを感じつつも、そこに溺れるのではなく、大人になることで強くなることの素晴らしさを感じることができた、気がする。

    あと単純に作中に終始漂う空気感が最高。絶妙に切なかった。舞台が湘南で海沿いというのも好みだし、モノローグの描写もきれい。

    宏子さんトオルさんハルヤマの三角関係に何があったのかのちのち詳しく描写がされるのかと思ったらそうでもなくて、読み終わってからあれっそういえば、と気になったけど、あえて明らかにしない方がリアルな気もする。

    ハルヤマと和希幸せになってね。。

  • 文庫版、全二巻。

    期間をおいて何度か読みたくなり、
    そのたびに読み返しているけど
    読んでも読んでも良いと思える数少ないマンガの1つです。

    多感なころに読んだせいかもしれないが、
    その後も何歳で読んでもすごく心を持っていかれる。

    ただのヤンキーマンガでなく、恋愛マンガでもなく、
    人間ドラマのようなマンガです。

    いまや「ママ」の方の年齢に近いので
    大人の「弱さ」にも涙してしまう。

    2巻の後半は泣きっぱなし。

    このさきどんどん涙腺が緩くなっていくのだとしたら
    もうこれは読めないかもしれないなw

    しっかし主人公が14歳てねw

  • 青春の一冊(当時は実写映画のみしか知らず)。

    生きてきた世界とまるで違う恋の話だけど、かっこいいことはよく分かる。

    正直この漫画の凄さには幼い頃に気づける自信はない。
    描かない、背景、口語、モブ、ラブシーンの少なさ、場所・登場人物の説明の無さなど。
    この年でもゆっくり読んでやっと分かる。

  • ハルヤマぐうかっこい✨✨
    ヤンキー最高

  • (01)
    彼女ら彼らが出現する場所がまず注目される.ロードというテーマでもあるので,それは圧倒的に路上である.単車に乗っていてもいなくても路上である.もちろん学校内,住居内,店舗内,病院内という場面が混じりはするものの,路上に勝るものではない.路上であるからこその交通と友好(*02)が結ばれている.
    路上であるが,昼間は言うまでもなく太陽にホットに照らされていることが多いが,夜間も照らされている.この夜間の光,テールランプ,ヘッドライトは作風を印象づけているが,そのほかの街の様々な光に照らされていて,主人公たちの眼(*03)はおそらく闇に安らぐことがない.余白の大きさや白さが,露出オーバーやフラッシュを思わせる,光の過剰を際立てている.
    それら光たちの勝利は,そのまま,本書のテーマでもある戦後の日本人の家族と生活のパラドキシカルなありようを指示している.

    (02)
    路上にたむろしているその姿は,いわゆる集会に代表されるが,立位もあるがときに座位も見られる.いわゆるヤンキー座りも前面的ではないが描かれている.おそらく80年代の湘南あたりではまだ,路上が汚れていたせいか,それとも立位の労働等に慣らされていたせいか,10代の彼女ら彼らも路面レベルにそのまま腰を落として座るということはない.または,次の出走などの運動に備えているのかもしれない.座っても堤防の上であるとか,路面からのわずかな立ちあがりに腰を掛けている様が80年代の都市風俗として記録されている.

    (03)
    瞳の中の妙な光,それはモノローグによって「夜景」と解説されることもあるが,この瞳の描き込みも人物造形や風景描写を大きく担っているが,一方で,指の描き方も心に残る.注視していると,手や指のデッサン集のようにも見えてくる.この描き込みの意味は,本書のテーマでもある生活に関わるものだという予感がある.

  • 初めて読みました。この漫画が出た頃はこういう暴走族系が結構あった気がする。

  • 湘南の暴走族とその彼女さんの物語。
    って簡単に言ったら、ファンに怒られそうだけど…。

    14歳と16歳でこんなんじゃ、親は困っちゃうよね。
    弱い者同士が群れてるわけで、1人でいるより居心地が良いのは確かなんだろうけれど…。

    ヒロインの和希ちゃんは母親がずっと不倫していて、自分は母親が嫌々結婚した(どういう経緯だ?)父親の子供だから愛されていないと感じている。

    お相手の16歳にしてガソリンスタンドでバイトしまくるわ、女性と遊びまくるわ、暴走族で特攻やってるわの春山くんは、連れ子として入った今のお家の居心地が悪いらしい。

    和希ちゃんの母親に比べたら、お母さんはとても良い人なのにね。
    やっぱり自分のお母さんを取られちゃったって気持ちがあるのかな。

    冷静に考えたら、だからって何でここまで極端に生きるんだろうって思うんだけど、雰囲気づくりが上手な作者さんだから、それほど違和感を感じずに読めました。

    書き込みの少ない空白が多い白い紙面なのが、かえって現実を感じさせなくて良かったのかも…。

    学校の成績がいまいちだったり、打ち込める部活や趣味がなかったり、自分に自信がないタイプの人は、たしかに魅かれちゃうシチュエーションかもしれない。

    ピュアだから傷つきやすいって若者の雰囲気を上手に演出していたし、実際やっていることは視野が狭いお子ちゃまのそれでしかないんだけれど、恋愛至上主義的をうまく読者に植えつけて、ロミオとジュリエットに通じるような「冷静に考えたら変なんだけど、これはこれでよいのだ!」的世界観に入りこませていると思います。

    だけど、こんな男になんで惚れるかね~。
    裏世界で有名人だとか、族で次のトップを取るとか、あの人の彼女だったら自分の価値も上がる的な考えが絶対になかったとは言えないように思っちゃう。

    でも、好きな人には好きな世界なんだろうな。
    いまどき湘南で族で群れてるなんて、時代に合わないから、今の若者がどう読むかはわからないけれど…。

  • 感想は2で。

  • 読んでいると胸が潰されるように痛くなる。それは彼らが迷いもがきながらも、必死に生きているからなのだと思う。その純粋さが胸を打つ。
    ものすごい痛みを描いた今作だけれど、その痛みに向き合って、さらに未来へ希望を残す終わり方だったのは本当に良かった。
    愛を知ったら、強く、優しくなれる。

    彼らの日常は私のそれとはかけ離れているものだけれど、こんな世界もあるんだなあと、惹きこまれた。

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