- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086801003
作品紹介・あらすじ
「禁断の絵」を守る成瀬家から問題の絵が盗まれ、何者かによって異人館画廊に持ち込まれた。同時期、次期当主の雪江が遺体で発見されるが、容疑者の男が千景の誘拐事件の関係者とわかり……!?
感想・レビュー・書評
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前回の島での出来事は、千景に少し変化をもたらしたよう。
今回は千景の母が通っていたという占い師、怪しげな婚活パーティ、そしてまた庭の設計に関わった父・・
千景さんよ、世の中はこんなに波乱万丈ばかりではないのよ。
(物語としては面白くないかもしれないけれど)千景が安心して過ごせる生活になるといいな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もうとっとと思い出してしまえ!と酷いことを考える一読者。
前は父親の影が、今回は母親の影がちらつき。
いろいろと根深そうですなぁ。
絵画の謎は興味深いので、次作もてんこ盛りでお願いしたいところ。 -
■月の明るい夜、フラワーロードに突然クラッカーの音が鳴り響いた。
成瀬家は、代々“禁断の絵”を守ってきた旧家だ。その絵が盗まれた。現当主の美津に絵をさがしてほしいと頼まれた千景と透磨だが、件の絵は異人館画廊に置き去りにされていた。同時期、失踪中の次期当主候補・雪江が死体で見つかるが、容疑者として浮上した男が千景の誘拐事件の関係者だと判明し!? 深まる謎の中、記憶の封印が次第に解けてゆく。緊迫の美術ミステリー!! -
美術ミステリーの4冊目。
千景と透磨の関係は少し進展し、千景の記憶が少しずつ戻ってきている。
透間は彼女の戻りつつある記憶と、現在の彼女との間でどう立ち居振舞うのか。
彼女を過去から守るために、彼は何をするのか?
千景の父、そして姿の見えないカゲロウなる人物も徐々に姿が見え隠れし、今後の展開が更に気になるところである。
本作では「禁断の絵」が鍵となる。
目隠しをした女は何を意味し、どこにいたのか。
それが明らかになったとき、千景自身が覆い隠していた過去が現れてくる。
目隠しをした女というとすぐに思い出すのがレディ・ジェーングレイの処刑を描いた絵画だ。
白く浮かび上がるジェーングレイ。
彼女が示す意味は......。
人を羨ましがる心はほんの少しなら自分を磨く石になる。
しかしそれが多すぎたり強すぎたりすると一体どうなるのか。
嫉妬は七つの大罪の一つである。
自らを破滅せしめるもの、それが嫉妬が大罪である理由に違いない。
絵画には力がある。
かつて文字の読めない人々が大多数だったとき、絵画のモチーフで、情景で、人々は絵画から意味を読み取り、自らの心に留め置いた。
それは言葉より強く、直接的に自らをかえうるものであったかもしれない。
それと同じように、「イチジクの実」は千景の心に届くだろうか。
そして彼女は楽園の外で何を知るのだろうか。 -
千景の父親に続き母親の話も出て来てて、千景の誘拐に関連のありそうな人物も出て来てて、少しずつ誘拐の核心に近づいてるのが小出しではあるけど、先が長く楽しめそうでいいかなって思えてきた。それは千景と透磨の関係にも言えてる。お互いが距離を縮める事を恐れているけど、近づきたい、信頼してる、特別であると言うのが描かれ出してて、焦ったくはあっても彰と同じくニヤニヤしちゃう。特に透磨は独占欲強い?って感じがいいわ〜将来が楽しみ。カゲロウさんも登場して楽しくなりそう。
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かげろうさん(生)初登場では??
かげろうさんはキューブのメンバーやもう出て来ているキャラの誰かなのかと思っていたらちゃんとキャラがいてびっくり。 -
異人館画廊、4巻目。
とっかかりの時点で西之宮透磨のじれったさ。好きになる……
物語自体じれったくて、それが押しつけがましいわけではなくて、すっきりとしていてメインは絵画(イコン)っていうバランスが最高…
カゲロウさん絶対この人!
とおもったら、今作の中でしっかりとそれが確認できてよかった!
じれったい!このじれったさがたまらない!
焦れったくも少しずつ近づく千景と透磨のやりとりが、気持ちの変化と関係の変化の描写が、本当に甘くて苦くてすっぱくて。最後、千景があえて踏み出した一歩を、敏感にもしっかり察知して応えてくれる透磨のその気持ちが最高にうれしかった! -
シリーズ第4弾。今回は旧家に代々伝わる“禁断の絵”をめぐるお話。
今作では千景と母親の過去の話が語られる。父親にも母親にも理解されず、受け入れられなかった千景の心の傷が痛々しい。そして、旧家の当主・美津と娘の雪江、もう一組の親子の関係もどこか歪んでいる。
そんな中、祖母や透磨をはじめ、キューブのメンバーの温かさに包まれ、徐々に他人を頼ることを覚えた千景の姿にほっとする。
でも、今作は何と言っても今まで謎だったカゲロウさんがついに登場!千景と透磨の関係も少し変わりつつあるので、次に期待かな。 -
もしかして谷さんは、もっともっとおどろおどろしい話を書かれたら面白いのではないだろうか、と読みながら感じました。
このシリーズは、割とあっさりと人が死に、グロテスクな描写はほとんどないものの、事件に関わる人間の内面がドロドロしています。
主人公が浮世離れているせいで、まるでそういったことを感じない作りにはなっていますが、みんな負の感情に引っ張られているなあ…と毎巻思います。4巻目になる今作は、一番それを感じたかもしれません。キリスト教における7つの大罪の中で、一番罪深いのは嫉妬だと思っているんですが、さもありなん。嫉妬から引き起こされる様々な感情は、己をも傷つけますね。怖い怖い。
透磨がやっと本気になりました。京一さんではつかなかった火が、例の彼によって、やっと。次巻も楽しみです。 -
徐々にだけど煮詰まってきている感じはある。失われた記憶のことも、恋路のことも、あと何冊かでけりが付くんじゃないかと思う。