- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086803281
作品紹介・あらすじ
陰謀渦巻く後宮で繰り広げられる、華麗なる中華寵愛史伝、開幕!
栄華を極める凱帝国に、新しく皇貴妃が誕生した。名は共紫蓮。そのつとめは、諍いの絶えない後宮を治めるため、偽りの寵妃となること。
後宮では、理知的な蔡貴妃と妖艶な許麗妃の派閥に分かれ、常に騒動が起きていた。
身重の皇后は気が優しく、妃嬪たちを制御しきれていなかった。聡明さを買われて入宮した紫蓮は、皇太后のうしろだてのもと、なんとか後宮を統率していった。
皇帝たる高隆青とは、男女の愛はなく、職務上の絆で結ばれているのみ。己の責務を必死にこなしながらも、紫蓮は一抹の寂しさを覚えてもいた。
隆青には、かつて深く寵愛した妃がいた。元皇貴妃たる黛玉は、皇帝の寵愛を一身に受けながらも、大罪を犯して冷宮に送られた。だが、いまだに騒動を起こしては隆青の心を煩わせる。そのいびつな関係は、やがて大きな事件へと発展し……。
妃たちの野心と嫉妬、はかない栄枯盛衰。すべては、絢爛たる後宮が見せる泡沫の夢……。
感想・レビュー・書評
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面白かったです!
最近、宮廷を舞台とした中国ドラマをいくつか見ているのもあって、自分の中でブームができあがったように当たりでした。
コバルトで10冊ほど出ているシリーズの続き、とのことですが、話自体は一冊完結という形なので、これから読んでも問題ないみたいです。登場人物が共通であったり、過去の事件として出てきたのがコバルトで出ている話なんだろうと思います。
あとがきには、コバルトはやや少女テイストで、こちらは史実等に割と忠実な宮廷の作法や仕組みを描いたとありました。
今までにも中華風だったり、もっと曖昧ななんちゃって中華な作品もいくつも読んできましたけど、そういう下地があってもこの作品はなかなかに読みにくい部分もあると思います。漢字が多いな、とか名前やら名称やらが多くてよくわからないな、とか服や美術品の描写がよくわからない、とか。私はドラマを見ていたのが役に立ちましたが(笑)
中国は歴史が長いし、土地も広大である為に様々な国があり、それぞれの風習や決まりごとがあって、それらを色々と考証しながら書いたというのであるから、作者の熱意はすごいなぁと思います。このシリーズは明王朝をモデルとしているそうですが、違う時代や国をモデルとして書かれた作品があれば、読んでみたいですね。
中国の身分制度というのは不思議なもので、絶対的な上下関係かと思いきや、最下級の身分から成り上がったり、偉人となる人物の母となって権力を握るとか、史実でも結構ありますね。一度落ちぶれても、割とあっさりと返り咲くこともあるようですし。高位の人の気分次第で奴婢やら何やら簡単に処罰されてしまうような中、成り上がっていくのは相当な才覚が必要だったのでしょう。だからこそ、こういう話が面白いと言えるのでしょうが。
とは言え、職人の娘が後宮を穏やかにまとめられるというのは難しいのではないのでしょうかね。しきたり等はもちろん、権力の勢力図とか完全に理解して仕切るのは職人の娘では無理ではないかと思うのですが。そこだけ少し気になりました。
オレンジ文庫でもこのシリーズは続くのかな? -
婚家で冷遇され出戻った紫蓮が次に嫁いだのは皇帝で、後宮を束ねる妃としてだった。
女たちの愛憎、渦巻く陰謀、起こる事件。
ピンチに陥った紫蓮がどのように切り抜けるのかも面白かった。
後宮の階級やしきたり、主人公の特技でもある染物の様子あって興味深い。
どうやら読み切りシリーズらしいので、前の作品も読んでみたい。
それにしても、2度も床入りを邪魔された徐令姫はその後どうなったのだろう。 -
後宮での事件解決や政治を求めていたので、後半かなり早足になってしょんぼり。そういうこともあるかもしれないけれど、それが読みたいわけじゃないんだよね。一巻ごとにヒロインが変わるから、そういうのをじっくり書いてもらえないんだろうし、次作は読まないかな。
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紫蓮が仕事の出来る女で格好良い。その分隆青があまり魅力的では無いんですがバランスの問題かな。基本主従な関係の二人なので、恋のどきどきとかは無いですが十分楽しめました。
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コバルト文庫のシリーズの続編とのことです。最近東洋後宮ものが流行しているようですが、かなり黒めでした。
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後宮好きにはたまらない一冊
こういう夫婦関係も悪くないと思うけど、好きな人には1番に想ってもらいたいよなぁ
本の中だから一夫多妻制も面白いんだよね -
難しい言葉とか読み方とか多くて読むのちょっと大変だったけど、楽しく読ませていただきました! 主人公もそうだけど、昔の女性はいろいろありすぎて…いや今もそうなんだけど。後宮という場所は誰も信用することができないところだなぁ。尹皇后の昔話はとても好きでした。当時はとても辛かっただろうけどね…。
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つ、辛〜〜〜〜…………
舞台が舞台だけに、非常に業の深い内容だった…。
コバルト文庫からの後宮シリーズからオレンジ文庫での刊行に変更になったせいか(あとがきでも書いてあったけど)ラノベ的な嗜好から、かなり架空史記ものの側面が強くなっていた。
そのせいかコバルト文庫時代の、血生臭い世界での男女のイチャイチャラブラブ後宮ライフ♡が鳴りを潜めていた。
コバルト文庫の方だとだいたい「俺の嫁だけど、は?可愛いすぎないか?」「私の旦那がカッコ良すぎて辛い」みたいな砂糖を吐きそうなやりとりが必ずあったのだ…。
あそこが好きだった自分としては少し残念だったけど、これはこれで濃密な権謀術数渦巻く後宮ものとしてとても面白かった。
ヒロインの特技が作中のテーマとして使われるシリーズだけど、今作ヒロイン紫蓮の特技が染物ってこともあり、色んな物事や人物を色彩で例えるのがとても綺麗だったな。
までのシリーズでの主役二人も善人ばかりではなかったけど(特に皇帝とその寵妃の立場にいるキャラは)今作のヒロイン紫蓮とヒーロー隆青はその傾向が強かったように思う。
何度も作中で語られるけど、皇帝は善人には務まらないから………。
でも二人とも善人ではないけど(これは他の小説からの引用だけど)「尊敬できる悪人」だと思う。
立場が違ったら幸せになれるんだろーなーと思いつつ、そう考えて憐れむのは彼らにとって侮辱になるのかしらと思ったり。
色んなしがらみがあるから、手放しで「そうして結ばれた二人はいつまでもいつまでも幸せに暮らしました」とはいかない。
でも、とても美しく、未来を願わずにいられないような読了感だった。
とても面白かった。久しぶりに徹夜で読んじゃったよ。