谷中びんづめカフェ竹善 4 片恋気分の林檎フェス (集英社オレンジ文庫)
- 集英社 (2020年12月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086803564
作品紹介・あらすじ
「私が好きなのは菱田さんです」勢いでセドリックに告白してしまった紬。
気まずさにいたたまれず、竹善にも顔を出せずにいた。
そんな時、ネットに竹善の悪評が書かれているのに気づく。
事実に反するその口コミに憤慨した紬は、友人たちと協力して書き込み主を特定するが、犯人は意外な人物で!?
竹善の名誉挽回のために奔走してくれた紬に深く感謝するセドリックだが、彼女の想いに対して出した答えは……。
秋から冬へ、林檎の色づく季節に、いつの間にかここが大切な居場所になっていたことに気づく。
谷中のびんづめ専門カフェであたたかく紡がれる、おいしい下町人情物語。
感想・レビュー・書評
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谷中びんづめカフェ第4作。
びんづめカフェを中心に、今回も谷中銀座、初音の森、よみせ通り、谷中霊園、日暮里生地問屋街、根津神社、文京区白山、へび道、不忍通りなど界隈で実在の場所が登場。このエリアは土地勘があるので、リアルに場所の雰囲気を想像しながら読み進められるのが個人的には楽しいシリーズでもある。
主人公の紬はコミュ障と言いつつも、正義感が強く他人のために行動できる大学生。びんづめカフェの近所で一人暮らしをながら、地元の人々と交流や趣味の手芸を通じてのつながりなど、1作目から比べて格段にネットワークを広げている(とてもコミュ障とは思えない!)。
美味しそうでほっとする食べ物や飲み物を提供するびんづめカフェは店主のセドリック親子も含め魅力的。ほかにも、谷中一帯の雰囲気や紬のキャンパスライフなどにも触れられ、楽しく読める一冊。 -
多分ここで終わりなんだろう。
あと引くところではあるが、潔さも感じる。
よくある作品ならここからもういっちょ大どんでん返しがあるところだけど、それはでないところも真摯だと思うし、虎太郎のところを仄めかしで終わるところも読者の人気キャラを両方立てた、って感じがする。
それにしても、セドリックと紬が向き合うシーンはめっちゃ胸が締め付けられました。きゅーーーっって。わかってたけどやっぱり辛い、っていう紬の気持ち、セドリックのぼやかさない優しさ、両方好きでした。
2023.5.13
80 -
コミュ障害といいつつも、不器用ながらにもたくましい紬。
セドリックと虎太朗との三角関係も緩やかに進展していく。
竹膳のご飯が相変わらずとてもおいしそう。
近所にあったら、いいな。入り浸りたい。 -
読了。シリーズ4作目。
前作でセドリックに告白をしてしまった紬。その後気まずい時間を過ごしながらも、元の関係に戻りいつもの時間を取り戻す。
今回は怪談もどきの話もあったり、紬の父親が上京したり、虎太朗の恋心があったりと、セドリックのお店を中心に登場人物の日常が描かれる。
不覚にも紬の父親の回は涙ぐんだ。
この町に住む住人達の暮らしや、セドリックの作る料理がまるで目に浮かぶようで、読んでいても楽しくなる。
なんとなくシリーズの終わりを感じさせる終わり方だったので、これで終了なのかもしれないのが少し淋しくも感じる。きっと谷中のどこかでセドリックや紬、虎太朗その他の人達は今も楽しく暮らしているのだろう。
コミュ障といっていた紬も4巻の間にずいぶんと成長して、素晴らしいコミュニティを広げていると思う。シリーズを通して、楽しく主人公の成長を読むことができた本だった。
本の中に出てくるジャムや料理のレシピ本が別冊で発売されないかなぁと楽しみに待つことにしよう。
楽しい本でした。
ありがとうございました。
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物語全体としては緩やかな動きの4巻。各登場人物の性格や背景がある程度固まったところに連作短編のような形で描かれる物語。
しかし今回はなんといってもリンゴ。ジャムもシロップもとても美味しそう。もう一月早く読みたかったような、でも探せば紅玉あるかな、なんて。 -
勢い余ってセドリックに告白してしまった紬。
気まずさにいたたまれない日々をすごしていた
ある日、ネットに竹善の悪評が書かれているのを
見つけてしまう。憤慨した紬は書き込み主の
正体を探るが、犯人は意外な人物で!?