花は愛しき死者たちのために 罪人のメルヘン (集英社オレンジ文庫)

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086804875

作品紹介・あらすじ

早くに夫を亡くしたあとも、ひとり仕立屋を営むレーネ。
ある日、黒装束の男が現れ、「ドレスを一着頼みたい」という。
店に運ばれてきたのはなぜか腐敗しないという美しい少女の「遺体」だった。
初めは気味悪く思っていた彼女だが、採寸のために彼女に触れるうち、
次第に不思議な安心感が湧き上がってくる。
「こんな子が、私たちの娘だったら良かった」と思うと愛しさは増してゆき、
亡き夫との間に授かった子供であるかのように接するようになる。
いつも物憂げな表情をしていた彼女は、日増しに明るさを取り戻していく。
だが実は、亡き夫に対し、レーネは大きな秘密を抱えていたのだ――。

ある伯爵に拾われ、川のそばの土地管理人として雇われた「男」。
しかし、「男」は伯爵たちが廃墟の中でどんな“遊び”に興じているか知ってしまった。
その“遊び”の中心には硝子の棺があることも――。
棺の中身が欲しくなった「男」は………。

決して腐敗しない、死せる美少女エリス。
彼女が何者で、いつからこの姿なのか、知る者は誰もいない。
目を開けることも、しゃべることもない彼女がもたらすのは、破滅か、祝福か―――。
ダークメルヘンの世界へ、ようこそ。

感想・レビュー・書評

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  • ダークメルヘン再び。
    今回もエリスは様々な人を魅了していく。
    性別も年齢も問うことなく。
    そして、魅了された者たちの最後は全て……

    粗筋にあった話以外は、前作の後日談と「カロン」についての物語と作品世界の掘り下げ話となっている。
    粗筋にあった話も後日談といえば後日談だけれども、ちょっと他の話2つが性質が違うというか。
    特に「カロン」の物語は奥深かった。
    伏線は前の話から用意されているので、その違和感に気付けると「おお!?」となるかも。
    この作品、時間軸順に各話が配置されている訳ではないので、下手すると時間軸が大幅に前後するので注意が必要。
    でないと、ミスリードに引っかかる。
    ポイントは没個性の「カロン」唯一の印象的な部分を覚えておくこと。

    それにしても、「カロン」の話を読んでいて思ったのは、本当の狂人は内部から狂うってこと。
    外側から見て何の異常がなくても、とっくに壊れている。
    それを気付かせないところが、怖い。

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