- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087202052
作品紹介・あらすじ
新聞がもっとも輝いていた時代。それは戦争に対する切ないほどの反省の上に立った新聞ジャーナリズムが、日本の再生に向けて真摯な言論活動を行なっていたころだった。いま、その時代の熱気はどこへいってしまったのか。新聞記者として、長く第一線で活躍してきた著者が、熱い時代の自身を語りつつ、変質していく新聞への厳しい批判を展開する。新聞史上に残るスクープや調査報道が、なぜ最近見られなくなったのか。新聞の再生には何が必要なのか。著者渾身の新聞ジャーナリズム論。
感想・レビュー・書評
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レビュー省略
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題名が誤解を招く。現場の話はあまりなく、新聞ジャーナリズムの歴史を追う本。
ロッキード事件、リクルート事件、西山事件、サンゴ捏造…日本新聞報道史における大事件をコンパクトにまとめ、記者クラブ、テレビ系列化といった問題も一通り取り上げている。よくまとまっていて便利だ。
著者の問題意識は、「新聞論調の二極分化」、それに伴う権力批判の衰え、「平和と人権を守る」という新聞の使命の弱体化にある。
興味深いのは、本書で書かれたことは10年経ってさらに古びたということだ。「新聞の役目は権力批判」以前に、「国民の監視の目がないと、国家権力は平気で人権を侵す」という認識も到底共通のものではない。「政府が右といったものを…」というNHK会長の発言も、10年前ならまだ批判されただろう。
第七章の提言…戦争に反対しよう、権力監視を強めよう、テレビ系列化をやめよう、特ダネを増やそう、スター記者を育てよう、常に過去の報道を検証しよう…
いくつ達成された?朝日新聞は検証しようとしてコケた。変わるなら今しかない。10年後、同じ提言が繰り返されてももう直せないだろう… -
毎日新聞出身者が書いた新聞社(新潮新書)にしてもそうだが、結局は新聞が、というよりは自分がいた新聞社が生き残るためには、と、あれこれ企んでいるような印象しかない。
序盤には、同業他社の功績を素直に評価している箇所もあったが、結局は過去の成功体験に酔いしれているような記述が目立ち辟易する。時代が変わっていることに気づいていないのか、あるいは気づいているが直視しないのか…… -
記者の現場の視点が生きていて割と面白かった。
新聞記事もそうだけど、例えば「~は少なくない」とかいう否定の否定みたいな曖昧な表現が気になる。あと「~という気がしてならない」という主観も(これは記事では見かけないけど)。新聞記者だって人だから主観は当然あるんだけど、とはいえデータで示したり調査したりで、もっとできることあるでしょうと思う記述もある。
あまり目新しい主張がなかったんだけども、まあ10年前の著作なのでな。逆にこの時から10年経ってジャーナリズムはどれだけ変わったんだろう。 -
新聞は本来権力に対する監視機関として生まれてきた。だがその新聞の役割が変わりつつあるように思える。今の新聞は権力に迎合しており、そこにはかつての批判精神が見られないしその情報には偏りが見られる。現代はテレビ、インターネットの時代であり僕たちは無料で多くの情報を手に入れることができる。本来の役割を忘れただ情報を垂れ流すだけだったら新聞はいらない。なんで無料で手に入れることができる情報を買うのに我々がお金を払うのか。それはやはり新聞を読むことによってほかのメディアとは違う視点から物事を見れるからだと思う。そういったいみでこれからの新聞業界は国家権力から独立をしてそれと戦いもっと独自の強みを生かす(ほかのメディアには無い取材力や情報の正確性)メディアであってほしいと思う。
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[ 内容 ]
新聞がもっとも輝いていた時代。
それは戦争に対する切ないほどの反省の上に立った新聞ジャーナリズムが、日本の再生に向けて真摯な言論活動を行なっていたころだった。
いま、その時代の熱気はどこへいってしまったのか。
新聞記者として、長く第一線で活躍してきた著者が、熱い時代の自身を語りつつ、変質していく新聞への厳しい批判を展開する。
新聞史上に残るスクープや調査報道が、なぜ最近見られなくなったのか。
新聞の再生には何が必要なのか。
著者渾身の新聞ジャーナリズム論。
[ 目次 ]
序章 新聞の危機
第1章 新聞の輝き
第2章 テレビと新聞
第3章 新聞の弱点
第4章 新聞と調査報道
第5章 新聞の落とし穴
第6章 読売・朝日の憲法対決
第7章 新聞復権への道
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
10016
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権力の監視という、新聞に課せられた最大の役割にたいし、終戦以降の新聞がどう向き合ってきたかを、みずからの体験を軸に追っていくことで、現代日本のジャーナリズムを批判するという本書の目的を、うまくはたしていると思う。構成や文体からは、さすが元新聞記者というだけあって、余裕が感じられた。
ただし、印象として、筆者がかつて在籍していた朝日新聞をやや持ち上げすぎ、擁護しているという感があった。というよりも、みずからが現役時代にかかわった報道や記者を、やたらと賛美しているのがどうも鼻についてしまう。たしかにその報道は素晴らしいものであったのだろうし、著者自身が身近にふれていた事例を取り上げることで、論調に説得力をもたせたいというのはわかるが、それがかえって、他社の称えるべき報道や記者にたいする薄い記述と対比されて、いっそう自慢話のように感じられるきらいがあった。
さらに視界を広げて見れば、かつて新聞が輝いていた時代を経験しているだけに、なのか、そもそも著者が新聞にたいして寄せている期待が過大なのではないか、とも感じられる。「あとがき」で述べているとおり、著者の新聞論は古典的といえばそうなのだが、それはもとより、マスメディアのなかで新聞だけが輝きを取り戻すというような状況が、もはや想定しづらくなっているように思えてならないのだが。
まあとはいえ、ジャーナリズムにたいする批判という全体の主旨にたいしては、おおむね賛成。過去の大きなスクープなんかもさらえるから、それをよく知らないという人にとっても買って損する本ではないかな。 -
地元図書館より。
ジャーナリズムとは何かについて焦点が当たっていた。
ネット時代における新聞の役割、報道の自由とは、新聞の、他のメディアとは違うところはどこか、放送業界を志す以上は素通りできない内容が、盛り込まれていた。
特に最後の章は、じっくりと読むといい。