新型インフルエンザ 本当の姿 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205176

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  • S493.87-シユ-0517 300072923

  • [ 内容 ]
    2009年春に世界中を震撼させるパンデミック(世界的流行)をひき起こした豚由来の新型インフルエンザウイルスは、実は四つの異なるウイルスの遺伝子が混じり合って誕生したものだった。
    インフルエンザウイルスは有史以来人類の脅威となってきたが、その複雑な誕生システムについては意外に知られていない。
    強毒化も懸念されるインフルエンザウイルスはどのようにして生まれどのようなメカニズムで変異していくのか。
    ウイルス研究の世界的権威が、対策も含めて新型インフルエンザウイルスのすべてを明らかにする。

    [ 目次 ]
    序章 パンデミックの兆し
    第1章 ウイルス予備知識
    第2章 新型インフルエンザ誕生のメカニズム
    第3章 新型インフルエンザウイルスの不気味な姿
    第4章 「危ない」インフルエンザウイルスは他にもある
    第5章 夏の北半球から去らなかった新型ウイルス
    第6章 来るべき冬の大流行に備えて
    付録 インフルエンザウイルス以外の危険なウイルス

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 昨年のGW直前に新型インフルエンザ(当時は豚ンフルエンザ)が急にはやりだして、修学旅行や各種行事が中止になったのは記憶に新しいことですが、夏の間に猛威を奮ったインフルエンザが、冬になってそれほど騒がれていないのはなぜなのでしょうか。ワクチンが効いたから?皆の免疫ができたから?と思ったりするのですが、本当のところはどうなのでしょう。

    この本ではインフルエンザを長年研究されてきた河岡氏が、インフルエンザの歴史を含め、今回のインフルエンザ対策も含めて解説しています。インフルエンザの予防には”うがい”よりも”アルコールによる手洗い”である(アルコールはウィルスの膜を壊す効果がある、p158)理由がわかったことは私のとっては良かったです。

    以下は気になったポイントです。

    ・ウイルスとは、植物や動物の細胞機能を利用して子孫を増やしていく(複製をつくる)最小単位の生き物であり、細菌がそれ自体で増殖できる点や大きさが細菌よりも小さい点が異なる(p26、27)

    ・細菌の薬は、自ら増殖する機能に着目して細菌だけを攻撃する薬を作れば良いが、ウィルスを攻撃する薬は、宿主である細胞にも副作用がでるので難しい(p28)

    ・風邪の症状を引き起こす原因となるのは、80%がウイルス、残りの20%が細菌、原因となるウィルスは200種類以上ある(p53)

    ・最も古く大きな被害をだしたインフルエンザは、1918年から19年にかけて全世界で2000万人以上と言われる死者をだしたスペイン風邪、日本では2000万人以上(当時の人口:5500万人)が感染して38万人死亡(p54)

    ・アジア風邪は1957年にアジアで発生、日本では98万人以上が感染し7700人が死亡、1968年の香港風邪は、14万人罹患して死者は2000人(p56)

    ・毎年の季節性インフルエンザとして流行する「A香港型」は、香港風邪ウイルスの末裔(p56)

    ・新型インフルエンザが旧型インフルエンザを駆逐する、スペイン風邪ウイルスは1958年にはアジア風邪ウイルスに、同様に香港風邪ウイルスの出現により、アジア風邪ウイルスも駆逐された(p57)

    ・1977年に現れたAソ連型(H1N1)は、スペイン風邪ウイルスと同じ型であり復活したことになるが、ウイルス学では絶対に起こりえない、インフルエンザは少しずつ変化をしていくものだから、この理由としては「人為的な理由によるもの」と思われている(p59)

    ・鳥インフルエンザウイルスは、41度という温度のもとで活発に増殖するウイルスなので、33度と温度の低い人間の上部気道ではうまく増殖できない、喉より温度の高い深部の気道で増殖する(p76)

    ・日本の場合、季節性インフルエンザに100万人程度かかることがあり、多い年は1000人以上が死亡している、実際の感染者は医療機関からの正式報告値なので、実際はその10倍(1000万人)とも推測される(p148)

    ・日本の大半の医療機関では、インフルエンザ診断キット、抗インフルエンザ薬があるが、アメリカはそれば保険でカバーされないし、ヨーロッパでも日本比較で体制が整っているとは言えない、これが患者数で差がでる原因(p151)

    ・2009年5月に関西地方で感染が確認されたときに、兵庫県と大阪府で4800校の学校閉鎖、各種イベントの中止により感染拡大をかなり抑えることができた(p153)

    ・手洗いにより手についたウィルスをかなり減らすことが可能、石鹸・アルコールによりウイルス膜が壊れてウイルスが死滅するから、インフルエンザ対策として”うがい”を推奨している国は少ない(p158)

    ・インフルエンザと疑われる症状(急な高熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、とくに後者の2つ)がでたら、すぐに病院で検査を受けることが大事(p175)

  • 鳥取などを舞台とした作品です。

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著者プロフィール

2017年8月現在
東京大学医科学研究所ウイルス感染分野教授

「2018年 『猛威をふるう「ウイルス・感染症」にどう立ち向かうのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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