教えない教え (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205671

作品紹介・あらすじ

「無理せず、急がず、はみださず」に己の直感を信じ、プロ野球において監督、コーチとして、多くの才能を引き出した権藤博。現役時代は「権藤、権藤、雨、権藤…」と謳われるほど連投を重ね、二年連続で最多勝投手に輝いた。だがその結果、体を壊した権藤の選手生命は長いものではなかった。後年、権藤は自身の苦難の経験を生かし名コーチとして復活。一九九八年に監督就任した横浜を日本一に導くことで、その名を知られることになる。野球界のご意見番として活躍する権藤氏が、ジャンルを超えて通用する人材を開花させる「教えない教え」をここに記す。

感想・レビュー・書評

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  • ・できないものをできるまで辛抱強く見守ってやるのが「優しさ」である。一方、できるまで待つことができず、また今度とか次にやればいいよとなってしまうのが「甘さ」である。

    ・Mr.ゴンドウ。教えてくれるのはありがたい。でも教えられて覚えた技術はすぐに忘れてしまうものなんだ。Don't over teach。

    ・自分の姿は自分には見えない。バッターにはピッチャーの姿が、ピッチャーにはバッターの姿しか見えない。だからコーチは彼らを映し出す鏡にならないといけないのだ。
    悪い状況に陥った人というのは自分自身が見えていない。自分が見えていないから更に悪い状況へと陥っていく。

    ・よく「ライバルをつくる」と言ったりするが、私はライバルはつくるものではなく、見つけるものだと思っている。主体性を持って自分からライバルを見つけていく。

    ・「やらされている」を「やる」に変えるには、部下ひとりひとりをプロとして認めてあげるだけでいい。

    ・テニスも野球もゴルフも、打つポイントは基本的にヘソの真正面。つまり体の正面でボールを捉えないと、威力のあるボールを打つことはできない。

    ・チーム内でよい競争を展開させていくには、ポイントをしっかりと押さえておくことも肝心だ。一軍ベンチ入りの人数も限られているわけだから、すべてのポジションで選手たちを競わせることは難しい。となると、一番効率の良いポイントを見つけ、そこを徹底的に競わせていくしか方法は無いのだ。

    ・権藤君、若手をガンガン怒っちゃいかんよ。怒るならベテランを怒りなさい。

    ピンと来なかったのは一箇所だけ。
    直感は人間の本能にあり、磨けば誰でも取り戻せる。羽生名人も直感は7割正しいと言っている、という箇所。直感は経験に裏打ちされた脳の反射で、学習、勉強で磨くものだと思う。
    でもあとは、とても、含蓄がある。

  • タイトルの内容は最初と最後に書かれており、中間は権藤さんの記憶と記録でしたね。

    コーチ時代に感じた反面教師、
    don’t over teach
    気づかせる
    と言ったところか。

    先週読んだ吉井さんの方がより詳しかったかな。

  •  1998年に、監督就任一年目にして横浜ベイスターズを日本一に導いた名将によるリーダー論。おもにコーチ/監督としての自らの経験をふまえ、リーダーのあるべき姿を論じている。
     来週、著者の権藤さんを取材するので、資料として読んだ。

     私は権藤さんの現役時代は知らないのだが、中日の投手時代、1年目に35勝、2年目に30勝を上げ(!)、その度外れた連投ぶりに「権藤、権藤、雨、権藤」という流行語が生まれたほどの人なのだという。まあ、年20勝も至難である現在では考えられないことだが……。

     現役時代の思い出話も面白いが、なんといっても圧巻は監督時代の人材育成、人心掌握術を明かした部分。野球ファンのみならず、経営者などリーダーなら学ぶべき点が多々あるはずだ。

     『教えない教え』という書名は、権藤さんの人材育成術の核を表したもの。
     「“やらされている”うちはものにならない」との信念をもつ権藤さんは、選手の自主性を何よりも重んじた。監督就任初日の全体ミーティングでも、述べたことは「みなさんはプロですから、プロらしくやってください。以上!」の一言だけだったという。
     ただし、たんなる「放任」ではない。選手たちを見守り、コミュニケーションをとり、起用については考え抜いたうえで、なおかつ自主性を重んじるのである。

    《部下に“何かをさせる”時代はもう終わった。部下が自ら動き、“何をすべきなのか”をそれぞれが考えられるようになって初めて強い集団が形づくられる。
     トップに立つ人間は、部下が動きやすいように、その道しるべをつくってやるだけでいいのだ。》

    《自分より大きな相手に立ち向かっていくには、相手以上の練習量、仕事量をこなし、さらにそこに自分なりの工夫を加えていかなければいつまでたっても勝つことはできない。
     工夫、努力といったものは自主性があって初めて培われていくものだ。やらされているではなく、やるという感覚がなければ何事も身につかないのである。》

     ……と、このように、アドバイスの一つひとつに普遍性がある。そして、語り口はすこぶる平明で、野球にくわしくなければ理解できないような記述は一つもない。
     リーダー論の好著だと思う。

  • 無理せず、急がず、はみ出さず……ですな。

  • [ 内容 ]
    「無理せず、急がず、はみださず」に己の直感を信じ、プロ野球において監督、コーチとして、多くの才能を引き出した権藤博。
    現役時代は「権藤、権藤、雨、権藤…」と謳われるほど連投を重ね、二年連続で最多勝投手に輝いた。
    だがその結果、体を壊した権藤の選手生命は長いものではなかった。
    後年、権藤は自身の苦難の経験を生かし名コーチとして復活。
    一九九八年に監督就任した横浜を日本一に導くことで、その名を知られることになる。
    野球界のご意見番として活躍する権藤氏が、ジャンルを超えて通用する人材を開花させる「教えない教え」をここに記す。

    [ 目次 ]
    第1章 人の心の掴み方(“厳しく接する”でなく“厳しさを教える”;教えすぎるな! ほか)
    第2章 “勝つ力”を育むコツ(己を知らない人は成長しない;練習に『宮本武蔵』の修行法を取り入れた ほか)
    第3章 伸びしろをぐんと長くする方法(真似上手こそ伸びる;専門外のことをやると、いい気付きが得られる ほか)
    第4章 壁を破る力(勝負の流れは“一本の線”で変わる;ピンチの後にチャンスを手繰り寄せるには? ほか)
    第5章 やってはいけないコーチング(“やる気を削ぐことをしない”のがやる気になる;部下の“個性”を引き出す方法 ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 短い現役時代よりも、現役後の指導者としての実績の方が有名な著者による一冊。

    そのせいか技術的な話は少なめだが、指導者だけあって、コーチング理論において抜群の説得力があった。

  • もちろん、ドラゴンズの投手コーチ就任前に出た本だから、昨年のシーズンについては何も書かれていない。ベイスターズ以外のチームについてのエピソードをもっと読みたかった。

  • 中日ファンということもあって、この本の存在を知ってすぐに読みました。
    権藤さん、いろいろと考えてますね。野球に興味のない方でも教える立場の方には参考になる1冊だと思います。
    (野球に興味がある方はなお深く味わって読めると思います。)
    自分が感銘を受けたのは以下の3点。

    ・「教えすぎるな」
    真にその人物の成長を望むのであればコーチや教える立場の人間はDon't over teach.を忘れてはならない。どんあ相手であれ、真の成長を望むのであれば丁寧に助言し、我慢強く見守っていく姿勢を保つことが大事なのだ。
    ・「練習に『宮本武蔵』の修行法を取り入れた」
    麻の芽の上を毎日跳んでいるうちに気付いたら麻の生長とともに人の肩の高さも跳べるようになった。三日坊主にならず地道な努力を毎日続けることが大願を成就させる上で最も大切なことなのだ。
    ・「”やらされている”うちはものにならない」
    工夫、想像力といったものは自主性があって初めて培われていくものだ。やらされているのではなく、やるという感覚がなければ何事も身に付かないのである。

  • 先日、中日を退団した権藤博氏の著書。
    自身がコーチング及び組織のマネジメントについてどのような見解を持っているかを書き記した一冊。今季、高木監督と何度も対立した事も記憶に新しく、どのような部分で見解の相違があったのかを考えつつ読んだ。
    全体的な内容も読みやすく、自身の野球での経験を元に、ビジネス論、組織論に落とし込んだ話もあり、「ガチガチのビジネス書じゃ読む気しないけど…。」という人に読んでもらうのも面白いかもしれない。

  • 結構面白い。全部ではないが、いまの活動に役立つものもありそう。キーワードを抜き出しておこう。

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