携帯電磁波の人体影響 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205695

作品紹介・あらすじ

世界各国で、携帯電話やその基地局の電磁波(高周波)による健康被害を懸念する声が高まっている。健康影響への配慮から子供の使用を制限する動きも出ている。生体への悪影響があるとする研究結果と、それを否定する研究結果があるが、一部の研究者や研究機関は予防的措置を強く提唱している。また、長期にわたって使用した場合の影響は、まだよくわかっていない。海外の事例をふまえつつ、携帯電話の電磁波の問題について考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 携帯電話は人体にとって危険なのか、どうなのか。

    携帯電話電磁波の曝露量の指標に、SAR値というのがある。
    日本では2.0W/kgを超えないこと、とされている(アメリカでは1.6W/kg、スウェーデンでは0.8W/kg)。
    この値は、各電話機の取説を見ると小さい字で書かれているが、ちなみにオレが今使っている携帯(docomo SH-01B)は0.3W/kg、iPhone 4は0.975W/kgらしい。

    だがしかし、この数字さえクリアしていれば大丈夫というものではないらしい。

    携帯電話と脳腫瘍などの健康被害の関連性についての科学的な根拠はまだはっきりしていないが、それを疑わせる症例などは枚挙にいとまがないほど出て来ている。SAR値などの「基準」にも実は疑義がある。予防疫学の立場から、疑わしいものは避けた方が無難なのではないか。実際に欧米では規制の動きが始まっているが、さて日本では--。

    そのへんのことが、この本には綿密かつ注意深く書かれている。

    読んでみて、携帯はあまり使わないようにしたい、ズボンのポッケに入れるのはやめよう、とオレは思った。

    もっとも、

    ・携帯電話の電磁波によって脳腫瘍のリスクが何倍にも跳ね上がろうと、
    ・白内障や睾丸細胞障害の原因になろうと、
    ・基準を作り安全性を担保すべき総務省や電話機メーカーが、リスクよりも売り上げのことしか考えていなかろうと、

    例えば発ガン性が疑われる食品添加物テンコ盛りのマスプロ製品を無自覚に食わされていたり、原発事故についていい加減な情報ばかりつかまされていたり、なにかにつけ政府や役人が國民を愚弄し搾取し続けていることを思えば、どうってことないけどね。

  • 携帯電磁波が身体に及ぼす影響が、世界中の実験データを元に書かれている。
    流し読みで十分。10分ほど。

  • [ 内容 ]
    世界各国で、携帯電話やその基地局の電磁波(高周波)による健康被害を懸念する声が高まっている。
    健康影響への配慮から子供の使用を制限する動きも出ている。
    生体への悪影響があるとする研究結果と、それを否定する研究結果があるが、一部の研究者や研究機関は予防的措置を強く提唱している。
    また、長期にわたって使用した場合の影響は、まだよくわかっていない。
    海外の事例をふまえつつ、携帯電話の電磁波の問題について考察する。

    [ 目次 ]
    第1章 ついに米国議会が動き出した(携帯電話関連で初めての公聴会;「夫は携帯電話で脳腫瘍になった」 ほか)
    第2章 携帯電話会社に対する訴訟(携帯電話ショップの店員が脳腫瘍に;「頭から湯気が出ているみたいだよ」 ほか)
    第3章 健康影響を示唆する調査結果(十年以上の使用者のリスクが三・九倍に;ヘビーユーザーの腫瘍リスクも高まる? ほか)
    第4章 安全対策を加速させる欧州諸国(基地局周辺で乳がんになった英国人女性;「病気になるまで待っていてはいけない」 ほか)
    第5章 日本の政府は守ってくれるか(総務省が安全だという根拠;携帯電磁波の安全性は証明されていない ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 訴訟や影響の実例をあげているが、ほとんど海外の出来事を紹介。国民性・身体的の違いから海外の情報ばかりを鵜呑みにするのはどうかと感じる。

  • 携帯電磁波がどの程度人体に影響があるのか、電磁波に対して世界各国ではどのような対応をとっているのかよくわかった。

    日本の電波防護指針は、WHOや国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインと同等となっており安全とされる。しかし、これら基準自体が正確ではなく、基準強化を求める動きが世界各国で高まっている。特に、欧州やイスラエルでは国内での議論の高まりもあって国際基準よりも厳しい安全基準を独自に設けている。

    各国の民間研究機関が電磁波が人体の健康に影響を与えていることを示す結果を出す一方で、ICNIRPの研究機関の調査結果では、人体の健康との関連はないと結論付けている。これは、単純な科学的調査不足というよりは、携帯電話業界からの圧力により、公平な評価ができなかったり、結果が歪曲・隠蔽されることによる人為的な理由によるものらしい。

    翻って日本では、危険性についてメディアに取り上げられることもないし、そもそも危険性を疑う声すら上がらないのが現状だ。
    携帯所有者が爆発的に増えていく中で実際に脳腫瘍の患者が増えてくれば、その関連を示すサンプルが十分出そろうと思うが、出そろった時点ではもう手遅れだ。タバコのように手遅れになる前に国をあげて予防的措置がなされることを切に願う。

  • TOPPOINT 2011年1月号より。

    難しい問題ですね。

  • 十年も前から危険性は言われていまましたが、WHOが危険性をやっと発表しました。
    しかし使う事をやめる事が出来ないので問題です。

  • 携帯電話での会話は、イヤフォンスピーカーを使う。
    枕元に置くときは電源を切る。
    SAR値の小さい機種を選ぶ。

    脳腫瘍発症リスクの軽減

  • 携帯電磁波の人体への悪影響は、かなりグレーゾーンであると考えられる。実際に、欧米では、子供の経済使用に制限をもうけている。
    携帯がない、生活は考えられず、将来にリスクがあるなら、できること(寝る時は、頭近くに置かない、ハンズフリー機能を使用するなど)から対策していこう。

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著者プロフィール

1954年、埼玉県生まれ。国際ジャーナリスト。70年代半ばに渡米し、アームストロング大学で修士号を取得。帰国後、米紙ロサンゼルスタイムス東京支局記者等を経てフリーに。銃社会、人種差別、麻薬など米国深部に潜むテーマを抉り出す一方で、高齢化や社会問題などを比較文化的に分析し解決策をさぐる。
著書に『世界大麻経済戦争』(集英社新書)、『大統領を裁く国アメリカ』(同)、『アメリカ白人が少数派になる日~「2045年問題」と新たな人種戦争』(かもがわ出版)、『日本より幸せなアメリカの下流老人』(朝日新書)、『大麻解禁の真実』(宝島社)、『60歳からの生き方再設計』(新潮新書)、『アメリカ病』(同)、『アメリカよ、銃を捨てられるか』(廣済堂出版)、『もし銃を突きつけられたら~銃社会アメリカの安全な歩き方』(ダイヤモンド社)、『人種差別の帝国』(光文社)、『危険な隣人アメリカ』(講談社)、『少年犯罪と闘うアメリカ』(共同通信社)など多数。

「2023年 『年間4万人を銃で殺す国、アメリカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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