続・悩む力 (集英社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087206470

感想・レビュー・書評

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  • 8月の100分de名著に姜尚中が出てきて、『夜と霧』、『それでも人生にイエスと言う』の後はこの本も読まなきゃと思っていました。

    前の『悩む力』は漱石とウェーバーという印象だったけど、今作はこの二人に加えて、アラン、ヒルティ、ジェームズ、等々と多くの引用、紹介がありました。

    思想的に一番共鳴しているはフランクルで、フランクルのいう人間の「一回性」、「唯一性」、あるいは「創造価値」、「体験価値」、「態度価値」の三つの人間の価値などについて漱石やトルストイなどを引用しながら解説しています。

    前から気になっていたけど、どの本に載っているのか知らなかった「精神のない専門人」、「心情のない享楽人」というワードが、ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』にあるらしいということがわかったので、またいずれ読んでみたいと思いました。『職業としての政治』、『職業としての学問』を読んでみても出てこないなぁと思っていたので。

    ところどころに「3.11」、「東日本大震災」、「原発事故」が出てきて、科学(者)の批判みたいな文章が出てくるけど、ちょっとくくり方が乱暴な気がしました。筆者自身も「科学を全否定するつもりではない」と書いているけど、科学者や技術者でも「科学が万能だ」なんて考えている人はそんなに多くないだろうし、倫理的問題や社会的問題を意識している専門家も多いんじゃないかな。日本より論理のパワーが強いアメリカあたりでは違うかもしれないけど。

    科学自体は万能ではないし、発展すれば新たな問題は発生するものだけど、そういうことを社会全体で忘れずに付き合っていくことは大事だと思います。
    漱石の「涙を呑んで上滑りに滑って行かなければならない」という言葉が何度か出てきたけど、科学への態度としていいなと思いました。

  • 震災前に書かれた「悩む力」より、こちらの「続・悩む力」のほうが好きだった。

    資本主義社会の行く末の中で、おそらく多くの人がなんとなくもやもやと悩んでいることを綺麗に表現してくれた一冊。
    前作よりも姜さんの毒が入っていた気がするが、それは世の中に確実に存在するもので、しっかり見つめなければならないものだと感じた。


    何が人を追い詰めているのか。なぜ孤独なのか。信じられるものは何もないのか。
    何を受け入れて、何を乗り越えていくのか。



    思い悩んだときに、何度でも読みたいと思った。



    夏目漱石が、『こころ』の作中で「先生」に言わせた
    「あなたは腹の底から真面目ですか。」
    という言葉は、私自身にいつも問いかけたい。忘れないようにとどめておきたいと思う。

  • 戦前・戦中に政治的イデオロギーを一種の宗教のように信仰した結果、手痛い敗北を喫したトラウマは大きい。
    そのため、政治と宗教に対しては色を持たぬのがよいという教訓。
    自然は制御可能だと思い、社会は変えられないと考えてしまう。
    過去の蓄積がその人の人生であり、未来はまだ何もなされていないゼロの状態。
    よい未来を求めていくというよりも、よい過去を積み重ねていく。
    人間の価値のありかは、経験<創造<態度
    態度(尊厳)は、いついかなる時も想いさえあれば発揮できる
    人生のほうから投げかけてくる様々な問いに対して、一つ一つ答えていく(決断する、責任を取る)

  • 宗教と科学…ドーキンス教だったのか

  • 経済の事は詳しくわからないので、深く感情移入出来なかったけど、
    幸せについて、この世で生きていくために、などで共感出来る部分が多くて勇気を貰った。

  • 震災を経て,「悩む人」,「二度生まれ」のすすめなどをキーワードに「漱石」,「ウェーバー」を手がかりに悩み抜く,これまでの幸福論でやり過ごすことはできず,苦悩等に目を向け,その意味を掘り下げることにより新たな「しあわせのありよう」が見えてくるはずだと説くもの。

  • 100年も前から同じことを悩んでいる人間。昨年の震災でその悩みがモロに表に出るようになってしまったが、改めて考えると日本人はこの100年で精神的に進化してないことだけは痛切に感じる。

  • 宗教と政治。今こそ。120918。
    ----------
    序章 「幸福論」の終わり
    第1章 漱石とウェーバーに何を学ぶか
    第2章 どうしてこんなに孤独なのか
    第3章 漱石が描いた五つの「悩みのタネ」とは
    第4章 漱石の予言は当たったか
    第5章 ホンモノはどこにあるか
    第6章 私たちはやり直せるか
    第7章 神は妄想であるか
    第8章 生きる根拠を見いだせるか
    終章 それが最後の一日でも、幸せは必ずつかみ取れる
    ----------
    これまでの幸福像とはどのようなものだったか? 食べるに困らない収入、伴侶と何人かの子供、健康、老後のたくわえ――。それら既存の「幸福像」は、今まさに瓦礫へと化した。しかも、3・11後、神仏はおろか、現代社会の宗教とも言える科学への不信も極まり、寄る辺ない私たちの孤立はさらに深まった。ある意味、第二次大戦後よりも憂鬱なこの時代のただ中で、私たちがふたたび、幸福の感情に浸ることなど、果たして可能なのだろうか? そのヒントは、夏目漱石の100年前の予言と、「二度生まれ」というキーワードにこそある!
    悩み抜いた末でなければ見いだすことのできない大切なものを、漱石、ウェーバー、ウィリアム・ジェイムズなど、偉大な先人たちの言葉を通して掴み取る。90万部のベストセラー『悩む力』の待望の続編!
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  • 前作の「悩む力」よりも深く考えさせられ、実感を持って読むことができた。
    作者もあらゆる場面で触れているが、あの震災を境に科学に対する過信と生きることとはどういうことなのかを事あるごとに考えることになったからだと思う。
    人間は唯一無二であり、自分探しなんてする必要もなく、生きているだけで自分らしいのだということが心に響いた。
    強くまじめに生きていくことの大事さを学ぶことができた良い本でした。

  • 会社に人に借りた。
    悩む力は読んだけれど あまりインパクトがなかったのか
    ちょっと記憶が薄れてる。
    「幸せ」の定義 の話、、なるほどなぁ と思った。
    みんなそこそこ幸せ?!
    それを継続するのって意外と大変。
    3.11のあと被災地での老人の言葉
    「[神も仏もねぇべ」という言葉がすごくささった。。。
    幸せってなんだ。

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著者プロフィール

1950年熊本県生まれ。東京大学名誉教授。専攻は政治学、政治思想史。主な著書に『マックス・ウェーバーと近代』『オリエンタリズムの彼方へ―近代文化批判』(以上岩波現代文庫)『ナショナリズム』(岩波書店)『東北アジア共同の家をめざして』(平凡社)『増補版 日朝関係の克服』『姜尚中の政治学入門』『漱石のことば』(以上集英社新書)『在日』(集英社文庫)『愛国の作法』(朝日新書)など。

「2017年 『Doing History』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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