- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087206647
作品紹介・あらすじ
「すぐに弱音を吐いてしまう」「ダイエットに失敗する」…日常ありがちな私たちの行動を分析するのに、難しい理論はいらない。心理学のメインテーマともいえる「なぜ、その人は○○をしてしまうのか」という問いへの答えを「心」ではなく、「外部の環境」に求めるのが行動分析学だ。「好子」「嫌子」「出現」「消失」。あらゆる行動は、四つのキーワードで分析可能であり、不登校から潔癖症まで、様々な問題行動を劇的に改善することができる。本書は、そうした改善の実例を豊富に揃えるとともに、最新の知見も交えた実践の書である。
感想・レビュー・書評
-
目から鱗。
不適切な行動(弱音を吐く等)に対して「精神的に幼い」や「甘えている」といったその人の内的な原因を考えるのではなく、「行動の直後に何が起こったか」という外的な事実(弱音を吐く→ 仕事が減る、周囲に話を聞いてもらえる等)を分析し、行動の変容を促す本。
不適切な行動をしてしまう子どもに対しても、行動の変容を促すには、人によって解釈の違う「こころ」を問うのではなく、事実である「行動」を見ることは、かなり効果的だと本書内で実証されている。
ただ、自分は「こころ」を軽視したくはない。「こころ」の解釈は多様で様々な価値観があるけどだからこそ楽しいし、寧ろそこを考えたい。だから、仕事で行動を変容させることだけを目的にはしない。
だけど!仕事に使える場面はかなり多いと思うので、うまく活用していきたい。
「こころ」も大事だけど、まずは不適切な行動を変えないと、それどころじゃなかったりするからね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
奥田健次さんの著書は現時点で3冊読了した。そのうちの1冊で、行動分析学の学びが多い一冊。
行動分析は、家庭での子どもへの教育やしつけに非常に役立つ考え方なので、覚えておいて損はない。
ちなみに、書籍「嫌われる勇気」や「幸せになる勇気」に感銘を受けた方は、僕同様に本書にもハマるに違いない。
この理由も含め、以下、特に気になった点を挙げる。
◼️ その行動がなぜ起きるのかについての理由を考えるとき、その行動の前に何が起きたのかを考えるよりも、その行動の結果として何が起きたのかを考えなければならないのだ。
→これが、前述した「嫌われる勇気」にある、アドラー心理学の目的論と似ているところだと感じる。アドラー心理学では、マインドセットについてだが、こちらは科学的に検証を重ねる実践的な理論。要は、具体性が高い内容になっており、そこが非常に面白い。
◼️ 行動分析の基本形はこの四つ。好子(メリット)と嫌子(デメリット)×出現と消失。
→行動分析学の基本の型。本書や奥田さんの本を読む上でこの考え方は是非覚えたい内容。
◼️ダイエットなどの習慣づけが難しい理由は、行動の結果が直後に発生しないから。
→なるほど納得。習慣化できていない行動で、今後習慣化したい行動があれば、行動の直後に好子(メリット)が発生しやすいような工夫付けが大切だということ。例えば、自分なりに工夫して、100回連続して出来たら、〇〇(自分にとって魅力的なご褒美)をするなど。
◼️新しい技能を覚える際はムチは不要。アメとムチの発想を捨てる。
◎ムチの副作用
(1)行動自体を減らしてしまう
(2)何も新しいことを教えたことにならない
(3)一時的に効果があるが持続しない 。
(4)弱化を使う側は罰的な関わりがエスカレートしがちになる
(5)弱化を受けた側にネガティブな情緒反応を引き起こす
(6)力関係次第で他人に同じことをしてしまう可能性を高める
→このアメとムチの「ムチ」の副作用について、行動分析学的な考えを学ぶだけでも、本書を読む価値がある。子育てでは、思う通りにいかないことばかりだが、ムチを使わず、「アメとアメ無し」の考えを僕自身徹底したい。
◼️行動の機能4つ
行動を正しく理解するときは行動の機能を正しく捉えることが大切。行動の機能へ4つしかない。
◎物や活動が得られる
◎注目が得られる
◎逃避、回避できる
◎感覚を得られる
→各々の具体例、特に不登校になってしまった子どもの行動を機能分析して対処した例が多数載っていた。非常に勉強になる内容ばかり。
◼️トークンエコノミー法
トークンとは、「貨幣の代用」という意味で、特定の価値を持たせたスタンプやポイントのようなものである。エコノミーとは、そのまま経済学という意味でよい。
トークンエコノミー法を子どもへ使用する際は、トークン(好子)と行動の匙加減が大事。親の押し付けではなく、子どもがワクワクするような設定が大切。なので、「子ども自身がバックアップ好子を選択できること」「与えやすいもの」の2点を心がけるとよい。
→子どものお小遣いの設定や、子どもの頑張ったご褒美の設定、自分のやりたいことの習慣化のための設定など、子供へも自分へも応用できる考え方。
-
購買も行動の一種なので行動分析学の手法が当てはまるのも納得。
嫌子(自分にとってマイナスなこと)を消失させる行動があるとそれを繰り返すという説明があったが、企業の科学で強調されていた痛みに寄り添うアイデアというのはこの原理にブッ刺さるものを作れということだと思う。
人が頭で考えている行動理由と実際にその行動をとった理由、つまり理性と感情は一致しないことの方が多いのを再認識した。
そんなに短気じゃ損だよと指摘したら性格だから仕方ないと開き直られたことがある。まるで自分じゃコントロールできないような言い方だったけど怒りって実際何かしらのメリット(気を使って周りがちやほやするとか)を感じて表出してるよね。やばい人に何かされても怒らずに逃げるでしょ、結局は怒るかどうかも自分で場面に応じて選択しているわけ。
だからどんな理由であっても機嫌悪いからって他人に当たるのは幼稚だしただの甘えでしかないと思うんだよね。機嫌の波を周りに悟られているようじゃ人は寄ってこない。
てめえの機嫌くらいてめえで取りやがれ。 -
行動分析学の考え方がまとまっているが、横書きで読みにくい。
登校拒否の子がおのずと学校に行く確率を高めるてんびんの法則。
リストカットがやめられない子への対応が興味深い。 -
大学の心理学の講義でオススメされ、行動分析学のおもしろさを気付かせてくれた本!初学者でも分かりやすい。2021再読。
-
3回は読んだかなぁ
あとは必要な時に必要なだけ
バイブル -
行動分析学を基に発達障害や不登校の問題に取り組む奥田健次先生の新書です。
この本は行動分析学について専門用語を交えながら解説をされています。
「拝啓、アスペルガー先生」等の著書に比べると専門的な分、難しそうな印象を受けます。しかし、行動分析学について例を用いて説明しており、とても分かりやすく思いました。
また、強度高度障害等の事例もあり、実践家としての著者ならではの書となっております。
著者の他作品と合わせて読むとより理解が深まると思います。
行動分析学に興味がある方
発達障害や不登校の問題を抱えている方
モチベーションの高め方に悩んでいる方へ。 -
非常に面白かった、というか勉強になった。行動の定義を明らかにし(死人テスト)、一連の流れとして俯瞰し、因果関係を読み解くことで行動をコントロールすること。キーワードは好子の出現の強化と嫌子の出現の弱化。なるほどなあと思う。人間を動物に見立てたような側面もあり、きっと抵抗感を抱く人もいるんだろうなあと想像は容易いが、それでも説得力は抜群にある、というか感覚的、経験則的にこの理論は正しいと感じられる。もう一度読んで、深く血肉にしたい。
-
途中難しいと思う箇所もありましたが、大部分は分かりやすく、実戦するイメージもつきやすい内容でした。内容をきちんと理解するために読み直したり、著者の他の本も読みたいと思っています。
アメとアメなし。このように子どもたちに接していきたいです。 -
実践的な内容として多くの支持や共感を得ているのでしょうが、現実に直面されておられる個々の困難に対した時、果たして、現実的な処方箋たりうるでしょうか?期待が大きい分、読後に不安が残ります。真摯に取り組んでおられる現場に手が指し延ばせない現状こそ問題と思いました。