女ノマド、一人砂漠に生きる (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087206722

作品紹介・あらすじ

夫や子どもたちと離れ、たったひとりでラクダを連れてエジプトの砂漠で暮らす女遊牧民サイーダ。著者は、彼女と遊牧生活をともにするなかで、これまで自身で思い描いていた、素朴で自由な"ノマド"像とのギャップに困惑しながらも、彼女のたくましい生命力に惹かれていく。結婚するまでお互いの顔をほとんど見ないという「恋愛」事情や一夫多妻のリアルな内実など、急速に変容するイスラム社会にあっても、日本とはまったく異なる価値観で力強く生きる一族の女たちを鮮やかに描いた渾身のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  •  内気で大人しくて大学に入るまで友達もいなくて…な筆者が大変身。でもプロフィール見たら、大学って上智大学じゃん。お嬢…??ともあれ「遊牧民」って言葉から我々が想像するようなストイックで孤高な生き方と現実はだいぶ違うようだ、昨今では。あ、2012年出版だからもっと状況変わってるかも。いずれにしろ気になるのは、結局のところフジヨさん、ご結婚されたの?ってところ。
    参考文献は充実してます。

  • 久しぶりに純粋に面白かった!
    砂漠で生きるサイーダの生きる力に憧れる!
    イスラム教徒の暮らしぶりも興味をそそる!
    一夫多妻制の長所と短所もハッキリ!
    遊牧民族の暮らしを体験してみたい!
    定住型の生活だけでは見えないことばかりだ!

  •  夫や子どもたちと離れ、一人ラクダ7頭をひき連れ、砂漠を転々としながら生活する56歳のサイーダ。一日5回の礼拝を欠かさず、炭と砂でゴルス(パン)を焼いて食べ、歩いては休みの繰り返し。
     そんな彼女の生活に同行しながら、遊牧民を体験する日本人女性藤代。彼女の見た遊牧民の生活、イスラム社会の真実とは……。

     表紙写真は身長140cmのサイーダさん。56歳という年齢より、ずっとおばあちゃんに見えますが、たぶん同世代の日本人女性よりも体力あると思う!なんていったって、ラクダ7頭も連れて砂漠を行き来するのだから。
     時間に縛られない生活は、想像すると不安になるけど、それ自体が余裕のない生活に慣らされているってことなんだろうなぁ。便利になればなるほど、人間が孤独になり利己的になっていく、悲しいかな、いづこも同じなんですね。一夫多妻も実際は思ったほどフェアじゃない感じで、複雑な思いでした。
     最近は、海外のいろんなトコに行く番組が花盛りですが、女ノマド(遊牧民)の生活を知りたい人はぜひ読んでみてください。

  • withコロナのニューノーマルって何となくノマド的だな、と思いながら
    この本を読み始めました。

    ・人と人との繋がりの深さは、必ずしも会う回数に比例しない
    ・一人でいるという事だけで孤独というわけではない
    ・どんな人でも助け合って生きている

    が読了後の感想です

  • 16.jan.14

    エジプトの砂漠で一人遊牧生活を続ける女性と、その周囲の人々を何年にも渡り訪れ、追った本。

    思ったよりサイーダの話が少なかったし、読みながら遊牧生活を追体験することはできなかった。お金を払って(食事を渡して)ついていっているからなのかな。サイーダとの遊牧生活記をもう少し濃く知りたかった。

    サイーダの親戚たちは雨が降らなくなり定住生活を強いられ、増えゆく観光客の中で変わりゆく生活を憂いているようだった。遊牧生活は娯楽が少なく、切り詰めて貧しい生活のように見えるが、感覚が研ぎ澄まされ、静かな砂漠の中で穏やかに過ごせる利点もあるのだと感じた。

    定住するほうが、見知らぬ男性が近くにいて危険が多いという感覚はなかったので、驚いた。

    エジプトでのイスラムの戒律に基づいた厳しい男女生活のセオリーや、一夫多妻制の実情など、テレビでは語られない部分まで知れたのはよかったけど、その部分についてのページ数が多くて、この本のタイトルからはずれるかなー。

    書き方の問題もあると思うけど、離れた安全な場所からエジプトの人々を傍観しました、という雰囲気の本。読み易いけど、のめり込むほどではなかった。

  • 読む目的
    友人が持っていたので、何気なく手に取った。

    一言でいうならどんな内容?
    エジプトで暮らす敬虔なイスラム教徒サイーダさんといっしょに著者が暮らした生活を語るエッセイ。

    心に留った点
    30代半ばで砂漠の遊牧民を訪ねる、というところに親近感を覚え、人は何歳になってもチャレンジできるのだと、勇気づけられた。
    定住することで失ったものも多い。
    身体は疲れないけど、心が疲れる。生活は遊牧のほうがよっぽど快適だったと語る人も多い。
    族長だけが設けるシステム。
    遠くに暮らしていたけど、心は近かった。
    今は近くにいても心が遠い

    引用
    社会の秩序は乏しいが、それを補ってあまりある人の温かさがある

  • [ 内容 ]
    夫や子どもたちと離れ、たったひとりでラクダを連れてエジプトの砂漠で暮らす女遊牧民サイーダ。
    著者は、彼女と遊牧生活をともにするなかで、これまで自身で思い描いていた、素朴で自由な“ノマド”像とのギャップに困惑しながらも、彼女のたくましい生命力に惹かれていく。
    結婚するまでお互いの顔をほとんど見ないという「恋愛」事情や一夫多妻のリアルな内実など、急速に変容するイスラム社会にあっても、日本とはまったく異なる価値観で力強く生きる一族の女たちを鮮やかに描いた渾身のノンフィクション。

    [ 目次 ]
    第1部 女ひとりの砂漠(もうばあさんだから男はいらない;男がいないと、どうなるか;祈りがもたらす心の安らぎ ほか)
    第2部 うつりかわり(収入の安定とひきかえに失ったもの;記憶の彼方の砂漠;砂漠の民vs町の民 ほか)
    第3部 男と女(白いハンカチと赤い口紅;結婚は人生の楽しみの半分;妻はふたり ほか)
    エピローグ これから

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 豊になるって何?
    幸せってどこにあるの?

  • この小さな本が描いているのは、日本とは全く違う伝統や風習を背景に生きている人だけではなく、遠い異国の人に対して人並み外れた人であるという幻想を抱いていた著者が、伝統や風習や土地が違っていても人間は人間だと認識する過程でもあった。本当に知ることができるのは、幻想が打ち破られたあと、というのは何で読んだんだっけ。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/691598

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著者プロフィール

イスラム・エスノグラファー。上智大学法学部卒業後、取材のテーマを探してアジア・アフリカを放浪。その旅でイスラムの人々の温かさに感銘を受け、イスラムをテーマにすることを決意。以後20年以上にわたり人々の中で生活しながら、イスラム社会の魅力を伝え続けている。2003年よりエジプトの砂漠で一人で遊牧する女性サイーダと暮らす。2012年「第19回旅の文化研究奨励賞」受賞。著書に『女ノマド、一人砂漠に生きる』(集英社)、『女ひとり、イスラム旅』(朝日新聞出版)、『イスラム流 幸せな生き方』(光文社)などがある 。

「2019年 『イランの家めし、いただきます!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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