- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087207651
作品紹介・あらすじ
南海、ヤクルト、阪神、楽天等数々の球団で選手、監督として実績を築き、田中将大をはじめ数々の名選手を育てた著者。勝負と人間の機微を熟知した野村が、正しい努力とまちがった努力の違いを語る。
感想・レビュー・書評
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なぜか結果を出す人の理由
著:野村 克也
集英社新書 0765 B
その人が他の人に比べて抜きん出た結果を出しているのは、その技術や、方法論ということ以上に「信頼」や「周囲を巻き込む力」によるものだということである
これは野球以外の仕事の現場でも、まったく同じではないだろうか
よくよくその選手の「努力」と「成果」を見てみると、やはり原因と結果が強く結ばれていることがわかる
それは、正しい努力をしているのか、それとも、間違った努力をしているのか、ということだ
気になったのは、以下です
■同じ努力でも、なぜ結果に差がつくのか
・なぜ、一生懸命に努力をしていても、いい結果がでないのか
・その答えは実はとても簡単なことだ
・努力の仕方がまちがっているのだ
・がんばって努力したから、ちゃんと報われた。めでたしめでたし という成功物語は、
がんばって正しい努力をしたから という前提条件があってこそ めでたしめでたしという結論につながるのだ
・努力はウソをつかない、というのは、もっともベーシックなところで信じてきた言葉だ
・一流選手とは、ただ野球がうまいというだけではなく、人間といて尊敬ができる存在でなければならない
・プロと名がつくのだから、野球の素質や技術が優れているプロ野球選手はいくらでもいる。
・しかし、その中で一流と呼ばれるのは、人格や、人柄、取り組む姿勢や日頃の行いが伴っていなければいけない
・真のエースというものは、だれよりも速い球を投げたり、すごい変化球を投げたりして、たくさん勝ち星を挙げることよりも、いかにチーム内で信頼されているかということが重要だ
・この人のためにがんばろう、と思われる人が大きな結果を出す
・人間の進歩とは、自ら変化することだ、自分が変わらなければ成長はない
・変わるというのは、勇気のいることだ、しかし、その変化を遂げたときには、これまでとは違う結果が得られる可能性が広がっているのだ
■努力は天才を上回るのか
・長島もイチローも、だれかに言われてやっているのではなく、どんなに努力をしても、どんなにいい結果をだしても、自らは飽き足らず、さらなる努力をして、またさらなる結果をだしていく
・このタイプは頂点の中の頂点であるから、古今東西、そうたくさんはいない
・才能があって、努力しない タイプの人は、いつ本人が気づいて努力をするかで結果は大きく変えられる
感じる力が正しい修正を導く
・ピッチャーが完全に打ち取った打球をアウトにするのは当然の仕事
・ヒットになりそうな難しい打球でも、ファインプレーに見せずに簡単に合うとにできるのが理想
・そうすればピッチャーは自分のボールに自信をもって投げ続けられる
・それが野手からピッチャーへの思いやりというものだと思います
・一生懸命に努力をしているのに、なかなか結果が出ない人と、努力が報われている人の差はなにか
・それは、感じる力である
・人は感じるから考える
・そして考えた通りに行う
・感じて、考えて、行う
・それが、人間の行動の仕組みの原理原則だ
・プロフェッショナルが、自分の身一つでいきていくためには、なんといっても、己を知ることが必要だ
・今の自分には何がたりないのか、どこが弱いのか、どこを磨けばいいのか
・それを常に正しく認識できるかどうかが勝負だ
■野村式 結果を出す技術
・指導者や監督のつとめというのは、手取り足取り教えることよりも、どう気づかせるかということが重要だ
・監督とは気づかせ屋でなければならない
・努力を継続していくためには何が必要か
①好きこそものの上手なれ 好きなことを見つける、好きなことをやらせる
②強い動機 こうなりたい、という夢や目標があれば、努力は苦ではなくなる
・プロというのは1日24時間をどう使うかで勝負がきまる
・プロの世界は結果がすべてだ、言われる
・しかし、私は監督として、結果よりもプロセスを重視して選手を指導してきたつもりだ
・自分がスランプだと思っている。そうではない、「できて当然」なのではなく「できなくて当然」と自覚すべき
・短所が目立つ人でもなんとかして組織の役に立ってもらうように導いたり、上手く使ってあげたりして戦力にしていこうとしなければならない
・そこでそう、欠点ばかり責めないで、あの人のいいところを見てあげようじゃないか、という視点がでてくるわけだ
・世の中には、多くの時間をかけて短所を直すより、長所をどんどん伸ばすほうが効率的でよりよい結果につながる、といった指導法を信じている人がたくさんいる
・だが私はそれはウソだと思っている
・長所を伸ばすためには、短所を鍛えろ だ
・人を育てるということは、その人の自信を育てるということだ
■チャンスを逃さない人はここが違う
・ああ、そういうことか。球団としては、もうやめてほしかったんだな
・そう気づいた。そして、正しいのは球団の評価の方であって、私の希望や自信というのは単なる主観でしかないのだ
・人の評価というものは自分が決めるものではなく、周りが決めるものなのだ。
■結果を出す指導者の条件
・言うことをきちんといい、叱るべきときには、ちゃんと叱る
・選手に嫌われることを怖れることなく、厳しく指導する
・人間は感情の動物である
・「知っている、頭でわかっている」を「できる」にしていくためには、まず、「やってみる」「やってみせる」ということが必要だ
・「わかっている」ことを「できる」にするためには、努力が必要だ
・プロ意識とは「恥の意識」と同義語である
・「プロとして恥ずかしい」という意識を常に持ってなければいけない
・「プロなのに、こんなことも知らないのか」「プロのくせにそんなプレーをするのか」と思われてはいけない
・私は昔も今も処世術というものがない
・思ったことをそのまま言う
・どんな相手に対してもそうだ
目次
はじめに
第1章 同じ努力でも、なぜ結果に差がつくのか?
第2章 努力は天才を上回るのか?
第3章 野村式“結果を出す技術”
第4章 チャンスを逃さない人はここが違う
第5章 結果を出す指導者の条件
おわりに
ISBN:9784087207651
出版社:集英社
判型:新書
ページ数:208ページ
定価:800円(本体)
発売日:2014年11月19日詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
野球に疎くても楽しく読める一冊。でも野球が好きならもっと楽しく読める一冊。タイトルに引かれて手にとって、著者をみてビックリ!プロ野球の監督されてた方だよね?!ということであまり期待せず読んだら、いろんな選手と接してきた経験に裏打ちされた結果を出し続けるための方法や野球への熱い想いが伝わってきて良い本でした。野球絡みのエピソードが多いので野球好きならより楽しめると思います。
●プロ意識とは恥の意識
すごく納得しました。プロなのに・・・と言われないようにするにはどうすればいいでしょうか?これはプロ野球選手に限らずひとりひとりの仕事に対する態度にもすぐに活かせると思います。
●人材育成の大切さ
え?野球なのに人材育成?才能じゃないの?違うんです。プロ野球選手だけでなく、コーチ・球団全体・球界・高校生以下の野球全部。それは現状維持では先細っていしまうという著者の危機感から来ている考え方。変動する時代の中で質を高めていき、存続するにはどうするか考える。ビジネスにも通じるところがあると思いました。
●よき高校野球選手である前によき高校生であれ
著者が高校野球の監督だったらそう言うそうです。世の中の部活でここを教える指導者ってなかなかいないような気がします。野球が上手ければ何してもいいってのは冷静に考えてありえませんよね。でも、それがまかりとおってしまっている現実もあるようです。プロの世界でもプロになって1軍になったらゴール的な選手もいて・・というようなエピソードもでてきます。結果を出し続ける人はどのような心構えか・・そんなことを考えさせられました。
●最後にオススメの読み方
著者のウィキペディアや語録をざっと読んでどんな方か把握してから読むのがオススメです。(わたしは読後に気になって読みましたが)
血液型占いが好きとか知っておくと「あ、それでこんな事を言っているのか」となってより楽しめるかもです。 -
名将野村克也の考え方、興味を惹かれる本のタイトルだったので読みました。
書かれていた内容で印象的だったことは、とにかく努力を惜しまない。とにかく人よりも努力し続けていた方なんだと思いました。結果を出す人に共通しているのは、分析・考えること・努力すること。何だと思います。
最後の、知らないより知っている方がいい。やらないよりやった方がいい。というフレーズは端的にこの本、結果を出す人が何をしているのか継続しているのかを表しているように思います。 -
野村克也氏の著作を読むのはこれが初めて(TVなどで見かけては説得力のあるお話にうんうんと頷いて感銘を受けていただけに、いままで著作に触れていなかったことは自分でもびっくりでした)。
才能と努力の関係。
努力には正しい努力と間違った努力があること。
正しい努力は何か、を見極める感性。
努力をつづける、という才能。
長年勝負の舞台に身を置いてきた野村氏だから言える含蓄ある努力論でした。具体例として挙げられる野球人の名前とエピソードも野球ファンなら記憶と照合しながらなるほどと腑に落ちます。個人的にはノムさんとマー君のいた楽天が好きだったので、マー君のお話は嬉しかった!
野村氏ご自身の成功体験も、下手をすればただの自慢話になってしまうところですが、くどい自慢だなと思うこともなく、伝えたいテーマの一例として受け取れました。
野球選手として、また監督として、己れ一身を頼りに人生を切り開いてきたかただけに、クセはあるかただと思います。でも、根っこのところでひとの痛みを慮る優しさや、若い世代にも向けられた誠実さを持つかただなと感じ入りました。私のような若輩がいうのは生意気にもほどがありますが…。
一番印象に残ったフレーズは、
その「限界から先」の部分がプロの世界なのだ。(119ページ)
です。厳しい言葉です、しかし励まされる言葉でもあります。まだまだここから。ここからが勝負なのだ。
追記
奥様が亡くなってからニュースなどで拝見するとノムさんもかなり力を落とされてしまっているご様子。心配の念が募りますがどうかまだまだこの地上でぼやいていてほしいものです。 -
マー君を引き合いに出して、この人の為に頑張ろうと思って貰える人が結果を出せることを述べていた。
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本を読んだ感想
・無名でテスト生から三冠王になる程一流の選手になった人だからこそ凡人にも響く
・プレイヤーとしてもマネジャーとしても超一流の結果を出しただけあり、感心する考えが多く書かれている
・野球チームの考えは会社組織に通ずる物がある
仕事で成長しているのか、求められる結果は出せているのか悩んでいた時に目にした本。
同じような悩みを抱えている人は是非読んで欲しい -
野村は野球しか語らない、と豪語していたが、珍しくビジネス書的なタイトル。そのテーマで纏めた感じが面白い。イーグルス田中、ファイターズ稲葉、そして宮本、その辺のエピソードが面白い。
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どんなに才能があっても、努力をしている人でも「正しい努力」をしなければ結果は出ない。何事にも考えることが大切。何よりも大好きな気持ちがあれば人はがんばれるし、何歳になってもやり続けられる。野村監督らしい野球に対する姿勢を通して、自分も頑張ろうと思えてくる。