なぜ『三四郎』は悲恋に終わるのか ――「誤配」で読み解く近代文学 (集英社新書)
- 集英社 (2015年3月17日発売)
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感想 : 4件
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- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087207767
作品紹介・あらすじ
夏目漱石は「悲恋小説家」だった。近代文学の名作の多くが「悲恋」に終わるのはなぜなのか。「誤配」という概念を鍵にして、近代文学と現代文学との間に横たわる大きな断層を見出す、画期的な文学論。
感想・レビュー・書評
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「誤配」とは「擦れ違い」。「三四郎」「それから」「彼岸過迄」「行人」などの漱石作品。そして「蒲団」「雁」「友情」(武者行路)「暗夜行路」「痴人の愛」「雪国」「太陽の季節」「されどわれらが日々」「春の雪」における男女関係のボタンの掛け間違いを詳細に解き明かしていく。これらの共通点が主人公たちの「誤配」という認識にあったとすれば、名作の秘訣にも迫るように思われた。たとえ未読の作品であっても男女の深層意識の解読が楽しい。
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漱石の『三四郎』、鷗外の『雁』、川端康成『雪国』などの近代文学を「誤配」という概念を用いて再解釈を試みる。『雁』の読み方には感心したし、その通りだと思ってしまった。読者がお玉に恋する物語だったとは。偶然の残酷さから自我の確立を読み解くより、よっぽど説得力があるよなぁ。
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面白いが、必ずしも納得のいくものばかりではなかった。
文芸批評もまた文学なのだということがよくわかる。
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