なぜ『三四郎』は悲恋に終わるのか ――「誤配」で読み解く近代文学 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
3.13
  • (0)
  • (3)
  • (4)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 55
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207767

作品紹介・あらすじ

夏目漱石は「悲恋小説家」だった。近代文学の名作の多くが「悲恋」に終わるのはなぜなのか。「誤配」という概念を鍵にして、近代文学と現代文学との間に横たわる大きな断層を見出す、画期的な文学論。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「誤配」とは「擦れ違い」。「三四郎」「それから」「彼岸過迄」「行人」などの漱石作品。そして「蒲団」「雁」「友情」(武者行路)「暗夜行路」「痴人の愛」「雪国」「太陽の季節」「されどわれらが日々」「春の雪」における男女関係のボタンの掛け間違いを詳細に解き明かしていく。これらの共通点が主人公たちの「誤配」という認識にあったとすれば、名作の秘訣にも迫るように思われた。たとえ未読の作品であっても男女の深層意識の解読が楽しい。

  • 漱石の『三四郎』、鷗外の『雁』、川端康成『雪国』などの近代文学を「誤配」という概念を用いて再解釈を試みる。『雁』の読み方には感心したし、その通りだと思ってしまった。読者がお玉に恋する物語だったとは。偶然の残酷さから自我の確立を読み解くより、よっぽど説得力があるよなぁ。

  • 面白いが、必ずしも納得のいくものばかりではなかった。
    文芸批評もまた文学なのだということがよくわかる。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1955年生。早稲田大学教授。著書に『漱石入門』(河出文庫)、『『こころ』で読みなおす漱石文学』(朝日文庫)、『夏目漱石『こころ』をどう読むか』(責任編集、河出書房新社)など。

「2016年 『漱石における〈文学の力〉とは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石原千秋の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×