科学者は戦争で何をしたか (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207996

作品紹介・あらすじ

「戦争する国」へ突き進もうとする政治状況に危機感を抱く著者が、過去の戦争で科学者が果たした役割を分析。ノーベル賞学者ならではの洞察力で、二度と同じ道を歩まないための方策を提言する!

感想・レビュー・書評

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  • 科学者「益川敏英」さんのことを深く知ることができる1冊。
    師匠である坂田昌一さんの影響が大きいことがほんとよく伝わってきた。

    「科学者である前に人間たれ」
    「科学者には現象の背後に潜む本質を見抜く英知がなければならない」

    科学者の部分は教員と置き換えることもできる。
    問題の本質を理解していない、あるいは関心がないという姿勢が透けて見えること、さらには、仲間と熱く議論することもなく、非常に個人主義的なことも、教員の世界でも当たり前のようになっているので…

  • ノーベル科学賞を受賞したという
    著者が過去の戦争を振り返えり、
    将来を危惧して書いていました。

    後半は 科学者と戦争という内容というより
    著者の戦争反対という思いが沢山つまっていました。

  • 深い、重い。勉強になる。

  • もともと国際政治には興味がありましたが、戦争を科学者の視点から見た事はなかったので、この本の内容は新鮮でした。

  • 冒頭「本書の冒頭で、ノーベル財団の受賞の知らせがエラそうだったと書いてしまいましたが、私個人としては、ノーベル賞そのものがあまりに権威的になり過ぎるのは困りものだと思っています。」
    末尾「どんなに批判を受けようとも、私はこれから地球上から戦争をなくすためのメッセージを送り続けたいと思います。」

    2008年にノーベル賞を受賞された益川さん。あれから14年か。少し前にお亡くなりなったことを知った。

    全体を通して、坂田昌一先生の影響が大きかったことがうかがえる。「科学者は科学者として学問を愛するより以前に、まず人間として人類を愛さなければならない」、「科学者である前に人間たれ」、「二足のわらじがはけなきゃ一人前じゃねえ」といった言葉が何回も引用される。

    科学・科学者が戦争に協力した(させられた)過去、現在の情勢、「デュアルユース」問題など。ノーベル賞受賞後、何冊か益川さんの本を読んだけど、人となりや人生観などはこの本が一番伝わってきたかもしれない。

    科学技術が軍事目的に使われた場合に、研究者だけに責任があるわけではないと思うけど、研究者もそうした可能性について想像し、考える続ける必要があると思う。また社会全体でも議論してくべきだと思う。

    今日、終戦の日に読めたことは意義があった。
    また、本書では当時の安倍政権を痛烈に批判しているけど、先日安倍さんが襲われて亡くなったというのもあって少し複雑な思いがした。

  • SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685786

  • 科学の発展を人類の幸福のために。

    先日亡くなった益川敏英氏の著作。戦争を経験した世代だからこそ、反戦・平和運動に取り組む先輩の姿を見たからこそ、著者は声をあげる。研究だけに没頭してはいけない、科学者も社会運動を、科学は中立で良いものにするか悪いものにするかは人次第だ、と。

    兵器につながる発見でノーベル賞を受賞した人がいる。それはある意味当然のこと。科学は中立だから。しかし軍事研究としてお金が出るのなら、明らかに政府から協力を求められたら、自分の研究のためにできる判断は何なのだろう。デュアルユースのジレンマを考える。

    著者の不安を現実にしないように、ぜひ科学の道を志す人に読んでほしい。そしてノーベル賞のニュースに簡単に「素晴らしいですね」とコメントする私たちが、きちんと政治を見つめられるように、もっともっとたくさんの人に読んでほしい。

  • 東2法経図・6F開架:407A/Ma67k//K

  • 非常にはっきりした意見を持たれているため、自分はどう思うか考えながら読む本

  • 「科学者である前に人間たれ」
    「二足のわらじがはけなきゃ一人前じゃねえ」

    帯には政治批判と書かれているし、実際そのようなことも書いてあるのだけど、それよりも科学と政治、社会との結びつきが率直に書かれているのが印象的だった。
    科学だけしてるのが科学者ではマズイよなぁとは思うし、「選択と集中」の問題点も書かれてて大いに納得。
    面白い!

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著者プロフィール

1940年生まれ
理論物理学者

「2014年 『人生を考えるのに遅すぎるということはない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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