すべての疲労は脳が原因 3 仕事編 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087208986

感想・レビュー・書評

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  • とても話題になっていた、『すべての疲労は脳が原因』の第3弾です。今度はビジネスパーソンを対象に、仕事疲れに対する脳疲労の改善と予防法が記されています。

    1も続編の「2」もそうでしたが、脳疲労の原因と理由、理屈と実践法と、最後に著者の希望の声がありました。章の段取り、構成が次に読み進めたくなる印象で、この「3」は一気読みしました。

    仕事が面白くて熱中しながらも、このごろ週末になるとドロンと疲れることを自覚していたので、どの情報も役に立ちました。

  • うむ...,2作目とあまり変わらないような気が...。

  • 3匹目のどじょう。これは2匹目と違って、脳の話が多かった。だから、脳の復習ができた。日本の企業では仕事の終わりに「お疲れ様でした!」というあいさつを交わす、という記述がある。我が社では、朝からでも「お疲れ様です!」とあいさつする。よくよく考えると、なんでいつでもお疲れなのか。疲れないようにするには、仕事に優先順位をつけて、どうでもいいことは捨てていく。たとえば10個の仕事があったとき、優先順位の高いものから10,9,8・・・と得点をつけて、上から6割の仕事をすると、得点は10+9+・・・+1=55点中、10+8+・・・+5=45点と8割以上の結果が得られる。なるほど。ほんとかな? とまあ、手抜きのしかたがいろいろと紹介されている。結局は疲れをとるには寝るのが一番というのが結論のようだ。ただその眠り方は、いびきをかかないなど質の良いものが必要。いびきはねえ、かいてないと思っているが、自分ではわからないので・・・。私は、手抜きはわりと上手、気持ちの切り替えも上手、だから疲れはあまりたまらない、と自分では思っています。肩はガチガチに凝っていますが。

  • 副交感神経が優位であれば脳疲労は生じにくい。

  • 本書は「すべての疲労は脳が原因」の第三弾「仕事編」ということで、働いている人に対する対策を具体的に紹介しています。この手の本によくある、第二弾「実践編」と内容がほぼ丸被りではないかと思って手にしたが、良い意味で期待を裏切ってくれた。当然ながら、第二弾で扱った内容が一般的な実践編であるため、一部被っている内容があるものの、全般的にサラリーマンである自分に当てはまる部分が多かったので、出来る所から「実践」していきたいと思った。


    ・筋力は一時的に低下しても、適度な負荷でトレーニングをすれば80代でもアップを期待することができます。筋肉の細胞は新陳代謝が活発なので、早めに40代から手を打っておけば、加齢による筋力低下にプレーキをかけることが可能です。
    ところが、脳や自律神経を構成している神経細胞(ニューロン)は、長年の酷使でダメージを受けて一度死んでしまうと、その細胞自体は再生しません。自律神経のトータルパワーが下がっくから手を打っても、回復は望めないのです。そのため、脳に休息を与えて楽にさせる必要があるわけです。そのようにして脳疲労を避けながら、疲れない範囲で適度に刺激して活性化すれば、年齢を重ねてもトータルパワーの落ち込みを最小限に食い止めることができます。

    ・自律神経を休めるための具体的な方法やコツは、食事と睡眠と環境にあります。拙著「すべての疲労は脳が原因2(超実践編)」で詳細に記しましたので、そちらもぜひ参照してみてください。夜はできるだけ質の高い睡眠をとって自律神経を休めことが究極のアンチエイジングとなり、仕事とプライべートを自らのべースで楽しむ基礎を作ることになるのです。

    ・本書のテーマである「脳疲労を抑えて仕事や日常生活を積極的にうまくこなす方法」について、結論を1つ言うと、「ビジネスシーンでも生活でも、できるだけ脳が疲労の蓄積から解放されて楽でいる時間を作ること」になります。「脳が楽でいる」と言うと、サボっているように思う人もいるかもしれませんが、言い換えれば、脳に疲労を溜め込まない状態であり、それこそが仕事の効率化に大きなプラスの変化をもたらすのです。

    ・トップダウン処理の場合は、ひらがなやアルファべットの個別の情報を一覧する手間を省き、すでに獲得して蓄積した自らの知識や経験を踏まえて文章を解読するといった情報処理を進めます。これは、~OOf確実な結論に達する保証はありません。しかし、トップダウン処理は知識や経験を重ねるごとに精度が上がり、時間と労力をそれほどかけなくても結論に達しやすくなります。そのため、トップダウン処理の力は加齢によっても落ちにくく、むしろ向上することもあります。
    初めてとりかかる仕事ではボトムアップ処理になるでしょうが、経験値が上がると過去の事例からトップダウン処理ができるようになります。若いときより自律神経のパワー落ちて脳疲労が溜まっていると自覚するなら、ボトムアップ処理で確実性を求めず、トップダウン処理で要領を優先したほうが脳は楽でいられると言えます。

    ・メタ認知とは、分がいま行っている知覚や思考、記憶、行動などの認知を客観的に別の立場からとらえて評価し、コントロールする脳の活動を言います。メタ認知を高めるための重要なポイントは、つねに自分と周囲を「俯瞰」しながら思考し、判断するくせを身につけておくことです。俯瞰とは、「メタ」と同じように、高いところから全体をみおろすという意味です。こうしたメタ認知化、あるいは術敵化は、慣れるまでは意識づけが必要かもしれません。
    ・メタ認知を後天的に高める方法の1つに、できるだけいろいろなタイプの、男女や年代、世代、業種を超えた人たちと付き合うことがあります。年齢を重ねてくると、環境的にも気持ちとしても、自分と同じような境遇にある人とばかり付き合いがちになります。しかし、日常ではなかなか触れない環境にあえて身を置き、自分に馴染みのない分野で活躍する人たちと積極的に交わっていると、いつも自分がみている視点とは違うところに立って考えるきっかけが得られます。視点を変えると新しい価値観が生まれ、1つの事象を複数の評価軸で判断できるようになります。
    ・より手軽にメタ認知を高める方法として私が実践しているのは、まったく知らない人を黙って秘かに観察する「マンウォッチング」、そう、人間観察です。そして、マンウォッチングに慣れてきたら、その対象人物が次にどのような行動をとるかシミュレーションをしてみましよう。シミュレーションは、メタ認知機能を高めるうえでもっとも高等なテクニックです。いま、目の前で起きている事象を俯瞰的に把握し全体像を眺めることができるようになると、徐々に「次に何が起こるか」を推測できるようになります。
    ・「自分ならどうする」というシミュレーションだけではなく、「このとき〇〇さんならどう考えて、どのような行動をとるだろう」と想像するのも、メタ認知とトップダウン処理の能力を向上させます。
    ・メ夕認知によるトップダウン処理を活性化するには、注意を何か1つのことに集中するのではなく、周囲のことに適度に配分するべきです。会話をするとき、自分の話す内容だに没頭すると、自慢話や相手がまったく興味のない話を続けても平気、ということになるのです。自分の話す内容はもちろん、相手の話や態度、場の雰囲気などに注意を払いつつメ夕認知力を使えば、スムーズにコミュニケーションがとれます。
    注意を適度に配分していると、あちこちの神経細胞とネットワークを働かせることができるため、脳疲労も避けられます。トップダウン処理では、集中力を高めないことも脳を楽にすることになります。そして、ボトムアップ処理では、集中力を高めると効率化しますが、すぐに脳疲労が高まるというデメリットがあります。

    ・子どもは、漫画やテレビといった自分の興味のあることに対しては集中して没頭しますが、突如、一変して飽きることがあります。これはいくら無防備が許されても、それ以上集中しすぎると脳疲労が溜まりすぎるからです。
    メ夕認知が不得意であまり仕事に手が抜けないタイプの人は、脳内の特定の神経細胞やネットワークを酷使してそこに疲れが溜まると知っておいてください。

    ・必要な情報に対するアンテナを張っていると、必要な情報だけを自然に選択してとり込むことになり、不要な情報は無意識に排除することができるわけです。こういった「情報の入力前の「断捨離」」によって、脳疲労に陥るリスクを減らすことができます。


    ・7桁の数字や7つの言葉はメモをとらずに暗記できる上限の目安だと知っておくと、生活やビジネスの企画で便利なこともあるでしょう。

    ・情報の質によって違いがあるものの、「数十秒から2か月ほどの間に繰り返し入力があった情報」は大脳皮質に送られるとぎれています。しかも、できるだけ短い期間で繰り返されるほうが有効になります。著者の治療や研究データからすると、2週間以内のインプットが目安と考えています。

    ・睡眠不足や不眠の症状などがあると、記憶が定着しにくくなると言われますが、それは本当です。その理由の1つが、睡眠の障害によって昼間に眠くなり、記憶の元となる情報の入力が制限されて神経ネットワークをめぐる「興奮」の信号が乏しくなることです。さらに、夜中に眠れずに起きているとその分だけ余計な情報の入力があり、本来なら消去きれるべき情報が残って取捨選択がうまくいかない状況だとも考えられます。睡眠は記憶を定着させるためのみにあるのではなく、脳の疲れを回復させるための活動です。十分に眠れないと脳疲労は回復せず、記憶の定着にも差しつかえるようになります。
    ・量質ともに満たされた睡眠をとると、この「疲労回復因子FR」の働きが活発になるため、脳疲労が軽快しやすいことがわかっています。では、その満たされた睡眠時間がどのぐらいかと言うと、日中に脳をどの程度使っているか、また、個人の体力や環境によっても変わります。
    ・今日は仕事で疲れたというときは帰りにジムに行く、飲みに行くなどをしないで、早く帰宅して寝たほうがいいのです。それでも残業後に飲み会に行きたくなるのは、前頭葉の働きで、脳内に興奮物質が分泌されて疲れを隠してしまうからです。これを、「疲労感のマスキング」と呼びます。
    ・疲れていて睡眠時間を長めにとりたいときは、「いつもより早めに寝て、いつもと同じ時間に起きる」のが理想です。いつもと同じ時間に寝て寝坊するのではなく、早く寝たうえで起床時間を一定にすることが睡眠の質を高めるコツです。体の活動と休息のリズムを刻んでいる脳の体内時計を調整し、睡眠のあり方と密接な関係にある自律神経のバランスが整いやすくなるからです。
    ・「疲労負荷&睡眠記録表(エクセルで作成)」を使って、労感が左端の「全くなし」に近づけるように、負荷量と睡眠量を調節する習慣を作ってください。いずれにしても負荷量のスコアと疲労感が一致しないときによ、その理由がどこにあるかを考えてください。
    ・過度な負荷でオーバートレーニングになると疲労の元になる活性酸素が増え、自律神経が呼吸や血流をコンマー秒単位で調整しなくてはならないので脳疲労が生じます。自分にとって適切な運動の量をみきわめる目安として、トレーニングをした翌日、いつもより疲れが残っている感触があったならオーバートレーニングになっている証拠です。軽めの運動で脳を刺激して血流がよくならと疲労物質の代謝が促されますから、翌朝は普段より疲れが軽くなっている感覚が得られるはずです。起床時にオーバートレーニングと感じたらその日の活動量を減らして、できるだけ休みをとり疲労回復に努めてください。何よりも危険なのは、運動や作業にノルマを決めることです。1日1万歩歩くというのはわかりゃすい目標ですが、疲れているのに無理に1万歩歩こうとすると疲労が溜まります。今日は仕事で緊張して疲れたなと思ったら、たとえば6000歩にとどめておくのが疲労コントロールの考え方です。


    ・こなすべきタスクの数はその日の疲労度に応じて変えてください。「疲労負荷&睡眠記録表」が習慣になっていれば、その日のコンディション(起床時の疲労感)に応じて、「昨日頑張りすぎて朝の疲労度が40%だから、タスクは3つまでに絞り込もう」と臨機応変に対応しましよう。疲労感は脳からの重要なSOSです。それを無視して、「絶対に5つはこなすぞ」とノルマ化すると、疲労とは縁が切れません。

    ・教育現場では、子どものうちに成功体験を重ねた子どもほど自己肯定感が強くなり、ものごとに意欲的に取り組めるようになると言われます。ビジネスパーソンにとっても成功体験が重要であり、それが仕事への意欲につながります。
    ・100点でなければ成功とみなさない考え方では、他者から完壁と評価きれる成果を出せないと、それは失敗体験として脳に刻まれることになります。そういう自己評価が続くと自己肯定感が得られず、仕事のみならず生活も同様にモチべーションは下がる一方となります。やがて、不安感やプレッシャーでよく眠れなくなるなどの心身の不調をまねくでしょう。脳疲労を溜めないためにも成功体験のハードルを適切に設定し、要領よく手を抜きながら60%の努力で70%のパフォーマンスが出せることを成功ととらえるべきだと私は考えています。そうすれば自己肯定感がアップしてやる気が高まり、仕事に前向きに取り組めるようになります。


    ・昼休みには、午後からの仕事の効率を考えて、できれば30分ほど、30分が無理ならたとえ1分でもいいので、目を閉じる時間を作ってください。30分未満の仮眠は「パワーナップ」と呼ばれ、一般によく知られている疲労回復法の1つです。パワーナップは、「時間あたりの睡眠の効用が最大化する」とされています。休日でも昼寝が90分以上になってしまうと夜の睡眠に影響して眠りにくくなることがわかっているため、「仮眠は20~30分」と時間に気をつけながら、パワーナップの効能を取り入れたいものです。
    ・仮眠の際に目覚ましのアラームをセットする場合は、寝坊を恐れて大音量で派手なアラームを鳴らさないようにしてください。目覚ましのつもりでも、睡眠中の大きな音は動物にとっては身に危険が差し迫っているサインとなります。一瞬で交感神経が優位になって緊張状態となり、これは脳疲労の引き金となります。

    ・瞑想のために何もしない時間を作り出す手段の1つとして、呼吸に意識を集中するように求める場合があります。しかし、呼吸は本来自律神経によって自分が意識していないところでコントロールされている機能ですから、それを意識的に行ったところで、必ずしもメリットがあるわけではありません。無意識で行えるものを意識的に行うと、自律神経の疲労につながるということを忘れないでください。

    ・現代のように狭い空間で大勢の人々と接しながら仕事をし、見知らぬ人とつねに接触しなければいけないという状況では交感神経が休みなく興奮し続けます。そんな日常は当然、脳疲労の原因となるわけですから、それを自覚したら、または認識をしたなら、昼休みなどに短時間でも一人に慣れる時間を設けましょう。仕事中でも、たとえ5分間でも自分だけの空間で1人になれる時間を作りましょう。交感神経の興奮がおさまり、代わりに心身を休息させる副交感神経が優位になってリラックスすることで、疲れをリセットできます。
    ・その場からも1時間に1度は離席して、自分がいる環境にへゆらぎ」をとり入れるようにしてください。「ゆらぎ」とは、光や音などの物理量が平均値を中心に変動する現象のことです。そよ風、木漏れ日、せせらぎ、さざ波のように、自然界のあらゆる現象は「ゆらぎ」そのもので構成されています。

    ・解剖生理学的に、目と自律神経の関係では、近くをみるときは副交感神経が優位になり、遠くをみるときは交感神経が優位になっています。副交感神経は毛様体筋を収縮させて、目のレンズに当たる水晶体を厚くすることで近くにある物へのピントを合わせています。一方、交感神経は毛様体筋をゆるめ、水晶体を薄くして遠くにある物にピントを合わせます。サバンナに棲む動物が獲物を探すときのように、仕事モードの交感神経優位なときはレンズを薄くして遠くをみるように設計されているのです。しかしこの数十年、ヒトは仕事中、遠くではなく、近くをみる機会が増えてきました。脳は交感神経優位になっているにもかかわらず、パソコンやスマホの画面をみるために、副交感神経の刺激を目に送ることで近くにずっとピントを合わせているので、神経の機能に矛盾をもたらすことになり、自律神経がバランスをくずして疲れやすくなるのです。20~30分に一度はモニターから視線を外し、遠くをみるなどして焦点距離を変えてください。自律神経にかかる負担を軽減させることで、眼精疲労を緩和することがでさます。さらに1時間に1回は席を立ち、休みを入れてください。休憩は3~5分間で十分です。長く休むことが狙いではなく、交感神経が優位なままになっている自律神経のスイッチを一度オフにするのが狙いです。また、立ち上がって血流を促す、休憩のときに水やお茶を飲むなどすると胃腸が刺激されて動き出し、副交感神経が優位に傾きやすくなってリラックスします。

    ・寝室も布団の中も暗い状況でしょうから、光をとり込むために目の瞳孔は目一杯開いています。その状態でスマホの明るい画面をみると光がまともに目に入って視神経を刺激し、脳が興奮して寝つけなくなります。また同様の理由で、読書灯で本を読むのも脳疲労につながります。読書灯を使うくらいなら、寝室全体を明るくして読書をしたほうがよいということを知っておいてください。


    ・日本人は仲間意識が強く、職場でも家族でも円満を求めると言われます。「仲間外れ」を恐れる意識が子どものころの体験に根差していると、大人になってもそれトラウマになり、自らの意思と関係なくほかの人と同じ言動に走りたくなります。これが日本の国民性にみられる「同調圧力」の正体でしょう。この同調圧力も疲労をまねく大さな一因です。残業後に仲間と連れ立って飲みに行くのが慣例になっている職場も多いようですが、意に沿わない無理な行動は避けるのが賢明です。

    ・他者と対面したコミュニケーションでは、視覚と聴覚がフル回転して、また、嗅覚、触覚を使うこともあり、脳の神経ネットワークを広範囲に刺激します。相手の話を聞いて理解し、メタ認知で相手の関心や興味のありどころかどこなのかを考えながら反応することになります。話題が次々と移り変わるたびにワーキングメモリを駆使して記憶を引つ張り出し、結びつけてコミュニケーションを成立させます。ーキングメモリを介すると脳のあちこちを働かせるため、負担が分散して脳疲労が溜まりにくいのも特徴です。対面で人とコミュニケーションをとるというのは、脳の疲労を避けながら活性化して老化を防止するには有効な手段なのです。

    ・ストレスの大半は、「~しなければならない」「~するべきである」と理解しながらもそのとおりにものごとが進まなかったときに生じます。そうしないと他者に評価してもらえない、それができないのは自分の実力が低いからだ、自分の能力の欠如だ、すべて自分の責任だ......などと自己を否定するのが、ストレッサーに直撃きれる最大の原因です。ヒトの脳と体のありようからして、不完全な状態であることや弱点の露呈はごく自然なことです。病気になることは、生体の脆弱性が表に出た結果でもあります。それを含めて自分らしさだと思えるかどうかは、自分の心の持ちようにかかっています。「ストレッサーを変えられないなら受け止める自分を変える」という方法に気づいてください。
    ・誰しも弱さはあまりみせたくない部分です。自他ともにその弱さを認めることは、口で言うほどには簡単ではありません。職場でつらい局面に立たされている期間が長いと、弱点を隠すことに躍起になることもあるでしょう。特に、周囲からきほど評価されていない状況下で自己肯定感が低くなっていると、弱さを素直に認められない、もしくは弱さに埋没して病気になることもあるでしょう。そんなときは、できるだけストレッサーから物理的に離れることを試みて、その状況を俯瞰でみつめ、しかるべき人に相談して意見を聞いてみてください。自分のことはわからずとも人のことはわかると言いますが、それは他人のことならメタ認知で冷静に状況を判断しやすいからでしょう。

    ・ストレスを抱えて心の余裕がなくなると、メタ認知で自らを客観視することができなくなります。このような状態になると「認知」機能が低下し、その低下した認知機能でさらに考えるため、ますます客観視するゆとりがなくなるという悪循環に陥りやすくなります。この悪循環は、ものごとのとらえ方や考え方のくせによるものでもあるため、「認知」そのものを変えるとストレスが軽くなるケースは多くあります。心理学で言う「認知」とは、知覚した外界の対象や事柄が何であるかを判断したり、解釈したりする過程のことです。

    睡眠の量と質が適切でないと、交感神経が興奮し続けた状態になります。疲れを解消したくて遊びに出かけても、自律神経のバランスはいっそう悪くなって脳疲労が蓄積するだけです。するとまた眠れない日が続くといった悪循環に陥り、それが習慣になると「睡眠障害」という病気になります。眠りの改善の基本戦略は早寝・早起きではなく、「早起き・早寝」です。

    ・酒により顔が赤くなったり、どきどきしたりする人は微量のお酒でも脳と体にとって有害になるので、「自分はお酒が苦手だ。心身に悪影響があるのだ」と認識し、飲酒を避けるようにしましょう。

  • 睡眠をしっかり取り、自分の心としっかり向き合い、疲れたなと思ったら無理しないで身体を休ませることが大事。

    脳の性質と、働き方を照らし合わせて、分かりやすく書かれていた。書かれていたお酒との付き合い方などを踏まえて、今よりもう少し、脳に優しい仕事のやり方、生活を仕方を実践して行こうと思う。

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著者プロフィール

梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック院長)

「2022年 『医師が教える 疲れとりごはん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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