スマホが学力を破壊する (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087210248

作品紹介・あらすじ

数万人の調査により明らかになったのは、「スマホの長時間使用で偏差値が最大10下がる」など、予想を遥かに超える悪影響だった。子どものスマホ長時間使用のリスクを警告する、全保護者必読の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • スマホの使用と学力、脳に与える影響について、文部科学省や仙台市の教育委員会によって実施された調査から得たデータを用いて、述べられている。
    スマホ使用が日で一時間未満の児童や生徒は未使用であったり、使用時間が長い者に比べてテストの点数が高い傾向にあることが興味深いと感じた。この傾向を棒グラフで見ると「肩」のように見えることから、本書では肩と呼び、この存在について深く分析されている。スマホを所持しているが、日に1時間未満の使用に抑えることができる児童や生徒は、自己管理ができることから、学力も高いと考えられていることが非常に興味深かった。
    また、インスタントメッセンジャー(LINE等)の場合には、この肩の存在は認められないことは不思議であった。
    本書は小学生や中学生の学力と関連づけて述べられているが、これは大人にも関係のある話である。パソコンやスマホの普及により、手書きからキーボードの打ち込みに変わっている。研究により、脳の前頭前野が前者では活発になるが、後者では前者と比べ活発に働かないことが分かっている。技術の革新によって、さらにこの傾向は強まることを著者は危惧し、小中学生にはスマホ等の使用を制限するべきとの提言をしている。

  • タイムマシンに乗ってiphone を開発する前のスティーブ・ジョブズを殺したいほど最近色々あってスマホに怨念を抱いている私が長年追い求めていた本。

    かくいう私も前までは暇を見つけてはスマホを開いてしまう人間だった。

    そんな私がなぜスマホをブクログの更新以外に使わなくなったかというと、本の存在が大きい。

    暇な時はスマホを見るのではなく本を読むようになったのだ。

    趣味や熱中できるものに出会うとスマホなんてものには興味がなくなる。

    いま、スマホにしか魅力を見出せないような人たちはぜひ、本でも漫画でもスポーツでも、何かしらの趣味を見つけてみてほしい。

    そうすればスマホとの距離も自然に遠のくことだろう。

    そして大人達もそんな子供達のために、勉強だけを押し付けるのではなく、子供達を信じて彼らの持っている興味や関心を最大限引き出してあげてほしい。

    それが今の大人達ができる最大限のしつけだと思う。

    • nejidonさん
      T高校のとある図書委員さん、こんばんは(^^♪
      フォローしてくださり、ありがとうございます。
      不穏な雰囲気で始まるレビューに、つい読み込...
      T高校のとある図書委員さん、こんばんは(^^♪
      フォローしてくださり、ありがとうございます。
      不穏な雰囲気で始まるレビューに、つい読み込んでしまいました・笑
      ビル・ゲイツもスティーブ・ジョブズも、自分の子どもには14歳になるまで決して
      携帯は与えなかったそうです。
      その年齢になるまでの成長の仕方にも問題があるのかもしれませんよ。
      まぁ、そんなことを言ったら課題が大きすぎてどうにもなりませんが、
      レビューにある通り、大人の側にももっと真剣に考えて欲しいものですよね。
      私は週に一日だけPCもスマホも一切触らない・見ない日を設定しています。
      特に無くても全然困りません。来年は週2に伸ばしてみます。
      ということで、どうぞよろしくお願いします。
      2019/12/11
    • 【T高校のとある図書委員】さん
      nejidonさん、こんばんは!!
      コメントありがとうございます。
      名前が長くてスミマセンm(_ _)m
      タイピングめんどくさかったでしょう...
      nejidonさん、こんばんは!!
      コメントありがとうございます。
      名前が長くてスミマセンm(_ _)m
      タイピングめんどくさかったでしょう…
      スティーブ・ジョブズもなかなかやりますねー
      怨念を向けるべきはスティーブ・ジョブズではなくスマホを上手に使いこなせない自分たちの方だったのかもしれません。
      週一のスマホ禁止DAYいいですね!
      僕も便乗させてもらいます。
      いつも長ったらしい僕のレビューにいいねしてくれて本当にありがとうございますヽ(*^ω^*)ノ
      これからもよろしくお願いします(つД`)ノ
      2019/12/11
  • 衝撃だったのは、スマホを使い始めた途端に成績がガクッと落ちていくこと、逆に使うのをやめると成績が上がっていること。そして、ITを使うと前頭前野(情報処理や思考の中枢)が働かなくなるという研究結果である。文章を書くときに、手書きで書くのと、PCやスマホで文字を打つのとでは、PCやスマホの方が楽できるから、脳は働かないというのはイメージできていたけど、対話する時に、直接顔を合わせて話すのと、テレビ電話で顔を見て話すのとでも、テレビ電話の方が脳が働かないのは意外で、驚いた。
    とはいえ、育児をする時にスマホが便利なのは事実。だって、家にいながら、病院の予約ができて、待合室で長時間待たなくて済む。出かける前に電車の時間を調べ、初めての場所は授乳室やエレベーターの有無を事前に確認できる。何より辛い時にはTwitterで同志を見つけることができ、産後鬱にならずに済んだ。
    でも、この本を読んだ後に、自分の子どもにスマホを持たせるかどうかを考えると、悩んでしまう。共働き世帯の子どもが、親と連絡をする手段として、携帯は必須だと思うし、でも学力が低下するエビデンスは出ているし…。
    スマホを与えるにしても、我慢させるにしても、親自身がスマホとの上手な付き合い方をお手本として見せることが、今できる最善なのかもと思う。
    本著に収録されている依存度診断の結果は、反省するに十分な数値だったので…。
    スマホの恐ろしさをまざまざと見せつけられた本でした。

  • スマホを何のために使うか?
    その目的と理由を「しっかり」考えて、スマホを使うのが、
    より良い人生を実現する上で大切なことだと思いました。
    少し、大げさな表現ですが。。。。

    なぜなら、私は今、スマホを大した目的もなく、
    使っていて、視点を変えれば、「使わせられている」からです。

    この著作では、スマホの使用時間と学力高低には、明確な相関関係が認められていると指摘しています。
    つまり、スマホを使用すれば、すればするほど(使用する時間が長ければ、長いほど)、
    学力を測る指標の一つである数学や国語の成績が下がるということです。
    もちろん、この結果知っても、「そんなの当たり前だろ」です。

    興味深いのが、スマホの使用時間がある一定数を超えると、
    仮に2時間、家で勉強しても、
    その効果が点数に反映されず、「勉強した時間の効果が消えている」、
    可能性をこの著作(仙台市で行われた教育調査)で指摘しています。

    これは、スマホの使用時間の増加が青少年少女の脳に多大なる負荷を掛けていて、
    記憶をつかさどる海馬が何がしかの形で「反応」していることかもしれません。
    もちろん、ここでいう「反応」は悪い方の「反応」で、
    スマホを使ったことで、学んだことが身についていない現象が生まれているということです。

    例えば、現代は、当たり前のように中高生が大量のメッセージをライン上でしていますが(アメリカの統計では1日に平均110回SNSを通してテキストメッセージを送っている)、
    その行為が脳にどれぐらい負担をかけていて、その影響が学習にどう及ぼしているのは、
    はっきりとわかっていません。良い影響なら良いのですが、たぶんそうではないでしょう。

    分かっていることは、SNSを操作している時は、脳は大して働いていないということです。
    その一方で、脳の一部の機能に多大なる負荷を掛けている可能性がある。
    言い換えると、全然、仕事をしないで、朝から晩まで、ぼっっと会社にいて、
    「あああ、疲れた」と言って、帰宅する、どうしょうもないサラリーマンに似ている状況かもしれません。
    こういう人材は、真っ先にクビを整理対象になります。

    話しを戻し、個人的に思うのは、SNSのテキストベースのやりとり、写真や動画の絶え間ないやりとりは、
    脳に多大なる負担をかけるというか、ダメージを与えているんじゃないかと思います。
    川島博士も、それらの行為が、脳の健全な発育を阻害している可能性があるかもしれないと、
    危惧しています。仮に因果関係があることがわかっても、社会的に封鎖されるか、
    そういう研究の不備を、あらゆるスマホ関連企業が指摘し、つぶされるでしょう。
    タバコと全く同じです(タバコは、有害が社会的に認知されるまで80年以上を要しました)。

    現に、SNSではないですが、それよりも遥かに「はまる」と言われるオンラインゲームは、
    その中毒者とそうでない健常者の脳を比較してみた場合、中毒者の脳が変形していることが、
    明らかにされています(これも、ほとんど話題になっていませんが)。
    特に判断をつかさどる前頭前野が正常に育っていないとされています。

    スマホは本当に便利な道具です。
    あらゆる娯楽を私たちに、提供してくれています(多くは実質無料です)。
    それは、とても面白い経験であり、役立つものです。
    より良い便利な生活をする上で、スマホは、なくてはならないのになっています。
    しかし、ある見方では、あまりに、「はある」ものであり、スマホに依存し、
    私たちの貴重な時間を奪うだけではなく、カラダやメンタルまで、多大なる影響を与える恐れがあるものです。

    この本を読んで、スマホの使用時間を毎日1時間未満(仕事や勉強で使う以外)にし、
    学習時間(勉強・資格取得など)を2時間以上とることが、青少年・少女の学力を維持、発展するための必要条件で、また、成人にも非常にあてはまる人生の最適化戦略になると思いました。

  • あらためて思いました。
    「私が小中学校のころ、スマホというものが無くて良かった」

    本書は、東北大学加齢医学研究所と仙台市教育委員会の組織的連携協力に関する協定のもとに行っている、児童・生徒の学習意欲を向上させるための共同プロジェクトの成果より、中学生のスマホ等使用に関するデータをまとめ、それを基に分析・会社を行い、論考したものです。

    題名から想像できるとおり、スマホに時間をかければかけるほど、成績が低下します。
    それは学習時間とも睡眠時間とも直接関係しません。
    たとえば4時間以上スマホをしている子が毎日2時間以上勉強しても、
    勉強30分以下スマホ1時間未満の子の成績に負けてしまうのです。
    それって、頑張ってダイエットした人が一杯のラーメンであっという間にリバウンドするのに似ていますね!

    考えられるのは「脳」に何か悪影響があるのではないか?ということ。
    それで、家庭学習をほとんど行わない児童・生徒の学力がスマホ等の使用時間に応じて低くなるという結果から考えてみると
    ① 学校で獲得した学習の記憶が消えた
    ② 基本的な学習能力が低下し、学校の授業で学習がうまく成立しなかった
    このいずれかの理由である可能性が高い、と川島博士。


    脳機能の実験により、ITでは前頭前野は使われないことがわかりました。
    しかもそのうえ、安静時よりも「抑制現象」が生じます。
    つまり前頭前野をつかうのが“use it”、そうでないのが“lose it”と思っていたのが、スマホ等により強い抑制がかかり悪いことが起こる“destroy it”なのではないか?という最悪の仮説が頭をよぎる。

    もう一つ、メディア・マルチタスキング、つまりテレビやラジオ、スマホPCなど複数のメディア機器を同時に利用する状態、近年ではスマホのようなひとつの機器のなかで複数のアプリを切り替えて使うスイッチングもその定義に含まれるようになっているのですが、
    学力の他に認知機能も低下する、社会性に悪影響を与える、記憶力を低下させる等、マイナスの影響を論じる論文がたくさんでているそうです。

    これについて川島博士は本書のなかでいろいろ推察していますが、動物実験ができないのでエビデンスが出せない。
    手遅れにならないうちに結論をだして社会に情報発信したいとおっしゃっています。
    私もマルチタスキングは日常茶飯なので、
    どうぞよろしくお願いします。

  • ・LINEはスマホ仕様の経年変化データと比較して、使うのをやめたことによる成績向上よりも、使い始めたことによる成績低下の影響の方が強いようです。

    ・ゲームの影響と同じく、テレビを長時間視聴する児童・生徒の言語知能の発達に遅れが見られること、前頭葉を中心に大脳皮質の発達に遅れが見られることを明らかにしました。長時間のテレビ視聴には種々のリスクがあることは肝に銘じておかなくてはいけません。

    ・生徒たちの家庭での時間の使い方を想像してみましょう。部活を行い18〜19時に帰宅したとします。そうすると夜就寝するまでに、平均4〜5時間しかありません。
    LINEを使用する人はマルチタスク(テレビをみながらスマホを操作し、かつゲームをする)をする傾向があり、それが学力等の低下につながっているとの指摘があります。

    ・ゲームやテレビは長時間の使用で学力が低下するばかりでなく、健常児の言語知能や脳発達に悪影響を及ぼします。

    ・ゲームに慣れた途端に前頭前野が活動しなくなるばかりか、安静時よりも活動量が少なくなる前頭前野の「抑制現象」が生じたのです。どのようなゲームでも前頭前野に強い抑制がかかりました。こうした抑制現象はテレビ番組の視聴中にも生じました。

    ・今回私たちが見つけた事実は非常に深刻なものです。「文化的な生活」は手に入りますが、「健康な生活」や「成績の向上」からはほど遠くなります。

  • スマホが学力に与える悪影響を実験結果に基づき淡々と説明している良書。

    驚いたのが、「それなりに勉強している+スマホを一日に何時間もいじる」生徒よりも「全く勉強しない+スマホを全くしない」生徒のほうが成績が良いということ。
    スマホをいじることで、脳に何らかの悪影響が生じている可能性は高いと思う。
    また、影響が大きいのは動画やゲームだと思っていたが、SNSも同等以上に影響が大きいことにも驚かされた。

    この本の内容をまとめると、「子供の成績を上げたければスマホを与えるな。子供の前でスマホをいじるな」「スマホをいじるとバカになるぞ」ということか。

    満員電車の中で周囲の迷惑を顧みずにスマホをいじる輩や、歩きスマホをしている輩が総じてアホ面をしている理由が何となく分かる本だった。

    (追加メモ)パソコンで文章を打つ行為は、脳の活性化には全く役立たない。
          脳を活性化させるには、ペンで文字を書くことが有効。

  • 予想通り、スマホは脳に本当によくない影響を与えてる。
    本を読んだり、スマホから離れることが大切だ。
    スマホ、テレビ、ゲーム等どれも気をつけて付き合っていかなければならない。
    家に置いておきたい本。

  •  慎重な横断・縦断分析をからスマホを使うことで明確な学力の低下が見られることに警鐘を鳴らす一冊.
     何かと便利なスマートフォン.だが「便利」とは苦労して使っていた「何かを使わなく」なる.そして使われなくなった「見えない何か」は失われる(Use it, or lose it).また,メディアマルチタスキング(スイッチング).つまり,スマホの様々な機能を「並列して使い」日常を送ること自体が学習の質を低下される可能性を指摘している(destroy it).
     スマホを傍らに置いて勉強に集中して捗らせることは難しい.喫茶店やスタバなど公共の場で集まって勉強している子供たちのほぼ全員がその場でスマホを使用しており.ペンを握ったかと思えばスマホをいじり,何をしているのかと通り際にチラ見してみれば写真加工のアプリ,誰かのSNS,終わりのないスマホゲームなどなど.これでは学習の質も量も破壊されて当然である.
     スマホを使うなとは言わない.しかし,学習時など集中して取り組む必要のある作業時には電源を切って,制限時間を決めて集中して取り組んで欲しいものである.

  • 次の結果が待ち遠しい。
    前頭前野の抑制現象
    脳に与える影響が解明されていないが、少なからず影響があるとするデータからすれば、スマホだけでなく、テレビやゲームも使い方を考えるべきだと思う。

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著者プロフィール

東北大学加齢医学研究所所長。
1959年千葉県生まれ。東北大学医学部卒業後、同大学院医学研究科修了。医学博士。スウェーデン王国カロリンスカ研究所客員研究員、東北大学助手、同専講師を経て、同大学教授として、高次脳機能の解明研究を行う。人の脳活動のしくみを研究する「脳機能イメージング」のパイオニアであり、脳機能開発研究の国内第一人者。ニンテンドーDS用ソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」シリーズの監修者。学習療法を応用した『脳が活性化する100日間パズル』シリーズ(学研)や『楽しい!脳活パズル120日』(学研)など著書多数。

「2022年 『美しい日本の祭礼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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