世界が変わる「視点」の見つけ方 未踏領域のデザイン戦略 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087210743

作品紹介・あらすじ

“目からウロコ"の大人気授業、待望の書籍化!

ユニクロ、楽天、セブン‐イレブン等の企業、
今治タオルなどの物産品、幼稚園や大学などの社会施設……
様々な領域でブランド戦略を手掛ける佐藤可士和が、
2012年から慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で
行っている画期的な授業「未踏領域のデザイン戦略」を書籍化。
一見、デザインとは無縁な「健康」「平和」「防災」「幸福」など
抽象的なテーマに、どのようにデザイン的思考が反映されるのか?
全ての人が活用できる「デザインの力」とは?

「未踏領域」で学生たちが取り組む「デザイン」とは、
つまるところ「新しい視点の発見」にほかなりません。
それは万人に開かれた技術です。
(「おわりに」より)

浅い理解の時は、「こういう技術があるよ」ということがデザインだと思っていました。
しかし、そうではなく、「こういうことを考えたら面白いよ」というアプローチがデザインなのだ、と今回の受講でわかった気がします。
(第2章「学生たちの感想」より)

【目次より】
・「コミュニケーション」をデザインするとは?
・「デザイン」はよりよい日常へのツール
・大学の授業という「未踏領域」のデザイン
・ダメ出しはする、アイデアはいわない
・学生たちのプレゼン実例「防災」「オリンピック・パラリンピック」「キャンパスビルド」「強靭健康社会」「本当の平和」「無二の私の幸福」
・まず「自分事化」してみよう
・「右脳」と「左脳」のキャッチボール
・「もがき」はスキル向上の踏み台
・リーダーシップとフォロワーシップ
・パカーンと光が当たってコンセプトを発見する
・デザインとは「ビジョン」を設計すること
・「課題」→「コンセプト」→「ソリューション」
・「勘」と「感」を研ぎ澄ます
・「個人の感覚」を制御するな、むしろそこを掘れ
・経験値を高めて、多様な「視点」を獲得する

【著者プロフィール】
佐藤 可士和(さとう かしわ)
1965年生まれ。クリエイティブディレクター。
慶應義塾大学環境情報学部特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。
2016年度文化庁文化交流使。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、
博報堂を経て、2000年「SAMURAI」設立。
ユニクロ、楽天グループ、今治タオルのブランド戦略、国立美術館のシンボルマークデザイン、
「ふじようちえん」「カップヌードルミュージアム」のトータルプロデュースなどを手がける。
『佐藤可士和の超整理術』など著書多数。

感想・レビュー・書評

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  • 中途入社のおじさんに教えてもらって知った佐藤可士和さん。(おじさんはずっと広告業界で働いてきた方です)

    ユニクロや今治タオル、楽天のロゴなどを作成されている方。
    この方だったのですか!!という驚きで、
    どうしてもお盆中に
    佐藤可士和さんの本を一冊は読みたくて、手に取りました。

    慶応義塾大学で
    「未踏領域のデザイン戦略」という授業を担当され、
    実際にそのなかで学生が考えた成果物(結果)と、
    授業内容、それに対しての佐藤さんの考え方、
    そして、
    佐藤さんの「デザイン」に対する考え方も書かれている、
    とても贅沢な一冊でした。

    帯に、
    -------------------------
    誰だって「デザインの力」を使える。
    大切なのは、この3つ。
    ①課題
    ②コンセプト
    ③ソリューション

    ①の「課題」とは、問題を解決するための
    取り組みやテーマのことです。
    ②の「コンセプト」とは、
    考え方の方向性のことです。
    ③の「ソリューション」とは、具体的に課題を解決するアイデアと実行プランのことです。

    ①「課題」→②「コンセプト」→③「ソリューション」は、シンプルでありながら、極めて有効なフレームです。
    この順番だけは、ぜひ覚えておいてください。
    -------------------------
    とありますが、
    もうすべてこれに尽きます。笑
    すでに帯でネタバレしてます。苦笑

    デザインは感性だけではなく、
    問題解決の思考も大事なんだと思われます。
    大事なのは、課題に対するコンセプトであって、
    ソリューションが先に来るのは間違い、だと。
    そうすると、中身の何もない成果物しかできない、と。

    本書を読んで思ったのは、
    本書に登場するこの授業ですら、
    佐藤さんにデザインされているんだな、と。
    そして大学生が考えるデザイン結果がとても素敵でした。

    コミュニケ―ションと煙が出るまで考えること、
    そして時代に対する反射神経、
    読んでて、なるほどが止まらない一冊でした。

  • 「一に課題、二にコンセプト、三にソリューション」と書いているが、著者はコンセプトという言葉を「考え方の方向性」という意味で使っている。
    コンセプトはまた判断基準や視点だとも書いてあることから、物事の評価軸に何を置くかという意味で使っているようだ。
    「コンセプト(考え方)」はまた、チームメンバーで共有することで、いろいろな意見が出たときに、取捨選択の判断に使う「定規」の役割として有効だと言う。
    『課題』という言葉に、含んでしまうこともできそうだが、分解の仕方として参考にしようと思った。

  • コミュニケーションデザインの分野で代表的なデザイナーの1人である佐藤可士和さんの著書。

    SFCで特別講師をしている佐藤さんの授業内容をもとに
    「授業内容を聞く生徒への思い」「生徒・卒業生の声」「一緒に授業を務めた先生との対談」「佐藤さんの経歴」を通して、多角的な視点から実際に佐藤さんの授業を聞いているような感覚で新しい視点の見つけ方を学べるようになっている。

    フォーマット式にまとめてあるというよりは、感性を大事にしつつロジカルな内容となっていて、コミュニケーションという掴めないものを対象にした領域の解決方法を生徒とともに探っているように感じた。



    最終的なグラフィックもシンプルで明快なところが特徴ですが、文章も同様の特徴を帯びている感触でとても分かりやすかった。

    導入のイントロでよく取り上げている、博報堂時代の仕事の「KIRIN CHIBI LEMON」の事例など、一つ一つのターニングポイントの論理もわかりやすく、キャリアデザインとしても参考になった。


    「コミュニケーションの不具合」に対するところの課題を意識されていることがデザインする上での起点として分かりやすいと思った。

    その課題は数値的な判別は付けづらく、マーケターなどのビジネスより職業の方では難しいように感じられた。
    だからこそ、デザイナーの感性が必要とされているんだなぁと思ったりした。
    私自身デザイナーの活動として、どのような課題に向かって取り組んでいるのかをまとめたいと思っていた中で読んでいたので、とても参考になった。
    そして、まだ言語化されていないコミュニケーションを起点とした課題を探してみたいと思う気持ちになった。


    授業を受けた生徒たちの声も面白かった。
    文章語り口からしてもアウトプットの質からも優秀さが伝わった。
    生徒の中には、グループ内での合意形成の難しさにも触れていて、どんなに優秀でもそういったことはあるのだなと思った。(意外にもSFC内にオラオラ系の子がいたり飛び出してしまう人もいないとか。)
    学生時代にグループワークで苦戦した覚えがありますが、どこでもあることなのだなと思わされた。
    後半の方に触れている福沢諭吉の考えをもとに「独立自尊」「実学」「半学半教」といったコンセプトをもとに、専門領域ではない学科でこういった挑戦的な授業があるんだなぁと感心した。
    私自身デザイナーになるきっかけが大学生のときの先生の授業だったので、デザインの面白さを知った原点を知れた気がした。

    AIについても少し触れられていますが、私は最近気にし始めたに関わらず2019年の時点で触れているというのは、常に新しいことをキャッチされているんだなと知らされました。

  • 可士和さんが、デザインを切り口に課題解決に臨む際、どのような思考パターン(フォーマット)使って考えているのかが、人材育成を通じて伝わってくる内容。
    大学のデザインの授業そのものもどのように設計したのかも垣間見えておもしろい。
    「クリエイティブディレクター=コミュニケーションドクター」というのは名言。

  • とても読みやすいため半日で読了。
    デザインとはというhowtoではなく、デザインの思考とはといった内容だった。
    帯にも書かれている「①課題②コンセプト③ソリューション」の考えはシンプルだけど、本質的に理解するためにはそれこそ経験が大切なんだろうと感じる。
    自分は教職だったため、教材研究とデザインを重ねて読み進めていたが、そういうデザインとは関係ない分野の人にもおすすめできる本だった。

  • 学生時代に、このような授業を体感したかった…
    子供にもこのような授業がある学校を勧めてみたいなとも思わせてくれた書籍です。

  • いつもながら難しいけど端的な文章。
    「プロフェッショナル」を観て以来の、
    注目している人ですが、
    変わらず流石だなと思いました。
    課題→コンセント→ソリューション、か。
    ストンと腹落ちしました。
    少しでも何か取り入れられれば。

  • 京都府立大学附属図書館OPAC↓
    https://opacs.pref.kyoto.lg.jp/opac/volume/1268168?locate=ja&target=l

  • 掲載している学生のプロジェクト結果・気付きは秀逸です!まぁ一冊の本のみで語り尽くせるほど単純ではありませんが、コンセプト化についてヒントはあってもやりきるしか無いという結論はがっかり。結局視点の変え方は???内容は学びが少なくありませんが、標題に偽りありです

  • デザインとは視点の変え方
    という話になるほどと思った。

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著者プロフィール

■佐藤 可士和(サトウ カシワ)
クリエイティブディレクター。博報堂を経て「SAMURAI」設立。
主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。
近年は武田グローバル本社、日清食品関西新工場など大規模な空間デザインプロジェクトにも多く従事。
文化庁文化交流使(2016年度)、慶應義塾大学特別招聘教授(2012-2020年)毎日デザイン賞ほか多数受賞。
2021 年春に国立新美術館で「佐藤可士和展」を開催予定。

「2021年 『佐藤可士和の対話ノート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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