変われ! 東京 自由で、ゆるくて、閉じない都市 (集英社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087211283

作品紹介・あらすじ

コロナ後の都市のテーマは「衛生」ではなく「自由」である(「はじめに」より)

オリンピック・パラリンピックの祝祭モードから一転、自粛ムードに覆い尽くされた東京。
しかし、このピンチは、東京が変わるきっかけになるかもしれない。
キーワードは、「大きなハコ」から「小さな場所」へ。
国立競技場や高輪ゲートウェイ駅など、東京の最前線で幾多の「大きな」建築を手掛ける一方で、シェアハウス、トレーラーの移動店舗、木造バラックの再生など「小さな」プロジェクトに積極的に取り組んできた隈研吾が、未知の時代を生きる都市生活者の生き方、暮らし方に、新しい方向を指し示す。
既刊『新・都市論TOKYO』『新・ムラ論TOKYO』に続く対話篇シリーズの集大成!

【目次】
はじめに 隈研吾
第1章 なぜ東京は世界中心都市のチャンスを逃したか
第2章 シェア矢来町──私有というワナ
第3章 神楽坂「TRAILER」──流動する建築
第4章 吉祥寺「てっちゃん」──木造バラックの魅惑
第5章 池袋━━「ちょっとダサい」が最先端
終章 ずっと東京が好きだった
おわりに 清野由美

【著者プロフィール】
隈 研吾(くま けんご)
1954年生まれ。建築家。東京大学特別教授。
『ひとの住処』『建築家、走る』『点・線・面』など著書多数。
清野由美との共著に『新・都市論TOKYO』『新・ムラ論TOKYO』(集英社新書)。

清野由美(きよの ゆみ)
1960年生まれ。ジャーナリスト。
慶應義塾大学大学院SDM(システムデザイン・マネジメント)研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。
著書に『住む場所を選べば、生き方が変わる』など。

感想・レビュー・書評

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  • グローバルからワールドワイド、効率と拡大から自由と小さなものの多様性にこそ魅了がある。小さいからこそ、外を上手く取り込もうと目が向かう。

    東京の街の多くが魅了を失ったのは既存のシステムにもたれ掛かり、変わろうとしなかったから、また既得権益を守るために変えさせなかったことが大きい。

    ローンによる土地・家屋の私有は足かせになる。ローンを組んだサラリーマンはそんな自分たちを肯定するためにサラリーマンの価値観を正義として世の中全体に押し付けてきた。その気持ち悪さとそれがまだ続いているのを感じる。住宅ローン減税は既存のシステムの延命にすぎない。

    住宅、特にマンションの一階のつくられ方がまちの魅了を壊してきた。歩けること、歩きたくなることがまちづくりには大事。

    安っぽいはずの素材で、いかに美しく結晶させるか、それが建築家としての力量。

    元気のある街には、学校があって、学生が、若者がいっぱいいる。彼らが街で遊んでいることがすごく重要。

    住宅を私有の資産としてだけ捉えるのではなく、暮らしのクオリティを上げる装置、一種の都市インフラとしてデザインしていくことが大切。私有は危険であり、賃貸を上手く住みこなしていく方が今のグローバル経済の中では賢い。

    一方で自分の場所を持っていることは企業も個人も大事。

    楽しいと思える方向に自分でアクションを起こす。

  • 多くのことを学べて面白かった。
    東京における都市開発、都市再生たるものはなんなのか、高度経済成長期から現代にかけてのその概念やテーマというものの変貌を辿りながら、現代のこのコロナ禍を受け、その様子がどう変化しているのか、そのリアルな現状を隈研吾さんと清野さんの対話からわかりやすく理解することができた。

  • 不動産業界やゼネコンとは異なる建築家の視点で東京を視る。隈さんの視点はさすがに鋭いですね

  • オオバコシステムによる近代化 閉じ込めて効率化
    ITで閉じ込めなくても効率的に自由に
    建設産業の江戸時代におけるサムライ化 

    一定の評価を得た芸術家はコラボして違う地平に飛ぶ

    世界の中心都市 ジャック・アタリ
    =クリエイター階級が新しい発見への情熱を燃やす場所
     バブル期の東京はなれなかった
      過去の利得の維持保護 1億総サラリーマン化

    川沿いのライトインダストリーエリア
     スターバックス リザーブ ロースタリー東京
     巨大焙煎機のため工業地帯に

    建築の流動性 コンピュテーショナルデザイン
     長持ちしない建築 流動しながら有限の時間を生きる

  • 今や飛ぶ鳥を落とす勢いの隈研吾さん。東京には彼の建築が次々に建てられている。
    この本ではそういった大きなプロジェクトではなく、小さなものローカルなものへの関り、そして若き日の挫折が語られる。隈さんへの印象が変わった本。

  • 大阪 千里の万博公園に隅研吾氏の作品があって、その時に、建築家でもあることを知った。

    大きな有名な建物を建築されているのだが、大阪では、安藤忠雄氏が、子供の図書館などで、親しみがある。

    隅研吾氏が、有名になられたのに、借金を肩代りして、大変な時代もあった事に驚き、それによって、大きなハコものだけでなく、いろんな建築のトレーラハウス、木造バラックなどの発想に結びついているのだと・・・・
    この本を読んで、苦労もされたのだと。

    東京駅も、レンガ造りであっても、昔は、こんなにきれいでなかったし、KITTEも、楽しめる場所になっている。

    私の親、そして、私の時代は、家を持つのがステータスのようであった。

    しかし、一般的に、ローンという負債を背中に背負い、仕事も、家に縛られているという時代である。
    だから、仕事を転職するなんて、もっての他!なんて、考えだった。
    今の時代、大企業ブランドも必要なく、自分のしたい仕事をするという働き方が、主流になって来ている。

    今年のコロナで、キャッシュレス化も進んだし、フレックスタイムなども、在宅勤務も、、、、
    土地に縛られないで、好きな所で、自分の仕事が、出来る時代である。

    さてさて、これからの建築様式や住居は、どう変わって行くのだろうか?

  • 私有という罠

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著者プロフィール

1954年、神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員などを経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶應義塾大学教授、東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授。30を超える国々でプロジェクトが進行中。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案。主な著書に『点・線・面』(岩波書店)、『ひとの住処』(新潮新書)、『負ける建築』(岩波書店)、『自然な建築』、『小さな建築』(岩波新書)、『反オブジェクト』(ちくま学芸文庫)、他多数。

「2022年 『新・建築入門 思想と歴史;ク-18-2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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