ゲームが教える世界の論点 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087212495

作品紹介・あらすじ

【ゲーム批評で読む現代社会】
コロナ禍の「おうち時間」によって急速な成長を遂げたゲーム産業。
米大統領選のキャンペーンに「どうぶつの森」が用いられたり、オリンピックの開会式にゲーム音楽が使用されるなど、その影響力は現実の社会にも及んでいる。
そうした状況を反映するかのように、世界中で支持されているゲームは、さまざまな問題の解決策を示している。
本書では大人気ゲームの読解を通して、陰謀論、分断、叛乱、新自由主義、家族といった重要なテーマを考え、理想的な社会のあり方を提示する。

【おもな内容】

第一章 ポストトゥルースと陰謀論
1 分断された人類ーー『デウスエクスマンカインド・ディバイデッド』
2 差別を経験するシミュレーターーー『ウィッチャー3 ワイルドハント』
3 情報操作に対抗する個の覚醒ーー『ペルソナ5』

第二章 分断を超えるために
1 対話と理解の重要性ーー『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action』
2 人々を「つなぐ」必要性の体感ーー『DEATH STRANDING』

第三章 革命と叛乱のジレンマ
1 暴力的な叛乱か、芸術的な抵抗かーー『Detroit: Become Human』
2 テクノロジーによる管理からの解放は可能かーー『The Stanley Parable』
3 いかにして反抗を正しく導くかーー『ライフイズストレンジ』

第四章 新自由主義の終わり
1 「他者化」「非人間化」に抵抗するためにーー『The Last of Us Part II』
2 「選択と集中」の痛みを描くーー『イースVIII Lacrimosa of DANA』
3 原暴力への贖罪と、宗教的実存への移行ーー『レッド・デッド・リデンプションII』

第五章 家族と生命の神話
1 レトロトピアの誘惑ーー『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』
2 自然や故郷を破壊するエネルギー産業とどう対峙すべきか
ーー『ファイナルファンタジVII』『ファイナルファンタジVII リメイク』
3 思いどおりにならない存在と共存する訓練ーー『ゴッド・オブ・ウォー』
4 世界を愛する気持ちをーー『Horizon Zero Dawn』


【著者略歴】
藤田直哉(ふじた なおや)
批評家。日本映画大学准教授。1983年、札幌生まれ。東京工業大学社会理工学研究科価値システム専攻修了。博士(学術)。著書に『虚構内存在』『シン・ゴジラ論』『攻殻機動隊論』『新海誠論』(作品社)、
『新世紀ゾンビ論』(筑摩書房)、『娯楽としての炎上』(南雲堂)、『シン・エヴァンゲリオン論』(河出新書)、『百田尚樹をぜんぶ読む』(杉田俊介との共著、集英社新書)ほか。

感想・レビュー・書評

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  • アニメや映画とはまた違って、ゲームには「自分で操作した」という能動の結果としてのエンディングがある。

    でも、その能動性さえ、誰かによって仕組まれたものかもという「ザ スタンリーパラブル」なるゲームにちょっと興味。

  • 映画の視聴と考察、読解は楽しい。ゲームにもそんな無駄な(?)社会学的な考察を持ち込めば、悪気なく、大義名分を持ってゲームに費やす時間を投入できる…気がした。私はブレスオブザワイルドに1000時間を投入したが、考察抜きにして満足している。ゲームが投げかけてくる、解けそうな課題感が好きだ。それが遊びの本質のひとつだと信じて疑わない。社会学的な考察は、私にとっての「ダルケルの護り」ではあるが、それがなくてもゲームは楽しい。

  • ネット対戦やオープンワールドだけがゲームの進化ではない。ゲームの物語(論点)はずっと同じだと思ってた、反省。エンドをすごい!で終わらせずにリアルと照らし合わせることですごい!以上の感想を得られる。感受性高いと内容はちょっとだけ鬱

  • 東2法経図・6F開架:798A/F67g//K

  • 腰を据えてゲームを体感する時間もそう取れなくなってきた個人的な事情もあって
    タイトル名は各種メディア上で散見する斯様な「意欲作」と呼ぶべき作品の内実についてを
    製作者の発言や、同時代の社会背景を絡めて看取するに、レンジは広く小気味よい潜行の評論となっている。

  • それぞれのゲームの背景との考察
    FF7は環境テロリストの話
    リメイクを通しでやってみたい

  • FF7、言われてみるとめっちゃ攻めてるんだな。かなり面白いですが、ゲームのネタバレが相当に含まれるので、そこだけ注意です。

  • 『ゲームが教える世界の論点』藤田直哉

    現代ゲームは人類の心理的緊張への予防接種として機能するらしい。レトロピア【子宮への回帰】や歴史修正を体験できるジャンルの出現は時代に添ったものだろうか…

    今こそ自我を養うツールとして遊ぶべきかもしれない。

  • 国内外のゲームタイトルを例に、作品を分析し、現代社会の問題点と照らし合わせていくという内容。そのプロセスを通して、ゲームが社会や人の思考にどんな影響を与えているのか、そしてその未来を探った評論集。単純にゲームレビューとして読んでも面白い。

  • イース8のレビューを立ち読みした。弱肉強食な選択と淘汰への反論として読み解くのが面白かった。

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著者プロフィール

1983年、札幌生まれ。批評家。東京工業大学社会理工学研究科価値システム専攻修了。博士(学術)。日本映画大学准教授。著書に『虚構内存在』『シン・ゴジラ論』『新世紀ゾンビ論』『娯楽としての炎上』他。

「2021年 『シン・エヴァンゲリオン論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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