コモンの「自治」論 (集英社シリーズ・コモン)

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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087370010

感想・レビュー・書評

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  • ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD03645198

  • コモンを実際、社会においてどうやったら実行できるの?っていうことに回答するような本。それぞれの著者の具体的な取り組みや考え方が紹介され、大いに参考になる。
    民主集中制の危うさについて、斎藤さんから言及があるが、やはりボトムアップ的・水平的な関係性をいかに維持していくのかが大事なんだろうなと。

  • 自治という言葉は、本来素敵な言葉だったはずだが、なんだか最近は少し揶揄されているような気もする。自治会というのは煙たい存在だし、自治厨、なんて言葉もある。
    だが自治は大切な行為だし、言葉だ。
    コモンという言葉はまちづくりでよく聞かれるようになってきたが、広場っぽいスペースをとりあえず作って、はいコモンでございます、というものが多い。
    そんな状況でモヤモヤしている中、本書に出会った。
    全体的に実ある話であるが、「市場原理と贈与交換のブリコラージュ」という言葉に出会えたのがとても良かった。
    (本書の初出ではないが)

  • 後半パートだけ面白い
    暇と退屈の倫理学的な話で、「消費」に包摂されてしまってることの危険性を言っている

  • 人新世の資本論で説かれていたことを、さらに具体的にどうやって実現していくか。それを斎藤幸平氏だけでなくさまざまなジャンルの人も語っている。

    杉並区長の岸本聡子さんの章がとてもおもしろかった。
    「共生」や「協力」「包括」「共有」といった、女性的価値で政治や選挙のやり方、組織のあり方をかえていくフェミナイゼーション、地域社会や草の根から発する市民の集合的な行動を大切にして「水平的で多様でフェミニン」なら関係を気づくことを志向することの大切さ(97ページ)とケアの視点、特にフェミナイゼーションが今年の私のキーワードになりそう。

  • リーダーフルな自治が成立しても、国家規模には汎用できないのではという疑問が拭えない。小規模の自治からはじめるという考え方は理解できるが、それが経済システムを変え、現在の国家システムに代わることはこの本を読んでも想像できない。 コモン、自治が現在の課題に対す部分的な解決策となる可能性は否定しないが、希望になるとは思えなかった。
    また、何のための自治かという視点について、章によってズレがあって切れ味が悪くなっていた。
    結論としては、自治の重要性は認めるが、国家権力の在り方という意味では疑問が残る内容。

  • 309.04||Sa

  • 「人新世の資本論」を読む前から資本主義や新自由主義な世の中へ疑問を持っていた中で人新世〜に続いてこの本を読んだ。
    さまざまな立場の方がそれぞれの領域で取り組まれている、自治が興味深かった。中でも自分の仕事に深く関わる第一章や服も好きなので第二章もおもしろかった。
    自分は子どもに関わる仕事をしているが、その子ども達全員が生きやすい社会を作ることも大事な仕事だと感じた。「斜め」の自治を微力ながら、できる範囲で実践していきたい。

  • ラカン派の精神分析家の松本卓也氏と斉藤幸平氏の共同編者というのは、ラカン派に対して誤解があるかもしれないが、興味を持って読了。基本は新自由主義に毒された今の世界をどのように取り戻すか、という話であるが、徹底的に合理化するために民営化を進める新自由主義から人が最低限生きていくために必要なもの(コモン)は公営化しましょうというのが基本的な考えだが、日本では公営が悪のように思われる状況ではあるが、決してそうではなく、欧州の変化からも自治体レベルでコモンを取り戻す動き、ミュニシバリズムがトレンドになっている。日本では杉並区、中野区、世田谷区、この3区の動きから目が離せない。今後の変革に希望が持てる書であった。

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著者プロフィール

1987年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想、社会思想。Karl Marxʼs Ecosocialism:Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy (邦訳『大洪水の前に』)によって権威ある「ドイッチャー記念賞」を日本人初歴代最年少で受賞。著書に『人新世の「資本論」 』(集英社新書)などがある。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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