なくしたものたちの国 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451016

感想・レビュー・書評

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  • 帯文(裏表紙):”人生の出会いと別れをこまやかに綴った、せつなくもあたたかい作品集。”

    もくじ:晴れた日のデートとゆきちゃんのこと、キスとミケ,それから海のこと、なくした恋と歩道橋のこと、さようならとこんにちはのこと、なくしたものたちのこと、あとがき;角田光代,松尾たいこ、画題一覧

  • 角田光代さんの本は、今までに「あなたに、大切な香りの記憶はありますか? 」と「空中庭園」の2冊しか読んだことがありませんが、この本は、それらとは全く違う印象を持ちました。簡単な言葉で表現すれば、不思議なファンタジックな感じです。主人公は8歳までは、トカゲや学校で飼っている山羊と話ができた。でも家で飼ってた猫のミケのしゃべっていることは分からなかった。そのミケの生まれ変わりという中学生と恋人になる。大人になった不倫の恋をしてしまい思いが強く過ぎて生霊になる、、、。といった感じで主人公が不思議な経験をしながら生きていく様を主軸にして、その時々に”なくしていくもの”に思いを抱く物語です。人生では”得たもの”と”失ったもの”は等しいのだろうか?少なくとも、私の年齢になると”なくしたもの”の方が、日々増えていることを実感します。

  •  8歳までいろんなものと話ができたわたし。それは、道端の葉っぱだったり、トカゲだったり、ドアノブだったり…。なかでもわたしがいつも言葉を交わしていたのは、学校で飼われていた山羊のゆきちゃん。ゆきちゃんのおかげで、ドキドキではじまった小学校生活もなんとか順調にスタートできた。
     そんなある日、わたしはゆきちゃんにある秘密を打ち明けられて……

     ……とここまで、書いたら童話みたいだけど、子どもの話でも空想物語でもなく、「人生」というか、もっともっと壮大な、それでいて切なく心温まる主人公「なりこ」の一生の物語。
     いろんなものと話ができたり、あるいは出会った男の子がかつて飼っていたネコの生まれ変わりだったり……というところは、角田さんというよりちょっと江國さんっぽい感じも。
     本を読んでいる間も「なくしたものたちの国」のタイトルがずっと胸にひびいている。松尾たいこさんのイラストがとってもよくて、何度も読み返したい、そんな物語でした。

  • 普通では起こりえない設定(ヤギと会話ができる、飼っていた猫の生まれ変わりと出会うなどなど)に、最初は付いていけなくて、なんだ、空想物語かと思ってしまった。

    だけど、一人の女の子が大人になるまでを順に追い、大切にしていたものたちがじわじわと心に染み込んできて、すっかり物語の世界に入り込んでいた。

    なくしたものはホントはなくしてなくて、いつかどこかで再会できる。例え形が変わっても。だから大丈夫、今大切と思うものを精一杯大切にしようと思えた。

  • なくしたものたちは、姿、形を変えて、また再会できるという、ファンタジー要素が詰まった話。短編小説ではなく、ナリコの成長していく様が描かれていて、繋がりがあって面白かった。
    読み終わって、素敵だなぁーと素直に感じた。辛いことも不思議なことも淡々と描かれているからこそ、ファンタジー要素があってもすんなり入り込めたのかも。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    いつのまにかなくなったもの、というのが、人生にはたくさんある。たとえば、赤ん坊のときに好きだったぬいぐるみ。水玉模様のかさ。初めてできた友だち。恋とは気づけなかった幼くてまばゆい初恋…。松尾たいこの彩り豊かなイラストから角田光代が紡いだ5編の小説には、そんな愛しくてなつかしい記憶がぎっしり。人生の出会いと別れをこまやかに綴った、せつなくもあたたかい作品集。

  • 最後の話を読んでいたら、涙がこぼれました。
    私のなかにも、だれのなかにもある なくしたもの。

  • 幼い頃の思い出をたくさん思い出しました。ずいぶん、長いこと開けていなかった引き出しの中を見た気持ちになりました。大切にしなくちゃいけないものがたくさんあるなぁ。

  • 私のなくしたものたちに思いを馳せた。
    いい作品を読んだ後、それぞれにユニークな特別な読後感に浸れる。読み終わった後、たまらない気持ちになった。

  •  角田さんと松尾さんのコンビ、とっても合ってる!
     ミケのおはなしが一番スキかな。
     ゆきちゃんの喋り方がかわいい。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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