- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087455519
作品紹介・あらすじ
総力を結集して激突した南宋軍と金軍。岳飛は漢族の領土奪回に燃え、北進を続け、兀朮は南宋に進攻させた別働隊を活かし勝利を狙う。一方の梁山泊にも変化が訪れた。躍動の第五巻。(解説/諸田玲子)
感想・レビュー・書評
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南宋軍の岳飛と金国ウジュ二人の繰り広げる戦は、二国の対立、民のための戦、個人的な戦争の度の言葉も当て嵌まらない次元の戦いとなる。
一方、南の方でサトウキビから砂糖を作ろうとする秦容の陣営も仲間が増え、本格的な砂糖作りに向かっていくようです。
ラム酒も副産物として出来ているようです。
また、西の方では韓成が奥さんと子供とうまく行っていないようですが、重要な仕事に関わっていく気配を感じます。
岳飛伝5巻が久しぶりすぎて水滸伝や楊令伝が昔のことのように忘れてしまいそうです。
たまに、黒旋風や豹子頭の事を思い出さなくてはと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
5巻目だ。大水滸伝シリーズでは、今思い返せば5巻目でいつも重要人物が1人死に、物語が折り返した。いや、そうでないと19巻とか15巻とかいう大長編は作れないのかもしれない。「水滸伝」では楊志が死に、吹毛剣が楊令に渡った。「楊令伝」では方臘が死に、その時の心の傷は、なんとこの「岳飛伝」5巻に至ってやっと癒されようとしている。革命の伝承と革命の光と闇が、このシリーズのテーマなのだとしたら、智多星呉用の死亡は、いったい何を語るのだろうか。
「心に梁山泊がある者が、梁山泊を作る」
「わかったぞ。光は、己が発するものだ」
呉用は今際の際で、言葉を発した。忘れないようにしたい。
私が岳飛に抱いていた疑問は、宣凱も抱いていたようで、冒頭宣凱は単身戦争中の岳飛の陣中に入り、戦が終わればどうするのだと問い詰める。岳飛は「その先まで考える器量はない」と正直に告白する。よって「岳飛伝」の主人公は、未だ岳飛ではない。のである。
それでも戦は熾烈を極め、そして戦は終わる。
呼吸にして、ふたつ。どちらが動くのか。それも消え、
かすかな風の音が、静けさを際立たせるだけになった。
ウジュは、草の間に、白く小さなものを見た。それは動いていた。見え隠れしているが、やがて風の中に出てきた。蝶である。一匹だけの白い蝶が、かなり高くまで舞い上がり、そしてまた、草の中に降りてきた。
「開封府に帰還する」
低く、ウジュは言った。(221p)
終わるから始まる。次巻はどうなるのだろう。
2017年4月6日読了 -
南宋と金の総力戦が終了する
最終的には決着がつかず
講話交渉に入る。
梁山泊では秦容が甘薯糖の完成にこぎつける。
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圧倒的な死に様を見せて、また1人立ち上げメンバーが退場した。
いよいよ、新しい枠組みの模索が始まるのか! -
ついに呉用が死んだ。岳飛を救えとはどういうことなのだろう。史進もそろそろ…。
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呉用が死に、梁山泊が交易をする範囲はますます広がる。
南はメコン川の向こう、東は日本、西域はどんどん西へ広がり、多分この先「物理的な梁山泊から精神的な梁山泊へと、物語のありようが変わっていくのではないだろうか。
そして、岳飛と兀朮の戦いは緊迫の度を増す。
のだけれど。
もともと圧倒的な存在であった楊令に敵わなかった二人が、互角の戦力をもって拮抗していたところで、所詮二番手じゃんって気がぬぐえなくて盛り上がらない。
会話もなんだか禅問答みたいだし。
私が見たいのは、熱く心が震えるような物語なんだが。 -
結局、岳飛とウジュとの間に決着はつかず、南宋軍と金軍は講和する方向で調整することとなった。その後の各人の行方をそれぞれ追っていく。史実を知らないので、それぞれの話が歴史上のどういった意味・布石なのか感じ取ることができないが、今後の推移を見守りたい。個人的には秦容と韓セイの話が好き。後、呉用の死で、ますます史進の存在が切ないものに・・・水滸伝第1巻(2巻?)からの付き合いであった史進には思い入れがあるので、最期まで漢を貫いて欲しいと思うばかりです。