- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087457407
作品紹介・あらすじ
モネやピカソなど、美術にまつわる小説をはじめ、精力的に書籍を刊行する著者、その創作の源は旅にあった!? 世界各地を巡り、観る、食べる、買う。さあ、マハさんと一緒に取材(!?)の旅に出よう!
感想・レビュー・書評
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原田マハ『フーテンのマハ』集英社文庫。
初めて読む原田マハのエッセイ。前半は原田マハ流の旅が描かれ、後半はモダンアートに関する蘊蓄を交えながら、創作のための取材旅行の様子が描かれる。
自ら『フーテンのマハ』と名乗る原田マハ。創作の秘密は旅にあったのか。本作の冒頭に『まっさらな頭とすっぴんの心で』という表現があるが、『先入観を持たずに何でも素直に受け入れる心構え』と読み取れる。一見易しそうでいて、なかなか難しいことだと思うが、それが原田マハの傑作を産み出すための極意なのだろう。
『ぼよグル』と名付けたグルメ旅もなかなか面白い。牡蠣が好物とは……
本体価格540円(古本110円)
★★★★ -
マハさんの本を何冊か読んでから、すっかりマハ沼にはまってしまった私。はて、こんな面白い本を書くマハさんってどんな人なんだろう?と常々思ってたけど…私の想像を超えて、何倍も何十倍も面白い人だった!!
ぼよグルの旅の話からアートの話まで、ほんと幅広く語ってくれている。旅の計画の仕方が面白い。旅でやらかすマハさん笑える。そして、ところどころマハさんのイラストがあるのがなんかかわいい。
アートの話のところはやはり熱く真面目に?!語られてて。この本を読んだのが、マハさんのアート本を数冊読んだ後でよかった。緻密な過程があって、あの大作が出来上がったんだなあと感慨深し。
次は「旅屋おかえり」を読もうと決めたのですが、きっとこの本の話、マハさんのことと重ねたりして読むんだろうなあ。それもまた楽しみ。
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旅屋おかえりのようにマハさん自身も旅好きな方だったんですね。とても心地の良いエッセイでした。
特にぼよグルがいいなと思いました。何年経っても気ままに2人で日本全国旅をするってなんて素敵なんでしょう。そんな友達切実に欲しい。しかもテーマを決めてっていうのも楽しそう。
あとマハさんが小説を書き始めたきっかけとなる話や、美術に関する小説を書く時のことも知れたのも嬉しかった。また原田マハさんの小説たくさん読もーって思いました。人柄を好きになってしまった。 -
マハさんのエッセイは初めて読みました。
フーテンの寅さんから由来する「フーテンのマハ」を自称するマハさん。
人生で失くしたら途方に暮れるものは何か?
それは「旅」。
食や陶器、絵画、鉄道を求めて、日本中、世界中を飛びまわります。
やっぱり世界を駆け巡るようなお仕事をされていらっしゃる方なんだなあと思います。
高級食材を食べまわったり、お土産品をたくさん買い込んだり、私みたいな凡人にはため息がでそう。
ご本人はハイアンドローとおっしゃっていますが。
でも、決して嫌味なお金持ちぶりではありません。
とても清々しいかんじです。
そして、マハさんはいたって普通に人々の会話を聞いて、普通の人々の人間観察をされています。
そしてまた、世界中のアートーを友人と呼び、美術館を彼らの住む家と呼ぶマハさん。マハさんの作品に出てくる人物のモデルはマハさん自身でもあったのですね。
あとは、前世は餃子、とか。座敷童に会った話なんてマハさんの小説からは想像できないお話もありました。
各作品の創作秘話も(特に『ジヴェルニーの食卓』『たゆたえども沈まず』『暗幕のゲルニカ』)、ファンとしてはとても、嬉しかったです。
気楽に読める楽しいエッセイですが、紹介されている作品は読まれてから、読んだほうが、よりいっそう楽しめると思います。-
2019/06/26
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同じく各アート小説のファンです!まことさんの感想を読んでこのエッセイを知りました。ありがとうございます(^^)同じく各アート小説のファンです!まことさんの感想を読んでこのエッセイを知りました。ありがとうございます(^^)2020/03/01
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「男はつらいよ」の寅さんにちなんで"フーテン"を自認している著者の、日本のみならず世界中を飛び回る様子を記したエッセイ。国内の話は面白く読めたが、海外となるとなかなかイメージがわかず、頭に入らなかった。
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エッセイ集です。やはり巧みな描写で、作者の時々の心情がすんなり伝わってきます。
小説もマハさんは素敵だけど、エッセイも別の意味で面白い!
高知のまっちゃん、行こうと思ったけど、(文中では5時開店とあったのに)行ってみたら『今日は8時開店』と言われ、断念。代わりに近くにあったカオスな屋台で餃子食べたけど、なるほど、高知の餃子は旨い!日本一! -
旅好き著者のエッセイは、日本各地に海外、一人旅に友人と、
取材旅行も含めて、エピソードたっぷりの愉しさ満載!
エッセイ 32編+千鈴's EYE 3編。著者によるイラストも掲載。
移動フェチなハマさんのフーテンの旅エッセイです。
旅仲間の御八屋千鈴さんとの楽しいぼよよんグルメ旅に、
夫や友人、編集者たちを巻き込んだエピソード満載の旅。
何でこんなの買っちゃった?な旅あるあるに、思わず肯く。
旅する人生のきっかけをもたらしてくれた友の事や、
進路を決定したモノの話も良かったです。
だが、読み進めていくにつれて気づくのは、旅の体験が創作に
結びついていること。旅先での吸収力、半端ないです!
ヒトへの観察力、ヒトとの出会い、風景やモノの記憶・・・。
緩い旅だって、取材の旅だって、創作の基が生まれてきます。
特に後半の、アーティストの原風景の追体験への探究は、
アート小説家たるマハさんの真摯な想いが溢れているように
感じました。ゴッホに添った旅の真摯な心情の深いこと。
長年の追っかけとなるピカソの故郷での、広場の鳩。
そして最後のフーテンの父への、フーテンの娘の回顧には、
うるっとしました。人生は旅だねぇ・・・いってらっしゃい。 -
無類の旅好き、そして盟友(千鈴氏)とのご当地グルメ旅(「ぼよよんグルメ」)を恒例行事としている著者が、旅の作法や旅のおもしろエピソードを綴ったエッセー。
著者の人となりや作品の誕生秘話などが伺い知れて、楽しかった。著者のイラストも楽しめた。また、謎が2つ解けてスッキリした。
沖縄に縁のない著者に、沖縄が舞台の作品が多いのは何故か? それは、ライターとしてたまたま沖縄在住の女性起業家を取材する仕事を受けたから(「風のマジム」)。そして、沖縄訪問時、勧められるまま気ままに足を延ばした伊是名島でダイビングショップオーナーとその飼い犬カフーに出会った(「カフーを待ちわびて」)。なるほど。
アート関係の仕事が長い著者が恋愛小説でデビューしたのは何故か? 「なぜならば、いってみれば、アートは私にとっての最強の切り札。これをテーマにして小説を書けば、絶対に自分にしか書けない個性的なもの、おもしろい物語を書く自信があったからだ」という。切り札は満を持して出したかった、切り札なしで通用するかどうかまずは試したかったのだと。なるほど。
そのアートものの中でも、「暗幕のゲルニカ」は特別の作品なのだとか。何しろピカソの作品との出会いが著者をアートの道へ進ませ、「いつかはピカソをなんとかしたい」とずっと思い続けてきたのだとか。この著者の思いを知ってから作品読めばよかったかな?
著者が、作品の随所に実体験を盛り込んでいることも分かった。
森美術館設立準備室で課長職を務めていた著者。四十歳手前で「人生でほんとうにやりたいことは何か?」考え抜いてすっぱり退職したってこれ、「キネマの神様」の主人公の設定そのものだな。
「楽園のカンヴァス」取材でパリに滞在した著者。初めて「夜ルーブル」を訪れて我を忘れ、気がつくとギャラリーのドアが次々閉められていき、追い立てられるように誰もいない館内から最後に脱出した体験、「美しき愚かもの立飲みタブロー」で田代のルーブル初体験シーンとして使われてたな。
著者と盟友(千鈴)との二人旅を小説にしたのが「バグとナガラ」なのだとか。この作品も読まなくちゃな。 -
小説家歴より長いフーテン歴。美味しいものを求め、イケメンとの出会いに心踊らせ、アートに想いを馳せながら世界中を大移動。そして、小説家の始まりは旅で出会った幸せでした。軽快なマハさん節を堪能し、私も旅に出たくなりました。