怪談のテープ起こし (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087458305

感想・レビュー・書評

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  • 著者の三津田氏が聞いた話という体裁で書かれた怪奇短編。加えて序章・幕間・終章にて担当編集者の異変を描き、現実に障りがあるような恐怖を描く、念の入れよう。実話なのかどうかはさして重要ではないけど、怪異が解明する、あるいは解消されることはほとんどないのが実話っぽさを増していると思った。『新耳袋』に載っていそうな話といえばいいのか。

    【収録作品】
    「死人のテープ起こし」
    ライターの吉柳が集めたという自殺者が最後に残した肉声テープを文書に起こしてもらう三津田氏。三つのサンプルに単なる死の実況ではなく不可解なものを感じる……
    文書の内容もかなり不気味なんだけど、それより三津田氏に吉柳を紹介した作家島村奈津さんの名に驚いた。『フィレンツエ連続殺人』は読んだことがある。実在の作家出してくるのはズルいよなぁ(笑)
    「留守番の夜」
    大学のOGらしき女性に紹介された留守番のアルバイトで恐ろしい体験をする女子大生の話。
    最後まで読むと一応の真相はわかるようになってるけど、ただ理由や夫妻の謎、伯母の存在など解明されてないことばかりで厭な読後感である(褒め言葉)。
    「集まった四人」
    共通の知人岳に呼ばれてハイキングをすることになった初対面の四人が遭遇する怪異。
    と言っても怪異を感じているのは語り手の勝也のみで、ほかの三人は普通に山登りをしてきただけになっている。これも一本足の足跡も各々に残された卵石のことも何も解明されない。
    「屍と寝るな」
    中学の同級生Kから聞いた話。Kの入院している母の隣のベッドの老人が呟く話を整理すると少年時代の出来事だった。
    これはかなり不気味で好みの話だった。少し似た話を澤村伊智も書いてた気がする(澤村さんが三津田氏を好きらしいから影響を与えたのかも)。彼の頭の中で永遠に繰り返されているのだとしたらこれほど恐ろしい話はないだろうな。
    「黄雨女」
    女性占い師の語る元カレの不気味な体験。全身黄色い雨具に身を包んだ女性「黄雨女」につきまとわれたサトルはついに……
    これも気持ち悪い。黄雨女の由来も実在すらもはっきりしたとはわからないまま。都市伝説に近いものがあるかも。
    「すれちがうもの」
    毎朝通勤途中ですれ違う顔馴染みの人々。その中に黒い影を見つけた夕菜はそれが日に日にこちらへ近づいて来ていることに気づき……
    これも不気味。なかなか対抗手段を取らなかったことを本人も悔いているけど、現実にはどうしたらいいかわからないよね。そして黒い影はいったい何だったんだろう。

    全ての話がすっきりしない終わりかたではあるので、そういうのが苦手な人には楽しめないかもしれない。

    • 本ぶらさん
      個人的にはこの人って、当たりハズレが大きいイメージがあるんですけど、これは面白そうかな?
      タイトル忘れちゃったんですけど、お雛さまの表紙の...
      個人的にはこの人って、当たりハズレが大きいイメージがあるんですけど、これは面白そうかな?
      タイトル忘れちゃったんですけど、お雛さまの表紙のヤツ、あれなんかも、思わずゾワっとしたのもあれば、いかにもこの作家らしくオバケの世界に寄りすぎちゃったのもあるって感じで、イマイチ続かないんですよねー。

      学生時代に山に行ってこともあって、「集まった四人」はすごく読んでみたいです。
      「黄雨女」っていうのはともかく、「雨女」っていう名称はあちこちで聞きますよね。
      知り合いの親父さんも出遭ったそれを「雨女」って呼んでいたし(ちなみに典型的なタクシー怪談)。
      自分の住んでいる近くの町の公園にも「雨女」と呼ばれるモノが出るというウワサがあります。

      あ、そう、全然関係ないですけど、清野とおる(「北区赤羽」の人。壇蜜の旦那と言った方がわかりやすいのか)の「東京怪奇酒」面白かったですよ。
      出るって聞いたところに行って酒を呑むというアホな話なんですけど、他愛ないといっちゃーそれまでなんだけど、1話目と2話目は何気にヤバい話じゃなんじゃない?って思いました。
      2024/05/03
    • ゆきやままさん
      本ぶらさん
      私は三津田さんの本、これが初めてなんでわかりませんが、結構楽しめました。何にも解明されなくてモヤモヤはするんですけど怪異じたい...
      本ぶらさん
      私は三津田さんの本、これが初めてなんでわかりませんが、結構楽しめました。何にも解明されなくてモヤモヤはするんですけど怪異じたいが怖いというか。
      「集まった四人」は全く知らない人同士でハイキングするという私だったら絶対やらない(笑)話です。本ぶらさんは山に行くのが好きなんですか。私は山だったら海ですね(^_^;)山登りできる体力もない。
      「黄雨女」は一番わけがわからなくて怖かったかも。上から下まで黄色い雨具の中年女って、べつに幽霊とかじゃなくても怖くありません?(^_^;)
      清野とおるは息子が好きで「おこだわり」の漫画なら読んだことあります。壇蜜と結婚したのにはびっくりしました( ゚д゚)
      2024/05/04
  • 最高に良いホラーに出会ってしまった気がする。きっと後で思い出して後悔するんだろうな、と分かってるのに止められない。日常に潜む怪異を綴った短編集ですが、仕掛けも多々あり最後まで気が抜けません。

  • デジタルではなく、テープってところがいいよねー。
    怖い話が無性に読みたくなって買った作品。
    でも、これは本で読むより、映像で観る方が良さそう。実写化してないのかな?

  • 初めての三津田作品。各話で完結しているものの序章、幕間、終章によって1冊のホラー作品になっている。フィクションなのか実話なのかどちらとも捉えられる書き筋でラスト1行にぞっとした。なかなか面白い、もしかしたら起こりうるかもなホラー。

  • 作者が集めてきた怪談のテープ起こしという体で書かれる一話完結の連作小説。

    実際に作者が聞いたものをテープ起こししたと思わせる書き方が現実と創作の境界線をあやふやにするような恐怖感があった。

    個人的には「集まった四人」「屍と寝るな」が好きな雰囲気だった。
    怪異の発生した理由があやふやなまま終わるのは如何なものかという問いかけとミステリなら許されないがホラーだからこそ許される、という答えが印象に残った。
    水という共通点はどちらかといえば確かに無理やりな気もしたけど。

  • 図書館。ホラーが読みたくなったので。
    最後の一節、やめて〜!と願うばかりだった。こんなに読者全員に共通して身近にあるものもないのに、それを怖がらせるの、さすがとしか言いようがない。
    ひとつひとつのお話も、リアルで気味が悪くて、とても怖かった。この時期に読むにうってつけだった。

  • 初読みの作家さんでしたが最初の表題作から一気に引き込まれました。
    現実と虚構のどちらとも取れるメタホラーで、個人的に好みにピンズドでした。
    説明出来なくて意味不明な得体の知れない怪異って最高

  • ホラー短編集
    連作短編ではないのだけれど、お話の合間々々で作者・編集者の物語が進んでいってそれがクライマックスに……といった感じ

    ホラーと一言でくくっても内容は様々
    こんなのからあんなのまで、多種多様なホラーで楽しませてもらいました

    なんでこんな目にあうんだ!?という肝心な部分の詳細をあえて省いて書いたような怪奇現象の数々が、想像の余地を残しているようだったり、人間の理解の及ばない理不尽な恐怖を感じさせるようだったりで、なんとも三津田さんっぽいわーと思わせられる読後感

    文庫化にあたって『終章』に加筆されているのもお得でいいですね
    「メタっぽい雰囲気があれば、それだけで加筆の意味はあるから」(P.320)
    文中でわざわざ言及してるのがまた面白い

  • 死人のテープ起こし
    留守番の夜
    集まった四人
    屍と寝るな
    黄雨女
    すれちがうもの

    メタ好きにはたまらないメタホラー

  • 作者が作品内に登場する怪奇短編集。また、この短編集が本になって出版されるまでの過程も描かれている。裏話的なエピソードが載せられていることによって、この話が本当にあった出来事なのか、それとも完全な創作なのかが分からなくなり、更に恐怖を倍増させる。最後まで怪異の謎が解けないので、読後にモヤモヤが残り、とても怖くなった。

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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