あのこは貴族 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.98
  • (334)
  • (545)
  • (280)
  • (34)
  • (4)
本棚登録 : 6484
感想 : 501
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087458756

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大好きな小説。色々と本を読んでいるけれど、トップスリーには入るくらい何度も読み返した。
    松濤生まれの女性と、新潟の漁港から慶應に上京した女性がひとりの男性を通じて人生が関わっていくお話。映画はあまりこの小説が持っている独特の雰囲気がかき消されているような...ぜひ小説で読んでほしい名作です。

  • 山内マリコさんの作品を初めて読みました。とても読みやすいです。
    共感の嵐で、一気に読んでしまいました。初めはドロドロな展開に?っと思ったら、話の方向は全く違って、むしろ読み終わったときには、気持ちがすっきりします!!
    東京で暮らそうと、田舎で暮らそうと、根本的に本人がどう考えてこうどうするか、生きるかが問題なんだと思いました。自己肯定感は自分であげることも下げることもできるんだと学びました。
    山内さんの作品をまた読みたいです。

  • 階級、出自、性質の異なる者同士が、女の義理を果たすところは感動した!
    女の恋愛や結婚に対するプライオリティの高さ。
    その根源となる部分を覗き見してる様な感覚で面白かった。

  • 読んでいて胸が痛くなるのを感じ、きっとこの小説は私の中で大切な作品になるだろう、と思った。

    どちらかと言うと、私は美紀の立場に近い。何もない田舎から、猛勉強の末、東京に出て、苦労している。美紀ほど振り切れず、地道にお嬢さまたちと関わり合いながら、疲弊して、それでも憧れていた東京に縋り付く。

    でも、結婚や恋愛を優先にするあまり、空回りするところは華子にも通ずる。

    華子や幸一郎の家族は、男性として、女性として、典型的な生き方を押し付ける。でも、それは今を生きる彼女たちには通用しなかった。
    だからこそ、他人や環境に依存するのではなく、テンプレートに乗っ取るのではなく、自分が生きがいを感じるよう、思うがままに生きていればいいのだ、と気づいた。

    結局のところ、この世界で女性が生きるのは難しい。どんな場所でも、どんな階級でも。

  • まだ見てないけど、映画が高評価なのを聞いて興味持ちました。小説は期待以上。
    美紀が言うように女性は分断されるのが現実かもしれないけど、逸子が思うみたいに理想だとしても粘り強く連帯を大事にしたい。シスターフッド万歳。

  • 映画を観て、答え合わせ的に読んだ。
    最後、幸一郎にとって、美紀はどんなふうに見えていたのかが明かされて、これを美紀が聞いたら、とじんわり感動した。この部分は、映画にはないカタルシスだ。

    美紀は陰ながら劣等感と闘って背伸びして、なんとか乗り切ってきた苦しい時期があったのを私たちは知っている。けれど、結果、生き残り、自分を活かした活動をしているし、周りからも認められているようだ。ほんとうによかったなぁ。
     
    華子は、自分の足で立って歩き出し、世界が広がった。彼女と一緒になって、ようやく呼吸が出来た気がした。

    冒頭では華子が、ラストでは美紀がタクシーに乗るシーンで締め括られる。映画にはなかった対照的なシーン。対照的ではあるけど、時の流れを思い出してみると、冒頭では2人とも生き方に迷っていて、ラストでは生きやすさを掴み始めている。
    清々しい終わり方だった。

    映画の配役そのままをイメージしながら読めたのも楽しかった。

  • 山内マリコさん作品は、はじめましてだったんだけど、読み始めてすぐに「あ、わたしこの人の本すきだ」と思った。けっして軽いわけじゃないのにぐんぐんと読める、まさにページをめくる手が止まらない。こんな感覚は久しぶりだった。美紀のことばがとにかく刺さったし、何より互いを故意に傷つけ合わなくても、人と人とが関わり合うことで時には傷つきながらも成長していくっていう山内さんの人柄が伺えるようなストーリーがなんともよかった。あとがきで、山内さんは今の普通の中の普遍を描いているって書かれていたのも納得できたし、読了後にやっぱりこの人の表現が好きだなって思った。

  • 上京組という点では美紀に共感できるし、浮世離れした華子の保守的なところには少し共感できた。
    自分のテリトリーに居心地の良さを感じるのか、それとも他の世界を知って自力で抜け出すのか。どちらが正しいのではなく、自分次第なのだろう。

  • 『代々東京に住んでいないものは人に非ず』という華子側の世界の話を読んで数年前に炎上した酒井景都さんの対談を思い出しちゃった。
    (そいえば酒井さんも慶應だったわ…)

    すごく面白かったので年末年始に映画も見るぞ

  • 異動して都内勤務になったら、華子みたいな人に会う機会はグッと増えた。お兄さんの事をお兄ちゃまと呼ぶ人、たっかいジュエリーをポンと買う人、そういう世界って本当にあるんだなーって思った。だからとても興味深く読んだ。

    そして自分が今いる世界のことを改めて考えるきっかけになった。
    とてもわかりやすく、田舎も都会も一緒と教えてくれる。
    あぁ、身につまされるなぁ…

    華子は凄いと思う。どうせズルズル行っちゃうんでしょ?と思っていたもの。
    読後感の良いお話でした

全501件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

山内マリコ(やまうち・まりこ):1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。主な著書に、『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』などがある。『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』『山内マリコの美術館はひとりで行く派展』『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』など、エッセイも多く執筆。

「2024年 『結婚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山内マリコの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
辻村 深月
恩田 陸
森見 登美彦
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×