オリンピア―ナチスの森で (集英社文庫)

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著者 : 沢木耕太郎
  • 集英社 (2007年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (388ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087461909

オリンピア―ナチスの森で (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 題から想像してたのと違って、ベルリンオリンピックに出場した(主に日本人の)選手たちのバックストーリーがメインだった。スポーツにあまり興味がないため、競技の描写にあまり興奮やロマンを覚えることもなかったが、民族主義の時代において、人々がどれだけ“われわれ”が優れているかを示すために熱狂し、選手がどれだけのものを背負って参加していたかと言うことが、ひしひしと感じられた。レニの、不当な中傷に対する憤り、それを抱えながら老いてなお衰えないバイタリティに感嘆した。そして沢木さんの対象との距離の取り方はやっぱり好き。

  • ナチス政権下のベルリンで行われたオリンピックを出場した日本選手のエピソードとその記録映画を撮影したレニ・リーフェンシュタールのインタビューで綴る。
    単に観戦者としては分からない、選手の悲壮感や競技の臨場感が伝わり、現代とは異質の時代の盛り上がりが感じられた。

  • 冒頭はベルリンオリンピックの記録映画、「民族の祭典」と「美の祭典」を撮ったレニ・リーフェンシュタールのインタビューから始まります。そこでタイトルからオリンピックとナチズムについてずっと書かれているのかと思いきや、その後は日本選手団の勝者、敗者の記述がメインに。ほとんど予備知識のなかったベルリン五輪ですが、プレッシャーで自滅する者、土壇場でも力を出し切って結果をだす者、メンタル面で結果が左右されるのは現代の五輪でも同じ。なかなか興味深く読めます。

  • [巫女の誘うベルリン、1936]ヒトラー率いるナチスの下で開催された1936年のベルリン・オリンピック。その記録映像で世界的な名監督として祭り上げられ、戦後はその作品の故にナチスに加担したとして世の中から疎まれ続けた「巫女」、レニ・リーフェンシュタール。五輪の映像として史上最高とされている彼女の『オリンピア』を縦糸に、その大会にまつわる数々のエピソードを記した作品です。著者は、日本のノンフィクションといえばこの人、沢木耕太郎。


    やはり沢木氏、人生の「峰」と「谷」を切り取るのが抜群に上手い。本作においても、レニ・リーフェンシュタールの、ベルリン・オリンピックに参加した日本選手たちの、さらには彼女を世界に押し上げたヒトラーの人生のトップとボトムを見事に、自然に対比させながら鮮やかにオリンピアの明暗を浮かび上がらせています。ベルリンのその後を描き、氷の宮殿と題された第八章を読んでいるときには、冗談ではなく人生の奇異さと時代のわがままさに戦慄すら覚えました。


    沢木氏の作品で好感が持てるのは、世の中の評価をいったん棚に上げ、それとは違うベクトルから対象物を覗き込み、誰も気づかなかった側面を眼前につきつけてくるところ。例えば、レニに対して「あなたは(ヒトラー)に魅かれていませんでしたか」と切り込み、それを発端としてレニのヒトラーに対する本音の一端をつかみとっていくところなどは、沢木氏の真贋を見抜く能力が研ぎすまされていることを示す証左なのではないでしょうか(そして、私はそういう人間に憧れと畏怖の念を覚えます)。

    〜『オリンピア』は、レニの用いた言葉を使うとすれば、ベルリン・オリンピックの「デュープ」などではなく、「ブロマイド」だった。しかも、極上の「ブロマイド」……。〜

    歴史に乗り、同時に翻弄された人生がここにありました☆5つ

  • 1936年に行われたベルリンオリンピックの映画と日本人選手の活躍を描いたノンフィクション。
    オリンピック映画を撮影したレニ・リーフェンシュタールへのインタビューと映画を基に、日本人の活躍と当時のオリンピック熱を描く。
    オリンピックになると、日本中が大騒ぎになっていたのは今も昔も同じだったようです。日の丸を背負って、ベルリン大会に出場した選手には大きな期待が掛けられ、栄光を掴み取った選手もいれば、力及ばず敗退した選手もいました。勝った選手、負けた選手それぞれの生い立ちから、出場までの経緯、競技の内容、オリンピックのエピソードやその後の人生など、緻密に取材されていて大変面白かった。
    レニ・リーフェンシュタールへのインタビューでは、映画を撮影する至った経緯や、撮影中の様子、ヒトラーとの関係、映画がもたらした影響など、これまで語られて来なかった内容が含まれている。
    オリンピックのドキュメンタリー映画も、実は創作(再現)部分があり、当事者に演技してもらった映像が含まれていたというのは意外だった。確かに撮影機材が進歩していなかった当時は、気象条件や日没などの不確定要素が影響し、少ない機材で一回限りの競技を確実に撮影するのは難しかったのだろう。当時の映画関係者の苦労も理解できる。
    また、当時の日本でのラジオ放送は、時差の関係で生中継できず、録音技術も無かったことから、100m走の中継はアナウンサーが見たことを、さも生で見ているかのように実況する放送だったらしい。たかだか10秒で終わる競技が、架空の実況だと30秒も掛かってしまうようなおかしな放送になったというエピソードは面白かった。陸上に限らず、水泳などでも同じような事が起きていたらしい。著者によるこのオリンピック映画の謎解きがテーマのひとつだが、それよりもベルリンオリンピックに関わった人達の、さまざまな人生ストーリーや失敗談のほうが面白かった。

  • 資料番号:111110961
    請求記号:780.6/サ

  • レニ・リーフェンシュタールの「民族の祭典」と「美の祭典」の二部作、通称「オリンピア」を主軸に、日本人と当時日本人とされた参加者達を描く1936年のベルリンとその後。

  • ヒトラー政権下で開かれたベルリンオリンピックについて書かれたノンフィクション。この本のタイトルは、2003年に101歳で亡くなったレニ・リーフェンシュタールが監督した「オリンピア」という記録映画と同じです。

    そのレニがいかにして時代の荒波に飲まれていったか、参加した日本人選手は、どんな思いをいただいていたのか、特殊な環境で開かれたオリンピックの様子がひしひしと伝わってきます。

    沢木耕太郎は、ボクシングをはじめとしたスポーツもののノンフィクションが多いのですが、その中でも一番よいものといっても過言ではありません。ただのスポーツもので終わっていないのが、この作品のすばらしいところです。ぜひ一読を。

  • 1936年のベルリンオリンピックと、それを映画という形にして世に送り出した天才レニ リーフェンシュタールを題材としたドキュメンタリー作品。
    ナチスドイツの威信をかけて開催されたこのオリンピックについて、各国がスポーツの世界でも『陸 海』の覇権争いをしていく様子、当時の通信事情や交通事情といった舞台裏、選手の民族としての誇り、激動の時代を生き抜いたレニの人生。。色々な要素が目一杯詰め込まれていてとても深い。一言では語り尽くせない。

    オリンピックイヤーにこの本に出会えてよかったと思う。

  • おそらく、この本を手に取った全読者は「ベルリンオリンピック」の記憶や思い入れは皆無であろう。

    戦前の・・しかもドイツでのオリンピックの話なので、それは無理もないことなのかもしれない。

    本書はオリンピック記録映画を芸術の域にまで高めた「レニ・リーフェンシュタール」の生きたインタビューからはじまり、出場選手(おもに日本人)たちの生い立ち、動機などバックグラウンドから、手に汗握る試合状況まで、非常に卓抜した構成で成り立っています。

    そのため読者は、記録としてではなく「生きた記憶」として「ベルリンオリンピック」の再燃を、その手で実感することができるという素晴らしい良書です。

    スポーツドキュメントは個人的に好きではないけど、できる限り当時の様子を、過多な装飾を極力おさえつつ、調べられるだけの事実を忠実に再現しながら文章として提示できる沢木耕太郎には尊敬しちゃいますね。

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オリンピア―ナチスの森で (集英社文庫)の作品紹介

1936年8月、ナチス政権下のベルリンで第11回オリンピックが開催された。ヒトラーが開会を宣言し、ナチスがその威信を賭けて演出した。その大会を撮影し、記録映画の傑作『オリンピア』二部作を生み出した天才レニ・リーフェンシュタール。著者は彼女にインタビューを試みる…。運命の大会に参加した日本選手団をはじめとする多くのアスリートたちの人生をたどる長編ノンフィクションの傑作。

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