ニュートンの林檎 下 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087470581

作品紹介・あらすじ

1990年、秋。僕はその夏ヴェネツィアで再会した佐伯元子からの連絡を待っていた。元子の心には、愛する男を惨殺した者への復讐の炎が燃えていた。復讐計画を実行に移すべく帰国した元子とともに、僕は九州の小都市へと出発する。新たな冒険譚がはじまった…。そして世紀末。宇宙的な円運動の中で、ひとつの愛が終息する。しかし引き合う魂の彷徨は終わらない。2005年、僕は-。長大なスケールの完結篇。

感想・レビュー・書評

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  • 『ニュートンの林檎』とはなんであろうか。ニュートンが発見した万有引力の法則の象徴的なシーンとして林檎が採り上げられている。

    奔放な自由人、佐伯元子とその佐伯元子に振り回される、あるいは離れることができない「僕」の物語。振り回された人生なのか、それこそが宿命なのか。はたまた輪廻転生の転生なのか。

    ふりまわされつつも、巻き込まれつつも、結局は自信が踏み込み、噛みこんでいく。スタート地点では一方向であったものが、人生を重ねるにつれ、双方向の引力を意識することになる。
    また、元子の祖父や元子の息子といった、関係ファクタが展開毎に増えていくことで、まさに万有引力を実感することになる。

    万有引力はそれ自体に存在するものだが、人のつながりには意思も大きく作用している、その意思には引力が強く作用しているといったぐるぐる回っていく転生感が最後にくるのかなと。

  • 上巻はあまり感情移入できず、特に最初のほうで迷子になったが、後半からどんどん面白くなり一気に読み、下巻に期待した。
    いざ下巻を読んでみて、初めて全部がまとまり実はとても良い作品であったと思う。また10年後に読み返したらどんな感想になるだろうか。

    実はとてもコンプリートな小説で、哲学、心理、宗教、死後の世界、人間の在り方や生きている意味など、色々なことがごちゃごちゃで一見複雑。しかし、物語には一貫性があり、全部のそれらが、個の死の前には重要性を持たないどうでもいいことでもあり、なんかとても奥が深いと感じた。
    一人一人の感想が年齢、性別、生まれ育った環境、経験などあらゆる要素によって、全然違ってくる作品である。

  • 上下巻を一気に引き込まれるように読んだ。
    独特の世界観で、元子の周りの人物はなかなか現実にいないタイプの人間だが、みんなそれぞれ弾けるようなエネルギーで物語として面白かった。
    色んな面がある小説で読む時々により感じ方が変わると思う。
    こちらも読むのにエネルギーを使ったが、マラソンの後のような達成感があった。

  • 下巻にいたって、通俗性はいっそう増していくようだ。主人公達が物語の中で年齢を重ねていくことにもよるのだが、第1部にはあった瑞々しさは残念ながらここにはない。カテゴリーも文学に入れようか、エンターテインメントにしようか迷うところ。

  • 2011/7/21

  • 登場人物が都合よく増えるあたりが、なんだかなぁ・・・
    最後に唐突に出てきて何?

    上巻は進むのが遅くてダレるが、下巻は同じことの繰り返しで飽きる
    円運動がどうとかこうとか言っているが、自業自得なのでは?と思うところもあり

    長い割りに面白くない

  • 何というべきか・・・。徹夜で読んだせいで、今頭がぼやけているが・・・。
    読後感を正直に述べると、暗く、どんよりしている。この話の登場人物たちは、僕の視点からすると頭がおかしい。僕も変な奴だって言われてきたのではあるが。そういう点で、自分の立場を知る手がかりになるかもしれないが。

    とりあえず、”元子”を中心とする人々の世界観は、僕に言わせれば”妄想”に過ぎない。任意の仮説の中から選び出したに過ぎない。でも、案外いわゆる”普通の人”の感覚はこれに近いのかなぁ。現代の高校生の5割がオカルトを信じてるっていう調査もあるそうだし。・・・でも、もしそうなら、それは頭が悪すぎる。

    それにしても、感覚的な認知ってどこまで確かなものなのか?
    本質を、真実を、僕もやはり極めようとしてきた。しかし、それは、本質的に可能ではないだろう。

    それにしても、この本を読んで思ったことは、僕は、早く、[※1]を心の中から払拭するすることが必要だということだ。

    [中略※2]

    変な本だったけど、一気に読めた。それに、何か、全く違う見方に気付けた。それはそれで、いいことだろう。



    [※1][※2]
    衆目にさらすことのできない内容なので、自主規制。
    この頃、なにか心境の変化があったらしい。

  • 1990年、秋。僕はその夏ヴェネツィアで再会した佐伯元子からの連絡を待っていた。元子の心には、愛する男を惨殺した者への復讐の炎が燃えていた。復讐計画を実行に移すべく帰国した元子とともに、僕は九州の小都市へと出発する。新たな冒険譚がはじまった…。そして世紀末。宇宙的な円運動の中で、ひとつの愛が終息する。しかし引き合う魂の彷徨は終わらない。2005年、僕は―。長大なスケールの完結篇

  • 王国て

  • 元子せつなすぎます。

    ひとが死にすぎます笑

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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