改訂新版 四季・波留子 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472479

作品紹介・あらすじ

小峰家の長女波留子は、子供を置いたまま離婚し、実家に戻った。末の妹布由子の自殺未遂がきっかけとなり、担当の沢木医師と愛がめばえ、波留子は揺れ惑いながら、いままで気づかなかった自分の内奥をのぞいて-。四人姉妹の長女を中心にして描く、魂の大冒険ロマン、第二章。

感想・レビュー・書評

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  • ボスホラスには行ったことがない
    ボスホラスのことは 君 きいてくれるな
    でも、ぼくは海を見たんだ、君の目に
    碧の火の燃える海なのだ

    ボスポラス海峡へ行ってみたいな

  • 波留子については 説明しすぎな感じがある。
    行動の中で表現しなければならないが
    五木寛之が 波留子のイメージを 作りすぎている。

    不感症だった波留子が 感じるようになる。
    沢木という医者が 好感が持てるけどね。

    長女 おとなしくて 古風で 着物が似合う。
    そのなかに したたかに 
    エロティックな オンナが隠されている’。

    波留子 奈津子 亜紀子 布由子・・・4人姉妹。
    奈津子の大胆さ。
    そして ラリーさんのこと。
    達夫が 青年のような中年。

  • 2012/05/21完讀

    「心の奥に潜む もう一人のの私へ」

    大膽的行動派,奈津子。內向的布由子。理性好學的亞紀子。
    至於大姊波留子ー
    「妹の奈津子や布由子などと違って、子供のときからいつも、ごく普通の平凡な娘に見られてきた。
    自分でもそんなふうに思っている。
    しかし、ひょっとしたら、布由子よりも、奈津子よりも、なにか自分のほうがもっと不思議な、変わった性格の人間かもしれない。
    波留子は最近になって、そのことをときどきふっと感じることがあった。
    布由子にも、奈津子にも、それぞれ自分の生き方に対する信念のようなものがあることを感じる。
    それは言葉にならない感性のようなもので、彼女たちは本能的にその感受性のモラルにしたがって生きているのだ。
    だが、自分は違う。
    歯止めがなくなってしまえば、まったくどこまででも滑り落ちっていってしまいそうな、そんな不安を波留子は感じていた。
    道徳とか、倫理とか、そんなふうなものをまったく必要としていない人間。
    表向きは社会の秩序にしたがっているようでいて、実な心の中には際限のない虛無を隠しているような人間。
    自分がどこかそんな人間に近いものを持っているのではないか、という感じを波留子はおぼえることがある。」

    大姊波留子從小就是個賢淑的乖寶寶,很「控えめ」,很平凡,很古風,看起來就是將來會嫁個好人家終其一生的人。但她自從和夫家離婚回到小峰家,感覺到自己內心有些變化。她開始覺得有些空虛不實際,有些不滿,有些想叛逆,她發現另外一個自己。乍似溫柔的優等生,心裡卻有很強硬的部分(澤木醫生說就像鋼琴的琴弦)。和澤木醫生感情上有了進展,但她決定還是要自立。

    本卷亞紀子因為反政府入獄,奈津子去了美國並且認識一個老富豪,富豪病重但想和她結婚。布由子的病情好像穩定下來便辦理出院,達夫帶他們姊妹去夏威夷順便練習開車。布由子後來回醫院當義工。

    --
    這一本的心理也寫得相當細膩,諸如剛從美國回來的奈津子不尋常的態度,配上她這段獨白,寫得很好:

    「わたし、とても緊張して生きてたのよ。アメリカって、そういうところなのよ。一人一人の人間が、みんなきっちりした自分と言うものを持っている世界だわ。子供だってそうよ。老人だってそうよ。金持ちも、貧乏人も、病人も、犯罪者も、みんなそれぞれの自己主張を持って生きている。そんな社会なのね。だから、わたし、アメリカへきてからしばらくのあいだは、ずっと人と接するたびに圧倒させるような感じを受けてばかりいたわ。自我というものをみんなが持っている社会って、とても大変なのね。そこで生きてゆくためには、こちらも強烈な自我を持たざるを得ないですもの、そんなことでノイローゼになりかけたこともあったけど、最近はどうやらそんな周囲に物怖じせずに向かい合うことができるようになってきたのね。日本にいたときは、自分のとこをずいぶん気の強い女の子だと思ってたわ。でも、そんなことぜんぜんなかったの。私は弱虫で、決断力がなくて、他人と対立したりすることが大の苦手の日本人の娘だったんだわ。本当に、とてもたよりない、弱い人間だったのね。それでも、がんばって、なんとかやってきたわ。だから、とても緊張してるの。いま、こうして達夫くんや、波留子ねえさんや、布由ちゃんや、まるで警戒心も競争意識ももたずにすむあなたたちと再会して、じつは一度にどっとその疲れがあふれ出そうなのよ。そして、そんなんふうに甘えて、やさしい心にもどってしまったら、もう再びあの硬い、強い社会へもどっていくのが辛くなりそうで、こわいの。ね。私の感じてること、わかるでしょう。」

    關於布由子:

    「危険なのはうつ状態が強く出ているときじゃありません。むしろ状態がしだいに好転して一見とてもいいように見え始めたとき、そのうつから躁への変わり目のあたりが本当に怖いんです。」
    「なにか体の奥の深いところで、ザワザワとちいさな何千匹かのカニが動き始めているみたいな、そんな感じがするの。とても落ち着かない気持ちよ。予兆っていうのかしら、低気圧が少し近づいてくるような、そんな感覚。」
    「奈津子ねえさんは、とてもいきいきして、自由だわ。わたしの生命力はみんなねえさんのほうへいってしまって、わたしはしおれた花みたい。奈津子姉さんは好きなように生きて、私はは枯れてゆくんだわ。そういう運命なのよ。」

    讀到奈津子和波留子,不知何時讓我開始反思。波留子離婚是離婚了,看起來很嚴重,但實際上也沒有什麼大不了。反而,她認識了另外一個自己。讓我開始想,是否感情的始與終,都不需要看得那麼沈重,不需要一次就達到100分?藉由感情去受傷、去感受、去成長,或許是更重要的,就算只是一個小插曲。

    布由子這段話也令人感慨良深:

    「いろんな人たちがわたしのことを心配してくれるのよね。でも、私が本当に元気で生きていくためには、みんなと別れた方がいいと思うのの。一人になって、じっと自分を見つめながら、だれにも頼らずに生きていくつもりになれば、きっとこんなに落ち込まれなくってもすむんじゃないかしら。まだまだ身近な人たちに甘える気持ちがあるから、暗くなるんだと思うわ。」

    或許因為有依靠,所以反倒堅強不起來。說不定人就是這樣吧。

    --

    「人はみんな泣きながら生まれてくる」(リア王)

    「家族と言うのは、肉親のきずなで結ばれているだけではなく、むしろ心の通いあった他人、といった関係のほうがうまくいくんじゃないでしょうか。」
    「ひょっとすると病院よりも私たちが住んでいるこの社会のほうが狂ってるんじゃないかと思ったりすることがあるわ。」
    「こうして紙の上にペンをはしらせているとき、そのときだけがなぜか自分の心をくっきりと見えるような気がします。」

  • さらっと飛ばし読み。

  • 波留子の人生って理想的ですよね。離婚しても求愛してくれる人がいたり、金銭的に不自由していなかったり。

  • 奈津子が発展途上のチャレンジャーなのに対し、波留子は正しく季節の変わり目、夏に向かって再起って感じ。それは「生きているだけで価値がある」という悟ったような文句からもよくわかる。

  • 四人姉妹がそれぞれ主人公になっている四季シリーズの2作目。内容はあまり記憶にないけれど、作中に出てくる詩がとても印象的だった。
    「ボスヘラスへは行ったことがない/ 
    ボスヘラスのことは きみ きいてくれるな/
    でも僕は海を見たんだ 君の目に/
    碧の火の燃える海なのだ」

  • 77年初版で90年代前半までの連載モノなのに、そうと感じさせない現代らしい女性達。
    生きていく、その困難さを認め、更に人生を手中に納めようとする挑戦的な意志がよかった。

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著者プロフィール

1932年、福岡県生まれ。作家。生後まもなく朝鮮半島に渡り幼少期を送る。戦後、北朝鮮平壌より引き揚げる。52年に上京し、早稲田大学文学部ロシア文学科入学。57年中退後、編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞、2010年『親鸞』で毎日出版文化賞特別賞受賞。ほかの代表作に『風の王国』『大河の一滴』『蓮如』『百寺巡礼』『生きるヒント』『折れない言葉』などがある。2022年より日本藝術院会員。

「2023年 『新・地図のない旅 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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