円地文子の源氏物語 巻2 (集英社文庫 特 8-2 わたしの古典)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087484335

作品紹介・あらすじ

「源氏物語」は、光源氏の物語と言っていい。理想の男性光源氏が栄華の絶頂にあった華麗な壮年時代、40歳を過ぎて、その晩年の深い内面的苦悩は…。藤壼の宮の御前で行われた、絵合せを描く「絵合」の巻から、光源氏の死を暗示する「雲隠」の巻までを収録。「源氏物語」の現代語訳に尽きせぬ情熱と心血を注いだ、著者の魂がいま、新たに息づく。

感想・レビュー・書評

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  • 「絵合」から「幻」
    光源氏の栄華から終焉まで。
    「玉鬘」から「真木柱」が玉鬘十帖と呼ばれています。十帖の、「初音・胡蝶」は春を、「蛍・常夏」で夏を、「篝火・野分」では、秋を、「行幸」は冬と、四季が織り込まれて描かれます。六条の源氏邸自体も四季を意識されています。この日本的な感性が、絵画や着物に長くモチーフとされているのかと思います。
    「紫の上系」「玉鬘系」という分類の根拠は幾つかあり、それを知ってから読んでみても、ストーリーの収まりが良くて、全く忘れて読んでしまいました。
    円地さんは、3部構成説でまとめられてますので、三巻は、光源氏の子孫の恋愛模様になります。
    与謝野晶子さんは、2部構成です。光源氏の栄華とそれ以降の陰りに分けられるようです。

  • 第2巻は、「絵合」から「幻」まで、栄華の絶頂を迎えた源氏と、その愛を一身に受ける紫上が、女三の宮の降嫁と柏木の密通という運命に翻弄される晩年の物語が収録しています。

    第1巻同様、親しみやすい文章で『源氏物語』のアウトラインを理解することができる内容になっています。

  • 2019/4/20 読了

  • 秋好中宮の入内から源氏が亡くなるまでの話。
    どうしても「あさきゆめみし」と比べてしまうが、玉鬘が髭黒大将に強引に結婚させられた後、漫画では玉鬘も納得したような描写が印象的だったのだが、こちらの本ではなんの描写もなく、おそらく原作もなかったんだろうなと感じた。もっとも当時の結婚なんて意に沿わぬものであっても受け入れなくてはならなかったんだろうが。
    また、夕霧が不器用に女二の宮に言い寄って、家庭がゴタゴタした話も全部カット。たしかに、本筋から外れるものね。
    その大胆な編集が効を奏し、すんなりと源氏出家と最期へと繋がっていく。

  • 分かりやすい文章で物語の世界に

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著者プロフィール

円地文子

一九〇五(明治三十八)年東京生まれ。小説家、劇作家。国語学者・上田万年の次女。日本女子大附属高等女学校中退。豊かな古典の教養をもとに女性の執念や業を描いた。主な作品に『女坂』(野間文芸賞)、自伝的三部作『朱を奪うもの』『傷ある翼』『虹と修羅』(谷崎潤一郎賞)、『なまみこ物語』(女流文学賞)、『遊魂』(日本文学大賞)など。また『源氏物語』の現代語訳でも知られる。八五(昭和六十)年文化勲章受章。八六年没。

「2022年 『食卓のない家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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