69 sixty nine (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087496284

感想・レビュー・書評

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  • 村上龍の高校時代を基にした、底抜けに明るい小説。

    1969年、東京大学は入試を中止した。ビートルズのメロディーが流れ、ローリング・ストーンズも最高のシングルを発表し、ヒッピーが愛と平和を訴えていた。
    僕・矢崎剣介(17)は九州の西の端の、基地の町・佐世保の高校三年生。
    退屈な日常にうんざりしながらも、僕は山田正(アダマ)や岩瀬といった仲間たちと、何かが変わるかもしれないという期待を抱いていた。
    その佐世保北高がバリケード封鎖された。やったのは…もちろん、僕とその仲間たち。
    無垢だけど、爆発しそうなエネルギーでいっぱいの、明るくキケンな青春小説。

    青春にありがちな自意識の煩悶や鬱屈は見られず、女子にモテたいという下心でひたすらバリ封やフェスティバルの開催へと突っ走る!
    革命家の言葉を標榜しながらも、そこには「思想」などという大それたものはなく、ただレディ・ジェーンこと松井和子という女の子を振り向かせたいという不純なエネルギーがあるのみ。
    けれどもそのエネルギーは凄まじく、仲間たちからその周囲へと波及し、フェスティバルの開催へとつながっていく。
    あの頃の高校生たちへ、そして今をひた走る高校生たちへ、著者が贈る前向きな物語。

  • かく生きたいものだ

  • 村上龍のスタンド・バイ・ミーであるという言葉が一番しっくりくるかも。村上龍が一番輝いて、一番エネルギッシュだった1969年。この時。
    三島由紀夫の東大全共闘の映画を観たので、あのころの学生運動のリアリティのようなものが伝わってきてすごい面白かった。

  • カミュは間違っていると思った。
    人生は不条理ではない。
    バラ色だ。

  • 著者である村上龍の自伝的青春小説。
    内容はあらすじに任せて、
    この作品の舞台は1969年の長崎県佐世保市。
    九州の全土が同じ方言なのかはわかりませんが、
    関東とはだいぶ違う方言のため、時々?って感じで
    読み返してしまうことしばしば、それでも勢いのある内容のため、
    面白くスラスラ読み進められます。

    著者である、村上龍の高校3年生の出来事を
    インパクト十分に描いているため、
    好きな人もいれば苦手な人もいるでしょう。
    そのために評価が二分してるのかと思われますが、
    自分としては時代背景も加味したうえで、
    って、1970年前後を描いた作品を先に
    何作品か読んでいたのもあって、良作だと感じました。
    って、何上から目線で言っているのやら(笑)
    ちなみに、2022年3月29日の時点では、映画は観ていません。

  • R3.9.30 読了。

     青春小説。面白かった。時代は1969年。
    佐世保の高校生達と長崎の方言、そして最後に仲間や高校の恩師のその後まで書かれてたので良かった。

    ・「楽しんで生きないのは、罪なことだ。」
    ・「楽しく生きるためにはエネルギーがいる。戦いである。わたしはその戦いを今も続けている。」

  • ユーモアしかない

  • 1990年9月25日 第1刷 再読
    昭和のおしゃれな青春。ただ、この面白さは、令和の高校生にはわからないかも。林真理子さんの解説も素敵でした。

  • タイトルからもある程度明らかだったが、1ページ目の導入部分から表現があまりにも刺激的で、全体的にもかなり明るい類の青春小説だった。また小説内の出来事が著者の体験にも基づいているというのは自分の高校時代と比べてなんて刺激的だったのだろうと感じた。この1969年という時代はもちろん体感していないが熱い時代というイメージを持っていた。しかしこの小説を読んで自分が生きる現在の首都圏と空間的にも時代的にも異なる地の話であるのは承知の上で、ここまでの熱量があったのかというのは凄さと一種の嫉妬心のようなものも覚えた。

  • うーむ、うーむ、うーむ、、、俺、、、村上龍、、、苦手なんかなあ、、、という事を、感じました。

    「コインロッカー・ベイビーズ」が、「何だか知らんけど、こりゃあスゲえ本だね。でもなんか、あんま、グッとはこなかったけど、すまんです」って感じの読了感だったのですが、

    この「69」は、うーむ。全体的にほぼ完全に「うーん、、、ピンと来ない、、、」の連続。あかんかった。平たく言うと、俺には合わんかった、、、無理やった、、、という作品?

    村上龍さん、ごめんなさい。世間的には、おそらく、フツーに名作の部類として評価されているであろうこの「69」と「コインロッカー・ベイビーズ」が、あかんかった、ということは、僕は、村上龍の小説は、ニガテなんだろうなあ、と。そうなんだろうなあ、と、なんだか、思いました。

    まあ、エエ小説だと、思うんですよ。愉快痛快青春もの、という感じだと思うんですが、村上龍の高校時代の、ほぼ自伝?みたいな作品なんでしょうね。明るいし。カッコつけてる感じも正しく青春正しき若さ、それでいてちょっとキマり切らないズッコケ感もあり、俺達やり切ったぜ感あり、登場人物みんなが年齢重ねて言った後の後日談的切なさ月日の流れのホロ苦さ若かりし頃の俺らに乾杯的な余裕感もあり。

    おお?ええ作品やないですか。どう考えても。って感じなのですが、、、すまん。俺には、合わんかったんや、、、という。

    まあ、なんで合わんかったか、というと、うむ。平たく言うと、主人公のケン(矢崎剣介)が、羨ましかったんでしょうね。単純に、嫉妬、だと思います。

    「俺、お前みたいな青春時代、全く送ってねえよ。羨ましいじゃねえか。楽しい感じの学園生活してさあ、可愛い女の子となんかエエ感じになってさあ。はあ。羨ましいねえ。リア充ってヤツですかね。ええ、羨ましいです。俺にはそんなん、なかったっす。ええなあ。ああ、羨ましいですよあなたが」

    ってことだけ?だとねえ、思うんだよなあ。ってことは、村上龍が羨ましい、ってことか。そらもう、天下の村上龍だもの。逆立ちしたって勝てっこねえよなあ、、、うう。ウラヤマ。

    ってこと、だとね、思いました。モテない自分が、モテてカッコいい誰かを嫉妬してるだけ、みたいな。そんな作品?なんだなあ~。「羨ましい!俺もああなりたい!面白い!」という方向に、ベクトル向かなかった作品。なんか、青春屈折してて欲しかった、みたいな思いを感じた作品、でしょうかね。

    登場人物の中では、岩瀬、が、好きでしたねえ。岩瀬の抜群のサブキャラ感。目立つキャラのケンと友人で、なんだか俺もちょっとグッドな男なんちゃうの?って思えていたのに、ケンはアダマ(山田正)とどんどん仲良くなってきて、俺(岩瀬)はドンドン端っこに追いやられていってる感あるぞ?やっぱ俺は小者や、、、メインストリームど真ん中にいることはできない存在なんや、、、みたいな事を岩瀬がガッツーン認識する、そんな心情吐露する場面、ありましたよね?あれ?あったよなあ?なかったら、すみません。

    そんな気持ちの流れになる岩瀬が、なんだかとっても好きでした。「ああ、俺、お前の気持ち、バリ分かる」って思って。だから僕は、岩瀬が、好きです。岩瀬、って名字が、中日ドラゴンズのレジェンド、最高のクローザー、岩瀬仁紀選手を思い出すところも、なんか好き。全然関係ねえじゃん。

    映画の方は、まだ未見なのですが、小説の方は全然肌にあわんかったですが、映画の方は、勝手ながら、絶対に好きになる気が、してます。

    李 相日監督でしょ?脚本はクドカンでしょ?主演は若かりし妻夫木君でしょ?どう考えても好きになる要素しかないやんか、って思う。ですので、いつの日か、映画版、観てみたいなあ~。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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