切り裂きジャック・百年の孤独 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087497373

感想・レビュー・書評

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  • 切り裂きジャックの真相を100年後に明かす
    というようなコンセプトのミステリー。さすが御大、面白かった。
    現代の舞台は切り裂きジャック事件の100年後の西ベルリン。被害者は娼婦、腹を切り裂く手口はまさに切り裂きジャック。
    元祖切り裂きジャックの事件も簡潔に記され、西ベルリンの事件と絡めて解説、解決する流れはお見事だった。
    クリーン氏って笑。
    それはともかく、島田御大の考えた切り裂きジャックの正体には、なるほどそれも一理あるか?と思えた。

  • 島田荘司氏の御手洗シリーズでも吉敷シリーズでもないノン・シリーズである本書はなんと大胆にも島田荘司氏の切り裂きジャック事件真相論である。
    2002年にもパトリシア・コーンウェルが巨額の金を使って作家生命を賭けて真相を精力的に暴く活動を行っているこのあまりに有名な事件はやはりミステリ作家にしてみれば一度は手掛けたいテーマなのだろうか。
    本編においてもその是非は別にして実に島田氏らしい魅力的な解決を繰り広げてくれている。しかもそれがあの島田氏特有の物語風に語るのだから実に面白い。
    これが実に巧い!!これ一つだけでも本にして纏めても売れるぐらいに面白い。
    御手洗シリーズにおいても遡れば古くは『異邦の騎士』における手記から始まり、『水晶のピラミッド』の古代エジプト譚、『アトポス』の吸血鬼エリザベートの物語といった非常に残酷かつ一種の絶望感・喪失感を抱かせる物語を書かせたらホント島田氏の右に出る者はいない。
    昨今の作品ではそういった挿話が非常に面白く、事件そのものが実はさほどでもないといった主客転倒した感が連続しているが、本編は正にその兆候を示したような作品で、特に探偵役のクリーン・ミステリなる人物の造詣ぶり、ネーミングの情けなさには閉口した。
    ホームズのパロディがまたもや繰り返され、なんともまあ、同感できかねる人物なのだ。従って採点の内訳を云うと(切り裂きジャック譚5ツ星)+(ベルリン事件譚△2ツ星)=3ツ星といった具合だ。ある意味これが島田氏らしいといえば島田氏らしいのだ。

  • 切り裂きジャックを題材に採った作品は数多くあり、それぞれなりに犯人像を推測しているが、この作品は「なるほど、そういう解釈もありうるな」と納得できる筋道を示してくれている。
    ミステリーが好きならば、ジャックザリッパーと聞いて胸躍らぬ人はいないのではないかと思うが、この事件はずっと謎に包まれたまま、いつまでも私たちの目の前で解決されることなく浮かんでいるのかもしれない。

  • 面白かった。
    ただ、残念ながらしびれるような緊張感はなく、あっさり読み終わりました。
    でも、解決するシーンでは読みごたえもありましたし、内容的には説得力もありよかったと思います。

  • 切り裂きジャック事件から100年後のベルリンで、かの事件とそっくりな娼婦連続殺人事件が発生する。
    多少の強引さを感じなくはないけど、ふたつの切り裂きジャック事件を一気に解決する手際はお見事。こんな解釈もあるんだなと面白かった。
    本家の切り裂きジャック事件の詳細まで解説されていて、一作で二度美味しい感じ。

  • 初めて島田荘司さんの本を読みました。と、言うのも先日ドラマを見たから。昔からミステリィのランキングや評価等で占星術殺人事件の名前を何度も目にしていたのですが、どんな感じなんだろうか?と思うだけで素通りしてたんです。さて、感想ですが、面白かったです。スイスイ読める文章の柔らかさ。切り裂きジャックの話も楽しめましたし。これを機に御手洗シリーズも読んで見ようかな。と思います。あ、作中の探偵?のクリーンミステリィって御手洗さんの事なんですね!

  • ミステリ好きなら知らぬ者はない、”切り裂きジャック”を島田氏が料理するとこうなる、という本。切り裂きジャック事件より100年後、ベルリンで起きた類似した事件と絡め、交互に舞台を変えて、最終的に両方の謎を解く形で終わります。なんだかんだで一気読みしました。

  • 今まで無知だった、切り裂きジャックについても知れたので良かったです。

  • 史実を絡めた島田荘司作品は、今まで知らなかった事件でも興味を持ってしまうくらい面白く読ませてくれるから好きです。この作品でもおぼろげにしか知らなかった切り裂きジャックの事件に俄然興味が沸きました。
    切り裂きジャック事件犯人の考察も面白いと思いました。これと同じような犯人像の考察を以前何かのテレビ番組でやっていたような気がする。この作品を元にしてたのだろうか。それとも犯人が○○○というのは割とよくある考察なのかな。どちらにしろあれだけのことをやって事件が迷宮入りしたというのは恐ろしくもあり惹き付けられる謎でもあります。
    クリーン・ミステリ氏があの人なのは一目瞭然。クリーンってそういうことかぁとちょっと笑ってしまった。旅行にでも来てたんですかね。

  • 面白くて、とても満足して、これをきっかけに島田荘司を読むようになったんだけど、ずいぶん昔のことだから、話の内容はほとんど覚えてない。残念。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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