アドリア海の復讐 上 (集英社文庫 ウ 7-3 ジュール・ヴェルヌ・コレクション)

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087602197

作品紹介・あらすじ

1867年、オーストリア帝国の支配下、祖国ハンガリーの独立をめざしひそかに活動していたサンドルフ伯爵は、裏切り者の密告により、財産を奪われ、同志ザトマール伯爵、バートリ教授とともに牢獄につながれた。雷鳴とどろく夜、脱獄を決行するも失敗、同志ふたりは殺され、自らも追い詰められて海の藻屑と消えた-。15年後、地中海をまたにかけた復讐劇は幕を開く…。"巌窟王"を凌ぐ傑作、登場。

感想・レビュー・書評

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  • 初心がもたらした、どこかピュアな復讐劇


     J・ヴェルヌ著作を大量に日本の読者に紹介してくれる集英社文庫! ポピュラーな名作からあまり知られていない作品までそろっていて、ヴェルヌファンにはありがたい限りです♪ 『アドリア海の復讐』は、一般にはややマイナーなほうに属するかもしれません。

     ひそかに私財を投げ打ってまで、祖国の独立活動に燃えていた愛国者・サンドルフ伯爵(どうでもいいけど、なぜか美味しそうな名前だなと思ってしまう……★)。しかし、熱い友情で結ばれていた同志たちは命を落とし、追いつめられた伯爵もまた海へと身を投げたのでした。
     それから15年という歳月が流れた頃、地中海沿岸に、国境にとらわれず医療活動を行うスーパードクター・○ン○キ○ト登場! その正体とは、そう、復讐のために戻ってきたあの男ーー★

     愛国だ、謀略だ、革命だ、復讐だ! 何かと熱いものが流れる小説で、グイグイ引きこまれます。上巻で、嵐の夜に脱獄を試みる描写がすこぶる印象的です。一方、復讐物に付き物の暗さが足りない印象も。どうやら、厳しい獄中生活のくだりが省かれているらしいので、読後感に影響したかもしれません。
     ネチネチした復讐鬼(笑)を期待すると物足りないかもしれませんが、どこかピュアな冒険活劇の匂いがするのが好ましくもあります☆ それに、科学力満載の大きなお船が出てくると、この著者らしさを感じますね。

     本作は、作家ヴェルヌの原点を感じさせる、マイルストーン的作品★ アレクサンドル・大デュマの代表作『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』の翻案物! 遠い昔、子供向け名作シリーズで読んだっきりの巌窟王。2作を比較して語れるほど記憶が定かでないけれど……。
     ヴェルヌの作家デビューを強く後押しした存在がデュマでした。そして、ヴェルヌが著述業で十分な成功をおさめたのち著された『アドリア海~』は、デュマへのリスペクトに満ちている。やはりピュアでした☆

  • ジュール・ヴェルヌが友人のアレクサルドル・デュマへ捧げた作品。デュマの傑作「モンテ・クリスト伯」へのオマージュという感じだが、ヴェルヌなりの冒険風味が加わって、デュマの作品とはまた違った、わくわく楽しめる作品になっている。ヴェルヌの海や科学についての細かな描写もこのまた楽しみの一つ。

  • 青春アドベンチャーで聞いていたのが懐かしくなって。嫉妬と保身のために無実の罪を着せられ投獄。そしてそこから這い上がり、自分を裏切った人に復讐する話。婚約者までさりげなく復讐をするあたり主人公はちょっと心が狭いなwとか思ってしまった。

  • 王道とも言えるかもしれない、なんとなくこうだろうと予測はつきつつも、そのプロセスをなかなか明かさない物語の展開で読み進めるのが早かった。王道かもしれないといのは徐々に予想していない要素が追加されて先がどうなるのか全く分からなくなったから。今はとにかく全ての今の状況に至るまでのプロセスの答えと復讐はどこに落ち着くのかが気になるので、はやく下巻を読みたい。

  • 2016.9.1(木)¥235(-2割引き)+税。
    2016.10.25(月)。

  • ストーリーを早く進めようとして、雑なところが目についてしまう。

  • 2010/1/17購入

  • ヴェルヌ版、「モンテ・クリスト伯(巌窟王)」です。
    これも、集英社のジュール・ヴェルヌ・コレクションの一つ。

    冒頭に小デュマに宛てた手紙が紹介されてまして、そこに
    「この作品で、わたしはマーチャーシュ・サンドルフを
     <驚異の旅>叢書における モンテ・クリストたらしめようと試みた」
    と、書かれています。大デュマを尊敬してたんですね。

    作品は全部で第五部。そのうちの、一部、二部が上巻には収録されています。

    <あらすじ・第一部>
    1867年、イリリア地方の中心都市トリエステにて、三人のハンガリー人が
    独立を取り戻すために陰謀を企てる。その三人の首謀者とはつまり、
    エチューヌ・バートリ教授、ラディシュラシュ・ザトマール伯爵、
    そして主人公のマーチャーシュ・サンドルフ伯爵だった。

    続き→http://hihidx.blog115.fc2.com/blog-entry-364.html

  • 神秘の島も海底2万マイルも大好き。ジュール・ベルヌは中学生の頃の愛読書でした。アドリア海の復讐は大人になってから手に入れました。文句無しです。

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著者プロフィール

Jules Verne, 1828 - 1905.
フランスの小説家。
『海底二万海里』『月世界旅行』『八十日間世界一周』
『神秘の島』『十五少年漂流記』など、
冒険小説、SF小説で知られ、SFの父とも呼ばれる。

「2016年 『名を捨てた家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジュール・ヴェルヌの作品

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