- Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087603699
感想・レビュー・書評
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20年以上前だったと思うが、池澤夏樹さんが書評で激賞していた記憶がある。いつか読んでみようと忘れずにいたんだから、我ながら呆れる。
プールサイドで友人を待つうちに見かけた初老の女性の仕草。そこからアニュスと名付けた女性、そしてその夫、妹、娘たちの物語が始まる。つけられた名前は記号にしか過ぎず、神の目線を感じるばかりなのが、やがて血肉を伴ってくるような印象。著者や友人アヴェナリウスが邂逅する場面などドキリとする。
小説の前半はゲーテと、彼に付き纏い死後の名声を望む女性ベッティーナとの話にかなりのページが割かれる。批評のようであり、ゴッシップのようであるのは著者らしいと云えるのか。
後半に唐突な死が物語れるのもこの人らしい。消えゆくような死こそ、その人の望みだったかとは思うが、何が主題なのか判らなくなった。
永遠にして女性なるもの、と終盤に語られるものが主題だったかというと違うような気もする。
面白い処がそこここにあったんだけど、長すぎたというのが、本音。
池澤さんが褒めていた本と云えば、ロレンス・ダレルの「アレキサンドリア四重奏」。これもいつかは読もねば。 -
「生きること、生きることには何の幸福もない。しかし、存在すること、存在することは幸福である/人生において耐えられないのは、存在することではなく、自分の自我であることなのだ」ポールとアニェスの関係をゲーテとベッティーナとの対位法的に描きながら次第に既存の物語の手法から逸脱させていく本作だが、それは歴史の非合理さと合わせ鏡となることで不条理な生を浮かび上がらせている。絶望はしても決してその感情には醉わない―そんな場所から書かれた言葉は自分が自分であることの困難さを抱えた者たちにとても深く、重く突き刺さるのだ。
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<偶然見かけた女性からイメージされた“アニェス”。彼女とそれに関わる者たちの哀しい人生。>
著:ミラン・クンデラ
すっかりハマッテしまい、次のクンデラ本として手を出したのが今作。
でも全然理解できませんでした 汗
一つ一つの話はわかるのですが、
イマイチそれがストーリーの軸において、どう意味を持つものなのかよくわからず・・・
まあ、まだ未熟だったということでしょう。
でもイマゴローグとか、センチメンタリスについての考察は興味深かったし、
ゲーテとヘミングウェイがあの世で自分達の“不滅”を嘆きあっているのには笑ってしまった。
いずれ、もう一度挑戦してみます。 -
学生の頃に一回読んでるはずの本。そのときは、これが小説なんだ、と新鮮な驚きを感じたのを読み返しながら思い出した。学生時代はクンデラやマルケスや色々読んでいて、小説って色々あるんだなあ、と驚いていたと思う。
最近になり、仕事や勉強の本ばかり読んでいてもよくないような、もっというと精神的な休憩が必要な気がし始め、小説を読み返したりしている。いいもんだね。自分の土壌に肥やしと水が注がれるようで。 -
うまくいえないですが、この人の小説に、シンクロする瞬間があります。それがなんとも心地よくて読んでしまう。文化も歴史も違う国の人なのに、それを感じつつも同化する瞬間。いろんなシーンが交差しながら、最後はしゅっとさりげなくまとまるあたり、心地よく読みました。
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面白く読めた。ゲーテが気になり、訳注で年表が作りたくなる。
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「存在の耐えられない軽さ」には劣る。
姉と妹の関係をわかっていない。