不滅 (集英社文庫)

  • 集英社
3.97
  • (63)
  • (46)
  • (55)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 816
感想 : 41
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087603699

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • [ 内容 ]
    パリ。
    プールサイドに寝そべっていた「私=作者」は、見知らぬ女性の、軽やかにひるがえる手の仕草を見て、異様なほど感動し、彼女をアニェスと名づけた…。
    こうして生まれた「女」の、悲哀とノスタルジアに充ちた人生が、時空を超えて、文豪ゲーテと恋人の「不滅」を巡る愛の闘いの物語と響きあう。
    詩・小説論、文明批判、哲学的省察、伝記的記述など異質のテクストが混交する中を、時空をゆきかい、軽やかに駆け抜けていくポリフォニック(多声的)な、壮大な愛の変奏曲。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 20年以上前だったと思うが、池澤夏樹さんが書評で激賞していた記憶がある。いつか読んでみようと忘れずにいたんだから、我ながら呆れる。

    プールサイドで友人を待つうちに見かけた初老の女性の仕草。そこからアニュスと名付けた女性、そしてその夫、妹、娘たちの物語が始まる。つけられた名前は記号にしか過ぎず、神の目線を感じるばかりなのが、やがて血肉を伴ってくるような印象。著者や友人アヴェナリウスが邂逅する場面などドキリとする。
    小説の前半はゲーテと、彼に付き纏い死後の名声を望む女性ベッティーナとの話にかなりのページが割かれる。批評のようであり、ゴッシップのようであるのは著者らしいと云えるのか。
    後半に唐突な死が物語れるのもこの人らしい。消えゆくような死こそ、その人の望みだったかとは思うが、何が主題なのか判らなくなった。

    永遠にして女性なるもの、と終盤に語られるものが主題だったかというと違うような気もする。
    面白い処がそこここにあったんだけど、長すぎたというのが、本音。

    池澤さんが褒めていた本と云えば、ロレンス・ダレルの「アレキサンドリア四重奏」。これもいつかは読もねば。

  • 「存在の耐えられない軽さ」に感動したので読みました。
    不思議な世界観や独特な文体は十分楽しむことが出来たのですが、テーマや一人ひとりの人物の魅力という点では「存在の~」のほうが好きでした。

  • 「生きること、生きることには何の幸福もない。しかし、存在すること、存在することは幸福である/人生において耐えられないのは、存在することではなく、自分の自我であることなのだ」ポールとアニェスの関係をゲーテとベッティーナとの対位法的に描きながら次第に既存の物語の手法から逸脱させていく本作だが、それは歴史の非合理さと合わせ鏡となることで不条理な生を浮かび上がらせている。絶望はしても決してその感情には醉わない―そんな場所から書かれた言葉は自分が自分であることの困難さを抱えた者たちにとても深く、重く突き刺さるのだ。

  • <偶然見かけた女性からイメージされた“アニェス”。彼女とそれに関わる者たちの哀しい人生。>

    著:ミラン・クンデラ

    すっかりハマッテしまい、次のクンデラ本として手を出したのが今作。
    でも全然理解できませんでした 汗

    一つ一つの話はわかるのですが、
    イマイチそれがストーリーの軸において、どう意味を持つものなのかよくわからず・・・
    まあ、まだ未熟だったということでしょう。

    でもイマゴローグとか、センチメンタリスについての考察は興味深かったし、
    ゲーテとヘミングウェイがあの世で自分達の“不滅”を嘆きあっているのには笑ってしまった。

    いずれ、もう一度挑戦してみます。

  • 学生の頃に一回読んでるはずの本。そのときは、これが小説なんだ、と新鮮な驚きを感じたのを読み返しながら思い出した。学生時代はクンデラやマルケスや色々読んでいて、小説って色々あるんだなあ、と驚いていたと思う。
    最近になり、仕事や勉強の本ばかり読んでいてもよくないような、もっというと精神的な休憩が必要な気がし始め、小説を読み返したりしている。いいもんだね。自分の土壌に肥やしと水が注がれるようで。

  • 【概要・粗筋】
    「私」がプールサイドで友人を待っているときに見かけた初老夫人の魅力的な仕草から生まれた主人公アニュス。彼女の愛と悲しみと戦いの人生を描く物語(粗筋を書けるほど理解できていない・・・)。


    【感想】
    非常に難解な小説。断片的に理解はできるものの、一読しただけでは大まかにも把握はできなかった。それでも、語りの巧妙さから600ページものの長さを感じないほどどんどん読み進めてしまうほど不思議な魅力を持っている。

    この小説の主要人物はアニュスを中心とするその家族たちなのだが、そこにゲーテやヘミングウェイ、実在の人物なのか架空の人物なのかわからないアヴェナリウス教授、ルーベンスというあだ名の男などが脈絡が不明なまま登場してくる。ところが、それらの登場人物の関わりが要所要所で明らかにされていくのだが、そこがまた面白くて感心してしまう。

    この作品は理知的小説なので、読む上で想像力よりも知性や理性を駆使しなければならない。一方で、第三部最後のシーン(P307~P308)のように鮮烈な印象を残すような場面もある。さすがだな、と思ってしまう。

  • うまくいえないですが、この人の小説に、シンクロする瞬間があります。それがなんとも心地よくて読んでしまう。文化も歴史も違う国の人なのに、それを感じつつも同化する瞬間。いろんなシーンが交差しながら、最後はしゅっとさりげなくまとまるあたり、心地よく読みました。

  • 面白く読めた。ゲーテが気になり、訳注で年表が作りたくなる。

  • 「存在の耐えられない軽さ」には劣る。

    姉と妹の関係をわかっていない。

全41件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1929年、チェコ生まれ。「プラハの春」以降、国内で発禁となり、75年フランスに亡命。主な著書に『冗談』『笑いと忘却の書』『不滅』他。

「2020年 『邂逅 クンデラ文学・芸術論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ミラン・クンデラの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×