ブラザーフッド (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087604610

作品紹介・あらすじ

1950年、初夏ソウル。ジンテ、ジンソクの兄弟は母と兄の婚約者ヨンシン、その弟妹たちと幸せに暮らしていた。しかし、突然の戦争勃発、家族は引き離され兄弟は招集された。弟を除隊されるため、ジンテは志願し危険な任務を遂行する。だが兄の不可解な行動を弟ジンソクは理解できない。勲章を手にし弟を除隊させるのも目前かと思われた時、弟と婚約者の身に思いもかけない運命が待ち受けていた。

感想・レビュー・書評

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  • 朝鮮戦争に巻き込まれた2人の兄弟の話。
    母子家庭に育ったテジンは死んだ父の悲願でもある弟のジンソクを大学に行かせるた
    め、靴磨きや修理の仕事で家計を助けていた。
    そんな中、朝鮮戦争の戦火がソウルにも及び、テジン一家とテジンの婚約者とその兄
    弟は南部へと逃れる。
    しかし、逃げる途中で強制的に弟ジンソクが徴兵され、兄テジンは弟を助けようとす
    るが一緒に徴兵されてしまう。
    戦地での戦闘は激しいものだったが、テジンは戦果をあげ、勲章を貰えば褒章として
    家族を除隊してもらえることを知り、弟を守りながら進んで先陣を切って戦闘に参加
    する。
    一方で自分のためとは言え、戦闘に進んで参加しどんどん戦争に狂っていく兄を見
    て、テジンは兄に嫌悪感をいだいていく。
    テジンは華々しい戦果を挙げついに勲章をもらい、弟の除隊を嘆願したが、同じころ
    テジンの婚約者がアカのレッテルを貼られ連行されてしまう。
    テジンの婚約者を救うためジンソクとテジンは乗り込むが婚約者は死亡してしまう。
    またジンソクは命からがら逃げることができたが、それを知らないテジンは国連側に
    ジンソクが殺されたと思い、共和国軍側に寝返って戦争に身をおく。
    ジンソクは兄が共和国軍にいることを知り会いに行き、ようやく兄弟は再会すること
    ができた。
    再会できたのも束の間、弟を逃がすために兄は再び共和国側に銃を向け、自分はその
    場に残って最後を迎える。

    お兄ちゃんは弟のためと尽くすけど、弟はそれを嫌がる。
    最終的に分かり合えたのだと思うが、それはほんの一瞬のことで兄は死んでしまう。
    すれ違う思いがとても痛々しい。。。戦争は恨みや復讐心をどんどん膨らませ、本当
    に残酷だ。

    あとがきに書いてあったが、この物語の一ヵ月後に3年に及ぶ戦争の停戦が決定した
    ものの、この戦争で兵士250万人が死傷し、民間人が100万人以上が犠牲になった。そ
    うち韓国軍兵士の死亡者は41万人、負傷者を加えると死傷者は84万人、共和国軍兵士
    の死傷者は90万人(とするが数字資料によってばらつきがあり、もっと少ないか
    も)。
    一方14年以上続いたベトナム戦争で戦死した南ベトナム軍の兵士は19万人だそうだ。
    戦死者と死傷者がごちゃ混ぜになった統計なので、一概には比較できないが、朝鮮戦
    争の壮絶さが伺える。
    ちなみにアメリカ空軍と海軍航空隊はそれぞれ80万回、25万回以上の空爆を行い、投
    下された爆弾の総重量は、第二次世界大戦で日本に投下された爆弾16万トンの3.7倍
    だそうな。

    現在も平和条約は結ばれておらず、緊張状態が続いている。

  • 北と南は一日も早く和解してほしいと心から願う。

  • 同名映画のノベライズ本です。原作ではないので内容は変わりませんが、文章になっていることで、ここは何処なのか、奴は誰なのか、よく分かります。写真も挿入されているので、イメージもしやすいと思います。あとがきもなかなか良かったです。

  • 映画を見て買った本。
    映画を基にして書いた本なので、原作とは別。なので、映画のほうが分かりやすくてよかったですよ。これを読むと、戦争反対って思う。朝鮮戦争をきっかけに南北の分裂、兄弟の別離、愛するものとの死別。戦時下において、絆が強まっているからこそ、余計に離れたくない。読者にも十分伝わるし、これは全世界中の人もそうだと思う。

  • 同名映画のノベライズ。韓国ブーム続きの昨今ですが、この映画は良かった。泣きました。韓国物なので漢字が多く、戦争物なので美しい描写などこれっぽっちも出て来ませんが、主演二人の写真がたくさん載っていて、メインの兄弟、特にウォンビン演じる弟ジンソクの心理描写が補われているし、歴史的背景も説明されているので、映画を見た方、見たい方にはお勧めです。

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