風の影 下 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087605099

作品紹介・あらすじ

謎の作家フリアン・カラックスの過去が明らかになるにつれて、ダニエルの身に危険が迫る。一方、彼は作家の生涯と自分の現在との不思議な照応に気づいていくのだが…。ガウディ、ミロ、ダリなど幾多の天才児たちを産んだカタルーニャの首都バルセロナの魂の奥深くを巡る冒険の行方には、思いがけない結末が待っている。文学と読書愛好家への熱いオマージュを捧げる本格ミステリーロマン。

感想・レビュー・書評

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  • 舞台は1945年のバルセロナ。
    ダニエルは父に連れられて「忘れられた本の墓場」に行き、一冊の本を選ぶ。
    フリアン・カラックス著「風の影」
    その作品に魅入られたダニエルは、謎の作者を調査することに。

    ロバード・ゴダードのようなミステリーを期待したんだが少々違う。歴史色はあまりない。

    少し冗長ではあるが、次第に明らかになりそうでならない謎と冒険にワクワク感はある。

    しかし……。

    なにか大きなスケールや奥深い謎を読まされてる気がしているが、はっきり言って下半身の物語。
    劣情と情欲と嫉妬の物語。
    どんだけ情熱的だか知らないが、問題の原因は常にそこ。
    「せめて避妊くらいしろよな」と、登場人物たちに言いたい。
    起きた悲劇は避妊で防げたはずだから。

    • 傍らに珈琲を。さん
      おぉ、土瓶さん!
      沢山のいいねを有難う御座います。

      お久しゅう。
      体調はどうですか?復活した?
      食べてる?寝てる?
      読書は意外と疲れるので...
      おぉ、土瓶さん!
      沢山のいいねを有難う御座います。

      お久しゅう。
      体調はどうですか?復活した?
      食べてる?寝てる?
      読書は意外と疲れるので、体力取り戻してからにしてくださいね。

      とは言え、気付きました?
      『鵼の碑』の帯に「次作予定 幽谷響の家」って文字が!!

      しょーもないコメントでご迷惑がかかっては…と、
      どなたもコメントされてない本書のコメ欄にお邪魔しました。
      (探すのにちょいと苦労した 笑)
      2023/09/25
    • 土瓶さん
      傍らに珈琲を。さん。お心遣い、痛み入りますm(__)m

      いや~、実はまだ買えていないんですよね「鵼の碑」。
      発売日の3日くらい前に風...
      傍らに珈琲を。さん。お心遣い、痛み入りますm(__)m

      いや~、実はまだ買えていないんですよね「鵼の碑」。
      発売日の3日くらい前に風邪(?)引いて、そこから今に至ります。
      アマゾンなり近所の店なりでも買えるんでしょうが、どうせ買うならあの店でと、心に決めたとこがあるので(笑)
      でもそこまで行ける体調にないというていたらく。
      嗚呼、情けなや……(:_;)

      も、もう! 次回作のタイトルまで帯に出てるんですかっ!!
      相変わらず難読漢字(笑)
      ああ、「やまびこ」って読むのか。
      次は17年も待たせないで欲しいですね。

      俺は今、しかたないので(?)ぼちぼちと「邪魅の雫」を再読しとります。
      復習ですね。

      いや、それにしても長くてキツい風邪(?)でした。
      まだ少しふらつきますが(笑)
      病院行ってコロナもインフルも陰性反応で、解熱剤もらって、熱が下がってかなり楽になったのですぐに元気になるだろうと安心したのですが、そこからが不思議に長かった。

      なぜかめまいと吐き気が全然止まらなくて、寝れない、食べれない、ふらふらする日々でした。
      「こんな風邪があるか~」ってツッコミ入れながら寝てるしかない状態で、ひょっとしてこれは世に言うツワリというものでは? とまで思いましたよ。
      まあ、よく考えたら自分オスなんでそれはないでしょうけど(笑)
      なによりめまいがひどくて、3行以上の文章が読めなくなったのが衝撃でした。
      本も読めなかったよ~(ノД`)シクシク

      傍らに珈琲を。さんもお体にお気をつけください。

      ありがとうね~(^O^)/
      2023/09/26
    • 傍らに珈琲を。さん
      そんな状態でしたか!
      それってさーコロナだったんじゃないの?
      ちょっと重症すぎるもの。
      最近流行ってるのコロナは吐き気もあるって聞きますし。...
      そんな状態でしたか!
      それってさーコロナだったんじゃないの?
      ちょっと重症すぎるもの。
      最近流行ってるのコロナは吐き気もあるって聞きますし。。。

      少しずつ読書出来るまでになって良かったですね。
      ただ体力消耗してるでしょうし、かといって急に食べられないでしょうし、気温差も激しいですし。
      ここはゆっくり構えて、焦らず少しずつ右肩上がりを目指しましょ。
      交流されたいでしょうけれど、ブクログも無理せず少しずつ。
      皆さんもきっと待っててくださるので大丈夫です♪
      2023/09/26
  • 「ママに秘密はなにもない。ママになら、なにを話してもいい」

    同じセリフが影のように付き纏う悲しみを連れて来ていたはずなのに、同じセリフが揺るぎない信頼と希望と愛情を連れて来る
    うわーなんか小説ってやっぱ凄い

    下巻はもう一気読み
    とんでもなく面白かった!!

    古典文学を思わせる文体はあえてゴシックホラー的な効果を狙ったものだったんですなきっと
    堅めの訳も最初は正直「下手くそか!」と失礼な感想を抱いてたんですが、読み終わってみれば作品の世界観に寄り添った秀逸な訳でした
    恐れ入りました
    そしてなんかごめんなさい

    "二人"の少年の愛と友情、冒険、そして成長の物語はびっくりの展開とすんばらしい結末の大傑作で誰かに薦めたくなる一冊でした

  • 今まで読んだミステリーの中で一番面白かったです。バルセロナという街の光と影の表現や人物の内面の美しさの表現にも心惹かれました。読み終わってもしばらく小説の世界に浸っていたくなりました。

  • 刑事の執着が強すぎて怖い。
    そんなに持続できるものかとちょっと引いてしまうほどしつこい。でも生い立ちや性格や思春期の思いなんかがいろいろ絡まって、固執する理由がどうこうよりも、ここまで来たら決着するまで終われないものなのかなとも思った。
    読後は長い冒険を終えたような、疲労感と充足感と余韻で少しぼーっとしてしまった。

  • いやあ、面白かった。下巻で次々解き明かされていく謎に驚愕しっぱなし。物語にグイグイ引き込まれた。まさか、フリアンとペネロペが…。そして一介の帽子屋の息子フリアンに目をかけた好色な大富豪リカルドの隠された意図、ペネロペの悲劇的な末路、フリアンの著書を入手しては焼き捨てる謎の男ライン・クーベルトの正体…。

    内戦の終結後も混乱の続くバルセロナの暗い世相の中、物語全体に恐怖を色濃く撒き散らす猟奇的殺人鬼フメロ、ほんとムカいた。

    とにもかくにも、最後がハッピーエンドでよかった!

  • 上巻は少々展開も遅く、中々登場人物も繋がらず読み進めるのに苦労したが、下巻は一気読みでした。

    物語自体は甘すぎるか気もするが、読後感が悪く無いのでまぁいいでしょう。四部作ということなので全部読んでみたい。が、長すぎるかな(^ ^)

  • 運命を変える特別な本。
    そうとは知らず少年ダニエルは手にした1冊から、純粋な好奇心で作者フリアン・カラックスの人生を辿り始める。初恋、友情、父への反抗…サイドに綴られる青くほろ苦いダニエルの物語も、フリアンの本を市場から消そうとしている不気味な男の出現により徐々に謎めく闇に覆われる。殺されていた作家、閉ざされた屋敷、忍び寄る影…フリアンの過去とダニエルの現在が交差する先に待つ結末とは。

    「忘れられた本の墓場」シリーズ第1作目。小説の舞台はスペイン内戦と共和国政府崩壊後にゆれるバルセロナ。当時の人々の混迷と対立による残酷な粛清…歴史に無知な私にも文面からその底知れぬ暗澹さが伝わってきてぞっとする。それでいてユーモア溢れる登場人物達が生き生きと描かれていて!暗く物悲しくも陽気なバルセロナの空気が何とも言えず魅力的。ちりばめられた比喩表現も絶妙。読み進めるごとに少年から青年へ危ういながら成長していくダニエルとシンクロし、彼と共に一喜一憂しながらフリアンをめぐる冒険に一気に読んでしまった。おもしろい!!

    電子書籍が普及する昨今、それでも図書館や本屋がなくならない理由。並ぶ紙の本にだけある魅力とは何か。ダニエルに語る父の言葉の中にその答えを見つけ思わず心打たれた。

  • あえてそうしている所もあるのだと思うけどヨーロッパの教養をベースにしていることを強く感じる古典的なヨーロッパらしい小説。ミステリー仕立てなところはあるけどミステリーというジャンルづけは少し違うのかなと思う。どちらかと言うとファンタジー的に感じた(ファンタジーではないけど)。途中から話がつながりだすとページターナーになったけど上巻半分くらいまでのストーリーに引き込まれるまでは少し時間がかかる印象はあった。スペイン内戦がバルセロナに与えた影響というのはよく分かってはいないけど、そこかしこに感じられる哀しみや恐怖がストーリーの通奏低音になっている。本、それも小説という形態はこの小説の中でメタ的に扱われてストーリーの根幹に関わりながらも今どき誰が小説なんて読むんだ?というような扱いもされていて、時代と小説に対する作者の冷めた見方も織り込まれている。そこもこの小説が単なるミステリーのようなジャンルで語るべきものでもないという印象につながるのだろう。

  • 古書店を営む父親に連れられていった「忘れられた本の墓場」で一冊の本に出合った少年が、その本に魅せられ、作家について調べるうちに、作家の人生をめぐるいろんな出来事に巻き込まれ…というお話。

    上巻は、このお話が、作家探しのミステリーなのか、主人公の少年の成長と連載の物語なのか、はたまたスペイン内戦時代のバルセロナの市井の人々の暮らしやダークサイドを生き生きと描く物語なのか…いったいどんな心構えで読み続けたらいいのかがつかめず、読むスピードが落ちて少し苦労しました。
    が、上巻ラストから下巻に入るや否や、急に物語の世界に引き込まれ、あっという間に読了。
    謎めいた本の作者の人生が明らかになるにつれて、主人公の少年の人生にも符合する出来事も見えてきて、大勢の登場人物たちの相関関係を理解しながら(小説中の)「今」と「過去」を行き来するのが、とてもスリリングで楽しい読書時間でした。内通や不条理な逮捕監禁なども横行していたらしい内戦時代の暗い影が時代背景として常にあるし、登場人物たちの人生がすべて幸せに満ちていたわけでもなく、むしろ大切な人への思いが叶わない悲しみの中で生きる人ばかりだし、内容はかなり辛いけれど。
    でも、こんなに辛い悲しい残酷な出来事満載なのに、あったかい気持ちで読み終えるなんて。不思議な本でした。

    この本は、もう一度読みたい。いろんな出来事の裏側を知った状態で、もう一度、主人公の少年や周囲の人々の行動を追ってみたい。2度目は全然違う新しい体験ができそうな気がします。

    いつものごとく、どうやってこの本にたどり着いたんだか全く覚えていないけれど…この本に出会えてよかった。

  • 父に<忘れられた本の墓場>へ連れていかれ、一冊の本を生涯守っていくことを誓ったダニエル。
    その本に魅せられ、著者のフリアン-カラックスについて調べていくうちに、カラックスの壮絶な人生に巻き込まれていく。フリアンとダニエルの世界がパラレルワールドのように展開し、ダニエルの世界がフリアンの世界のデジャヴのような錯覚に陥るが、2つの世界はやがて1つにまとまっていく。
    クライマックスの壮絶さ、超大作をまとめるラストは圧巻。
    読み応えある、素晴らしい本に出会いました。

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