荒野へ (集英社文庫)

  • 集英社
3.74
  • (120)
  • (191)
  • (159)
  • (38)
  • (7)
本棚登録 : 1775
感想 : 191
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087605242

作品紹介・あらすじ

アラスカの荒野にひとり足を踏み入れた青年。そして四か月後、うち捨てられたバスの中で死体となって発見される。その死は、やがてアメリカ中を震撼させることとなった。恵まれた境遇で育った彼は、なぜ家を捨て、荒野の世界に魅入られていったのか。登山家でもある著者は、綿密な取材をもとに青年の心の軌跡を辿っていく。全米ベストセラー・ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 命は儚い。

  • なんだか知らないけど、やたら死にたがる(もしくは死にそうな目に遭いたがる)かつての若いアメリカ人の話。ものすごく共感するのは、自分も似たようなものだったから。グランジの名盤。

  • 友人のおすすめ本。
    2008年に映画化もされてます。

    ノンフィクション。著者のクラカワー自身が登山家であり彼の経験したエピソードを交えることで、恵まれた環境から抜け出し数年の放浪の後1992年にアラスカで餓死しているところを発見される20代青年の軌跡がより鮮明に浮かび上がっていると思う。

    バックパックひとつ背負って世界中を旅するのとはまた一線を画した放浪の旅であり、そういう人種もこの世には少なからずいるということはわかった。決して破滅に向かいたいのではなく、あくまで本人にとっては前向きな生き方のようだ。

    所謂冒険家とは全然違う気がする。冒険家は最後は必ず生きて生還するために万全の準備を整えて旅に出ていると思う。(亡くなった彼はほぼ全ての食料等を現地調達しようとしてアラスカへ向かっている。)

    読んでる途中では、亡くなった登山家栗城さんを思い出してしまった。

    2024年のアメリカでもこのような旅ができるのだろうか?広大な国土だからまだまだ未開の地はあるのだろうか。

  • 映画も観て、やっぱりこのクリスの生き方が好きです。人たるもの、どこか冒険の旅に出て、死に近づく体験を心で欲しているような気がします。何者かになりたいだけかもしれませんが。

  • 訳者も後書で書いていますが、著者が本文で述べている「できるかぎりでしゃばらないようにしている。それは充分成功していると思う。」というノンフィクション作家の姿勢に好感を持ちました。翻訳もとてもスムーズで読みやすかったです。著者、翻訳者の他の著書も読みたいと思いました。

  • ◆若者はどうしてアラスカに旅立ったのか◆
    1992年アラスカの打ち捨てられたバスの中で死体となって発見された青年。恵まれた環境で過ごしていた彼は、何を求めて荒野に向かったのか。
    彼の日記、放浪の旅先で出会った人々の証言をもとにノンフィクション作家であり登山家の著者よって青年の軌跡をたどっていく。人々とのふれあいや自分への挑戦を通して、自分は何者なんだろう、社会とは他者とは?そんな誰でも一度は考える問いかけに挑んだ青年の物語。

  • 雑誌で各分野の有名人が影響を受けた本を紹介していて、確か恐竜の発掘をしている学者が紹介していた。

    今やアラスカと聞けばこの本の主人公、クリス・マッカンドレスを思い出すようになった。 

    なぜか私はこういう、遭難する話が大好きだ。
    新田次郎の「孤高の人」や、「八甲田山死の彷徨」、オーストラリア探検隊の滅亡を描いた「恐るべき空白」、消息を絶った女性飛行士アメリア・イアハートの話のように、生命感覚を刺激される一冊だった。

    食料が手に入らなくて餓死する手前の、かなり痩せた主人公の青年マッカンドレスが、遺体となって発見されたバスの前で笑顔で撮影した写真を見るとなんとも言えない。

    またマッカンドレスが旅先のマクドナルドでバイトして旅費を稼いでいたという話が出てきて、現代の話なのだなと思った。
    この青年と私は何年か、共に同じ時代を生きていたのだ。

    マッカンドレス以外にも、過去のアメリカ史において文明を離れて生きることに取り憑かれた人物の話が出てくる。
    作家自身が、冬季登山で死にかけた話も出てくる。
    エヴェレット・ルースなんて人の話を初めて知ったが、面白かった。

    アラスカの原野で石器時代と同じ生活を試みて、結局それは無理だったと言い残して自殺してしまった男性の話は衝撃だ。
    かつて我々は洞穴に住み、石器を研ぎ、マンモスを狩って暮らせていたはずだ。なのに、今や火の起こし方もよく知らない。
    ロビンソン・クルーソーを読むときにも感じた、動物としての生存本能が薄れゆく危機感を思い起こす。

    恐竜学者がこの本を紹介したといったが、さらにこの本のおかげでジャック・ロンドンと「野生の呼び声」などの作品、トルストイの「戦争と平和」を読むきっかけができ、新しい世界が開けた。

    これらはマッカンドレスの愛読書だった。
    名も無いアラスカの青年が私に与えたもうひとつの影響だ。

    こういった形でも名著と、その豊かな読書体験は後世に受け継がれていく。

  • 1992年にアラスカの放置されたバスの中で遺体で発見された一人の若者。
    この若者がなぜそこで亡くなったのかを追い求めて、ノンフィクション作家の著者が足跡をたどる。
    若者が旅の途中で出会った様々な人の証言や家族との関係から、若者が何を求めていたのかが浮かび上がってくる。
    彼は荒野に魅せられ自分ひとりの力で生きていこうとしていた。

  • 実話に基づくノンフィクション。

    裕福な家庭に生まれ、成績も優秀。そんな彼はどうして、全てを捨てて、アラスカの荒野に分け入り、餓死しなければならなかったのか。

    人智を超えた自然の過酷さ。自分探しの旅は時として、命の代償を必要とすることがある。

  • こういうの憧れる

全191件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1954年生まれ。ジャーナリスト、作家、登山家。
当事者のひとりとして96年のエベレスト大量遭難事件を描いた『空へ』(1997年/日本語版1997年、文藝春秋、2013年、ヤマケイ文庫)、ショーン・ペン監督により映画化された『荒野へ』(1996年/日本語版1997年、集英社、2007年、集英社文庫。2007年映画化、邦題『イントゥ・ザ・ワイルド』)など、山や過酷な自然環境を舞台に自らの体験を織り交ぜた作品を発表していたが、2003年の『信仰が人を殺すとき』(日本語版2005年、河出書房新社、2014年、河出文庫)以降は、宗教や戦争など幅広いテーマを取り上げている。

「2016年 『ミズーラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョン・クラカワーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×