ブロンテ姉妹 ポケットマスターピース 12 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (792ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087610451

作品紹介・あらすじ

貧しくも力強く生きた三姉妹の物語は、社会の真実を代弁する──シャーロット『ジェイン・エア(抄)』、エミリ『詩選集』、アン『アグネス・グレイ』を収録。彼女たちの時代とその息吹を探る。(解説/桜庭一樹)

感想・レビュー・書評

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  • アン・ブロンテを読みたくて手にした本。始めて読んだ。
    ・・・同じ状況の人は結構いるのでは?「ブロンテ姉妹」が3人いること自体は有名ではあるが、「ジェイン・エア」「嵐が丘」と比べて知名度がない。
    読んでみると確かに、姉達の作品と比べると地味だ。派手な事件やロマンスもない。しかし、現代の目線で見ると、かえって女性小説、風俗小説として一番「面白い」かつ「フェミニスト」かもしれない。
    主人公アグネスはお堅いタイプ、勤め先は自分より下品な人ばかり但し恋愛相手除くという人物描写は、アンは自分が家庭教師でさぞや苦労したんだろうとは思うが魅力が薄い。ただ容姿コンプレックスのくだりには「頭の良さでプライドを保っていたのか…分かるよアン…」となった。ジェイン・エアも同様だし自己評価が控え目な姉妹だったのだな。
    回想という形をとりながら恋愛パートは同時進行、田舎のおばあさんが偉い牧師先生の台詞を再現する、肝心の恋愛が盛り上がらずアグネスに恋していたはずのウィンストン氏は何年もの間何をやっていたんだなど、小説的にこなれていない部分も目立つが、ジェーン・オースティンを読むような面白さがある。いや、オースティンは恋愛とヒロインを魅力的に描く才能があったか(苦笑)
    女性の仕事物としても興味深い。「(娘たちが)結婚しようがしまいが関係ありません。生計を立てるための真正直な道などいくらでも思いつきますから」と言う母親、父親の死後「アグネスと私は自分の蜜は自分で集めてこなければなりません(=経済的に自立する)」といって起業するなど、現代の日本女性が見習うべき立派さ。女性の職業として家庭教師くらいしか選択肢のない時代である。
    本の最後に姉妹の年表が付いているが、つくづく皆夭折すぎて才能が惜しい。

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