- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087711745
作品紹介・あらすじ
青春は気まずさでできた密室だ――。
今、最注目の若手ミステリー作家が贈る珠玉の短編集。
始発の電車で、放課後のファミレスで、観覧車のゴンドラの中で。不器用な高校生たちの関係が、小さな謎と会話を通じて、少しずつ変わってゆく――。
ワンシチュエーション(場面転換なし)&リアルタイム進行でまっすぐあなたにお届けする、五つの“青春密室劇"。書き下ろしエピローグ付き。
「謎を追いかけているうちに、気付けば彼らを好きになる」
武田綾乃さん、絶賛!
「早朝始発の殺風景」
早朝始発の列車でなぜか出会った同級生(あまり仲はよくない)の思惑はどこにある――?
男女の高校生がガラガラの車内で探り合いの会話を交わす。
「メロンソーダ・ファクトリー」
女子高生三人はいつものファミレスにいた。いつもの放課後、いつものメロンソーダ。
ただひとつだけいつも通りでないのは、詩子が珍しく真田の意見に反対したこと。
「夢の国には観覧車がない」
高校生活の集大成、引退記念でやってきた幕張ソレイユランド。気になる後輩もいっしょだ。なのに、なぜ、男二人で観覧車に乗っているんだろう――。
「捨て猫と兄妹喧嘩」
半年ぶりに会ったというのに、兄貴の挨拶は軽かった。いかにも社交辞令って感じのやりとり。でも、違う。相談したいのは、こんなことじゃないんだ。
「三月四日、午後二時半の密室」
煤木戸さんは、よりによって今日という日に学校を欠席した。
そうでもなければ、いくらクラス委員だとしても家にまでお邪魔しなかっただろう。
密室の中のなれない会話は思わぬ方にころがっていき――。
「エピローグ」
登場人物総出演。読んでのお楽しみ。
【著者略歴】
青崎有吾(あおさき・ゆうご)
1991年神奈川県生まれ。明治大学文学部卒業。2012年『体育館の殺人』で鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。著書に『水族館の殺人』『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』『図書館の殺人』『ノッキンオン・ロックドドア』の他、「アンデッドガール・マーダーファルス」シリーズがある。
感想・レビュー・書評
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5組の高校生たちのちょっとした推理のお話。こんな推理ができるなんて賢いな。今時の高校生活ってこんなの?いやいやおじさん小説家のそれっぽい創作かな。ほのぼのとしてそうで、最後のエピローグで、えっと思わせる。本当にやっちゃたんだ。5編の登場人物たちが、ちょこっと最後に顔を出すのはご愛敬。
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2021/04/15読了
#このミス作品68冊目
日常の謎オムニバス。
まったりした、誰も傷つかない
ゆるーいストーリーが心地いい。
絶妙なワードセンスの会話シーンが
青崎作品らしくて楽しい。 -
日常のちょっとしたミステリの短編集だった。分かりやすく文体も読みやすいので、さくっと読了。手軽に推理物を読みたい人にはオススメだと思う。
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青崎さんの十八番、“青春謎解き祭り”でございますよ~。
ラセラー、ラセラー♪(←?)
・・と、いう訳で、本書は学生たちが繰り広げる日常系ミステリ短編五話(+エピローグ)が収録されております。
登場人物達が交わす会話から生じる小さな謎を、そのやり取りの中で解き明かされていく展開で、“謎解き”としての楽しさは勿論、彼らの不器用さだったり、微妙な距離感や気まずさ、甘酸っぱさといった、“その時期”ならではの瑞々しさが、ギュッと詰まっている感じが良いですね~。
とはいえ、単に爽やか!という訳でもなく、例えば表題作「早朝始発の殺風景」なんて、何気にまぁまぁダークだったりしますし、そういったヒリつき加減も絶妙です。
個人的に好きだったのは、前述の「早朝始発の殺風景」(殺風景さんのキャラがナイス!)と、「メロンソーダ・ファクトリー」ですかね。
「メロンソーダ・・」は女子高生三人のファミレスでグダっている感じとか、自分の高校時代も友人とこんな風に不毛だけどかけがえのない時間を過ごしたもんだゼ・・なんて、ちょいとノスタルジーに浸りつつも、詩子ちゃんの抱える驚きの真相に“そ、そうだったのか・・”と話のオチにも満足でした。
各話、キャラ達の会話のテンポも良くスルスル読めますし、それぞれがリンクしているのも楽しいです。
エピローグでは「・・殺風景」のその後が描かれているのと、各話のキャラ達が集約してくるように繋がってくるのが、ラストに相応しい展開でございました。
まさに青春の一ページを切り取り“謎”というスパイスをふりかけて真空パックしたような一冊。
開けると、青い春の空気に“ふわっ”と、包まれること請け合いです~ww。 -
表題作をアンソロジーで読んで楽しかったので読みたいと思ってた短編集。会話で謎が解けていく好きなパターン。キャラクター達が面白くて会話のテンポも良い。続編も読みたい。ラムネチョコさんによる表紙も素敵。
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同じ町に住む高校生が登場する5編からなる連作短編集。密室的状況で起こる気まずさというかバツの悪さを題材にした日常系青春ミステリーとなっている。
探偵役は各話ごとに変わるのだが、推理力というよりは、勘が鋭いとか洞察力が優れている高校生といった印象がある。
表題作とエピソードは普通に考えると、怖くてヤバい話。あっさり書かれているが、これ犯罪ですよ、立派な犯罪。
ドラマ化され、WOWWOWで放送予定。 -
高校生のなにげない日常に潜む謎たち。
ゆるくつながった、ミステリ短編集。
表題作が面白かった。
「殺風景」の意味が意外で、タイトルがうまい。
始発電車に乗った高校生たちの、さりげない会話の中にある、推理戦。
シャープな切れ味もよかった。
青春とミステリの融合で、ラムネチョコの装画がぴったり。
『このミステリーがすごい! 2020年版』国内12位。 -
それぞれが独立したお話の短編ミステリ。
高校生の日常生活であり得そうな謎。
(表題作のような事件はそうそうないだろうけど)
謎解きのあと彼ら、彼女たちのグッと距離が縮まる感じがすごくいい。とてもさわやかな読後感。
「青春ってきっと、気まずさでできた密室なんだ。狭くてどこにも逃げ場のない密室」という文の出てくる「三月四日、午後二時半の密室」なんかちょっとドキドキしてしまったし、「夢の国には観覧車がない」も、最後のエピソードも良かった。
登場人物の会話が生き生きしてて楽しいし、微妙な距離感の描き方も心地よい作品でした。ほんとうに読んで良かったです。 -
まず殺風景の意味を知りちょっと引き込まれました
表題にもなってる通り、第1章は面白かったです。そのままこの話が続くのかと思いきや
2章からは全然別の話でちょっとガッカリ…
でも、エピローグで第1章のオチはついたので
ちょっと安心しました。
高校生達の日常の中で起こる些細なミステリ連作短編!
気軽に読めて面白かったです。
その中できにいったことばが1つあるので抜粋します。
「仲がいい訳でも悪い訳でもない、顔と苗字だけ知ってる程度の、中途半端な関係のクラスメイトがたくさんいて。そんな人たちと無理に話を合わせながら三年間過ごして。
窮屈で居づらくて、気まずかった。
青春ってきっと、気まずさでできた密室なんだ。
狭くてどこにも逃げ場のない密室」
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高校生が会話の中で、日常の謎を解く。
5つの短編ミステリー。
青春のほろ苦さが際立っているように感じた。
どの章も、読んでいて息苦しくなるような気まずい時間が流れます。謎が解けた時、気まずさが薄まり、一歩踏み込んだ関係に変わるのがよかった。
“メロンソーダ•ファクトリー”と“夢の国には観覧車がない”という章が好きでした。