- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087711912
作品紹介・あらすじ
上野戦争で散ったはずの男
元新選組十番組組長
原田左之助は生きていた。
「今の俺たちに誠はあるのか」
明治の世にひそむ新撰組の残党を描いた、渾身の時代小説!
明治十一年。東京の片隅にある古物屋、“詮偽堂"の主人・松山勝。彼の正体は、幕末、彰義隊とともに上野で戦死したはずの元新撰組十番組組長・原田左之助だった。松山のもとに集まるのは、幕末の動乱をともに潜りぬけた猛者たち。新聞錦絵の記者で高波梓と名乗る男は、諸士調役兼監察を務めた山崎烝。そして過去に三番組の組長でありながら、いまでは新政府の犬と揶揄される警官・藤田五郎。またの名を斎藤一。
斎藤からの情報で、原田と山崎は人買いを生業にしている元長州藩の士族や、窃盗団と対峙する。三人はやがて、新政府を操る、ある人物に行きつく。
【著者略歴】
矢野隆(やの・たかし)
1976年福岡県久留米市生まれ。2008年『蛇衆』で第21回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。著書に『斗棋』『慶長風雲録』『乱』『我が名は秀秋』『凜と咲きて』『鬼神』『山よ奔れ』『朝嵐』など。
感想・レビュー・書評
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地続きの短編集みたいな感じだったので間が開いてしまっても読みやすかった。個人的にはあの展開なら斎藤一の葛藤を掘り下げて欲しかったなぁの気持ち。
佐之助は快男児、ということばが似合うねぇ。あけっぴろげでまっすぐ。 -
鳥羽伏の敗戦後、彰義隊と共に上野の戦いに残った原田左之助、会津まで下り会津戦で戦った斉藤一、土方と共に最後の函館戦まで同行した山崎丞の元新選組の3人が時代の変わった薩長の重鎮が政権を握る生き難い明治を生きる姿を描く。
原田は松山勝として上野の戦いで世話になった古物商の病弱な娘を妻とし商いを継ぎ、斎藤は藤田五郎とし会津出身の妻と子と共に警官、山崎は高波梓として文屋を生業として其々生きる。3人は其々の立場で維新後、長州閥とし政権を握る伊藤博文、山形有朋と王政復帰を願う公家らとの政争に不本意ながら裏で色々な柵の中関わりを持つ。特に斉藤、山崎の柵は強く山形の裏の仕事を担う、原田は無骨一辺倒で昔からの犬猿の間の斉藤と袂を分かつも過去の同志の繋がりは強い。最後は義に生きる3人は、志を共に山形を裏切る。
フィクションだが、新選組のファンとしては維新後に長州閥に一泡吹かせる内容は、矢野さんの文体と相まって面白く読めた。 -
図書館蔵書。新選組の3人が明治の世で活躍する物語。 史実とは異なるが楽しく読みました。